今は亡き歌い手、大塚博堂の歌うものに、映画から触発された類いの出来事を
かさね合わせて、切々と歌う「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」というものがある。
ダスティン・ホフマンといえば、アメリカの名優だが、その彼が主演した「ジョンとメリー」
と「卒業」を作詞家の自分達の軌跡に重ね合わせて・・・。
すると不思議なもので、これらの映画の場面が思い出される・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=X-3PP7hfIm4
「卒業」 六十五年公開作
この映画は、昨年十一月にエントリーで書いてあり、その再掲載です。
この映画にも、アン・バンクロフトは出ている。
これが「エレファント・マン」や「奇跡の人」とは打って変わって退廃的主婦役で、主人公
の性衝動の相手役であり、主人公の恋人の母親と言う、何ともな役柄であるのだが、
年齢を重ねた重みがあり、とてもはまり役となっている。
主演はダスティン・ホフマン、そして恋人役がキャサリン・ロスと音楽がサイモンとガーフ
ァンクルで、ストーリーのいかがわしさを音楽が救った映画と見る。
何より印象的な曲をちりばめ、辛辣なやりとりを封じ込めて、綺麗なシーンばかりが、
印象に残った。勿論、バックの音楽によるところは大きい。
ラスト・シーンは主人公が花嫁を奪うところで終わっている。
未来はばら色か?、はたまた・・・。
この監督はこの後「愛の狩人」という、中年の退廃を描いているのだが、それがアンサー
のような気がする。
その映画には、歌のアート・ガーファンクルが出ていて、ぐれた中年を演じていた。
「一瞬の幸せ」がてな見方も出来る映画ではあった。
もっともこの映画や「ジョンとメリー」という映画から触発された詩があり、曲をつけて歌っ
た人が日本にいて「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」という秀逸な曲を歌っていた。
今は既に亡くなってしまったが名を大塚博堂といった。とても惜しい・・・。
六十九年公開作のこの映画は、大都会ニューヨークの名も知らぬ同士が、酒に酔い
ねんごろになるという「行きずりの恋」がいつしか、忘れられない人として心に住み込み
結果的に再び名を名乗りあって・・・、と、都会の孤独の中で惹かれあう二人として描いた
都会の恋物語で、ダスティン・ホフマンとミュア・ファローがこのカップルを演じている。
ダスティンはそれなりに好演していたが、ファローはやはり「ローズマリーの赤ちゃん」の
印象が強く、それにどこか植物的な感覚が付きまとっていて、夢中になるという存在として
は弱いとしか思えず、この物語に共感出来なかった・・・。
ただ歌に歌われる同じような出会いではと、題名だけが思い出される印象にない映画。
http://jp.youtube.com/watch?v=jkivrtqeWyc&feature=related
「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」 大塚博堂
映画に自分達の恋愛を投影させ、そして何より映画のように行かない自分の不甲斐無さを
切々と歌う七十年代の「喪失の時代」らしい歌詞と、清涼感のある歌声は、静かに聴き入る
魅力を持っている。
もっとも詩の内容は、女々しいとも取れる男の「愚痴」かも・・・。
http://jp.youtube.com/watch?v=DNlY3nHEAc8&feature=related
「過ぎ去りし思い出は」
http://jp.youtube.com/watch?v=EXSHyAiOh6g&feature=related
「哀しみ通せんぼ」
http://jp.youtube.com/watch?v=NIRhLKcUrGc&feature=related
「めぐり逢い紡いで」
http://jp.youtube.com/watch?v=5jJeY-lmGzY&feature=related
「旅でもしようか」
こういった歌い手がかつてはいて、はしゃぐでなくまったりとした哀しみに聴き入るのも、暑い
夏が過ぎれば、心に染みてくるかも・・・。
- 大塚博堂/大塚博堂MEMORIALBEST+LASTLIVE/UPCY-6159
- ¥3,000 お盆とは、祖先の霊を弔い、亡くなった人を
- 偲ぶためのゆったりした時間に、こういった
- 歌声を聞くのも・・・。
- といったところで、またのお越しを・・・。