庶民にはいい迷惑な暴君「クォ・ヴァディス」 | 流浪の民の囁き

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映画を通した過去・現在・未来について、なぐり書き

強国ローマが世界を支配していた時代。

その中でも5代皇帝、ネロの狂気に充ちた施政には、当時信仰が広がっていた

キリスト教徒の迫害もあり、ローマ帝国対キリスト教徒という図式も浮き彫りに

なっていたが、そこは信仰心と権力を握るものとの違いがあり、皇帝の横暴に

屈するほかない・・・。

そこに現われる正常な見識を持つ人々の、庶民に対する思いが決起を促し、

そして暴君の名を欲しいままにしたネロも、ついには倒されてしまう。

といった名画が「クォ・バァディス」である。



流浪の民の囁き-ヴァディス

http://www.youtube.com/watch?v=1K0mxiZH5zY&feature=related

「クォ・ヴァディス」 五十三年公開作


この映画もまた、キリスト教の受難と信仰への賛歌としての側面を押し立てて

何とも宗教臭さは否めないものだが、ここではそれよりも皇帝ネロを演じた配役

がひかる。

暴君という言葉から浮かぶ豪壮な男とはかけ離れて、どちらかといえば病的な

陰気な男として描かれ、小心者の権力による貪欲さと「桁外れる社会性」と、強国

ローマが衰退していく元凶が、皇帝の身から出た錆として、それをよく演じていて

この映画としては、少々盛り上がらないスペクタル映画の中で際立って「権力者

のボンクラぶりは、庶民を不幸にする」を地で行っているを再現して見せた。



流浪の民の囁き-クォ


主演は二枚目、ヒロインは美女で従順な性格と、とても分かり易い物語であるのだが、

如何せんスペクタル的山場もなく、ただ単に金の掛かった映画が感想だが、一つだけ

上げられるネロの小心振りとかには、どうしても今の世の中でも、こういった印象を

見つけることが出来るようで、相当に古い映画でも相通じる人物を思い浮かべると、

「温故知新」も無駄ではない、いやむしろ大切な格言とも取れる。

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政府は、北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルを発射したことを受け、
日本独自の対北制裁措置を強化する。10日の閣議で従来の制裁措置を1年間延長
することを決定した上で、追加制裁の内容を早急に詰める方針だ。
追加制裁は、輸出の全面禁止や、制裁に違反した外国人の入国禁止、北朝鮮への
現金持ち出しと送金の規制強化などが軸になる見通し。これらは、自民党の拉致問題
対策特命委員会が政府に申し入れた措置だ。
日本の対北輸出は、2005年には69億円だったが、昨年は8億円に減少。このため
輸出を全面禁止しても、実際の効果は薄いとされるが、北朝鮮への厳しい姿勢を示す
必要があるとの判断だ。
06年の北朝鮮のミサイル発射と核実験を受け、政府は、同国からの輸入の全面禁止
や、「万景峰号」を含むすべての北朝鮮籍船舶の入港禁止などの制裁措置を発動。
これまで半年ごとに4回延長を重ねてきたが、今回は延長期間を1年とした。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009040500085

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今日の北朝鮮の蛮行など、この映画と似通ったものはないだろう。

何しろ発射命令を出すのは、独裁国家であれば最高権力者たる者になる。

そして身の危険を感じてか、今は所在不明となって、部下が実行に移す。

待っているのは世界の批判だが、自分の周囲しか関心がない者にとって、幾多の庶民

など「蚊帳の外」であるだろう。

疲弊していく国家経済よりは力の誇示の論理と、間違った国家運営に「庶民は迷惑がっ

ている・・・」という、この映画で描かれる庶民と、北朝鮮の庶民が重なって見える・・・。

って、人間の野蛮さは、時代の変化にも「ブレ」ない、なんともな性根があるものか。

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Amazon.co.jp                      といったところで、またのお越しを・・・。