- 映画の印象を引きずらせるのに音楽は欠かせないが、反対に音楽の良さを
- 映画にした、いやヒットした音楽を手軽なものとして延長の映画でなく、歌われる
- 内容を鑑み、それを映像に広げて見せた映画と言うものもある。
- この「明日の壁をぶち破れ」も、原題のビリー・ジャックの「地獄の天使」の続編な
- のだが、使われた音楽「天使の兵隊」の詩の内容に沿ったような、物語である。
http://jp.youtube.com/watch?v=AM4ADoVc6TU
「明日の壁をぶち破れ」 七十一年公開作
続編とは言っても主人公の名前は同じなのだが、設定はネイティブ・アメリカンと白人の
混血青年となっていて、この七十年代の「ベトナム戦争」の厭戦気分が充満し、反戦が声
高に叫ばれた頃だけに、主人公の立ち位置はとても明確になる。
で、インディアン居留地にある「自由学校」、いろいろなハンデや家庭内のいざこざから逃
れた子供達が学ぶ・・・、今で言うフリー・スクールか。
そこの教師の女性に好意を寄せるビリー・ジャックは、封建的な風土を持つ南部の田舎町
の偏見や嫌がらせ等から、この学校を守っていた。
といったストーリーからは、もう大概予想が出来る、いろいろな出来事でビリー・ジャックが
追い詰められ、我慢に我慢を重ねた正義感が爆発し・・・。
ここらはもう「仁侠映画」のテイストがたっぷりで、我慢を重ねるビリーは、カンフーは強いわ
銃の腕前も一流という、ヒーロー像を描いていて、敵対してしまう町の人と、だった独りで戦い
そして「自由学校」の存続を約束させ、投降する・・・。
物語をはしょればこんな感じだが、正義を実現するのにも「暴力」は必要となって、公開時は
やはり「暴力礼賛」と眉をひそめる人達もいたらしい・・・。
が、この映画、単独の戦いとか、何より採用されている「天使の兵隊」の音楽から、今ではこ
の作品以外にも三作あるのにもかかわらず、この映画がカルト的人気を博している。
勿論、先を見越したわけでもないが、「自由学校」や、たった一人でも迫害を受けていれば、
立ち上がるビリーの性根の座った・・・、ここでネイティブ・アメリカンとの混血がよりヒーロー
足りうる設定だから、そして詩の内容がやはり一人で戦いを挑んだ男の話となって、重なり合
うから、一層ビリーの悲壮感や子供達の正義の味方となって、良い暴力と批判よりは肯定に
変化してしまう・・・。
カルト人気を誇ると言うことは、劇場公開ではヒットしなかったが、その後見直された類いの
ものだが、イラク戦争の泥沼化やアフガン等、アメリカを取り巻く世界では紛争に出っ張って
そこで命を落とすアメリカ青年と、その命が「犬死に・・・」では・・・。
そこに「天使の兵隊」のたった一人でも立ち上がり、戦いを挑んだ男と見立てたい心情が・・・。
このビリーが投降し、手錠を掛けられて連れて行かれる道筋での子供達の「片腕を突き上げた」
エールの場面に、誰でも感動するのでは・・・。
主演の男は、ビリー・ジャックのキャラクターに肩入れして続編も作るのだが・・・。
これなども後になってカルト的人気を誇るのには、音楽が欠かせなかった作品ではないか・・・。
「天使の兵隊」を歌っていたのはオリジナル・キャストというコーラス・グループだったのだが、
レコード会社の許可が下りず、違ったやはり混声のコーラス・グループが歌ったものを、この映
画では使用している。
ちなみに続編では、レナード・バーンスタインが音楽を担当と、より音楽の重要性を認識していた
見たいだが・・・。
- ミスター・マンデイ ~ ベスト・オブ・オリジナル・キャスト/オリジナル・キャスト
- ¥2,548 といったところで、またのお越しを・・・。