グレゴリー・ペックで思い出した映画「ナバロンの要塞」は、難攻不落と思われた要塞がたった六人の男に
よって、その破壊力を奪われるという、最小の犠牲で最大の効果を発揮するという、どこでも通用する
また、難攻不落、完全完璧というもののあっけない脆さも露呈したものだった・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=T_pvtTrR_oM
「ナバロンの要塞」 六十一年公開作
「オーメン」の大使より、やはりペックは「白鯨」みたいに狂気を宿しても巨体な敵に
立ち向かうという設定の映画の方が、輝いて見えるし、そのソフトな印象としでかす
仕事の大きさに、違和感があるから殊更、印象に残る。
とは言うものの、この映画は原作も良く出来たもので、エーゲ海に浮かぶナバロン
島の断崖絶壁に設けられたドイツ軍の二門の巨砲が、海をにらみイギリス軍の救
助も侭ならず、何とかしなけばの緊急の課題であった。
その断崖絶壁を克服してなお、その警戒厳重なトーチカに潜り込み、巨砲・・・。
ここで初めて列車砲という兵器資料で知っていたものを見たが、その異様な巨大さ
と、機能美にぞくぞくした。
まして砲弾を込め、砲手達の服装や耳を塞ぎ、発射の反動とかの動きは、アメリカの
崩壊工作よりは、もっと見せろと叫びたくなる雄大さがあった。
それがたった六人の人にやられてしまうのには、少々呆気に取られる。
物凄い工業力の威力も、ネズミ宜しくちょろちょろと動くたった二人の工作に、脆くも海
の藻屑となる場面では、溜息が出てしまった。
にしてもこの映画は、戦闘場面の派手さもないが行き詰まる敵味方の警戒心とか、一
気にラストまでを見せてくれている秀作である。
「蟻の巨象を倒す」たとえにも似て、強い意志で完結しようとする人間の偉大さと、尊大
に構える難攻不落・完全完璧にも、どこかに小さな穴があり、それを突かれると意外に
脆くも崩れ去る。
それはなんにでも当てはまりそうで、断崖絶壁を攀じ登る場面では、手に汗握った。
http://www.youtube.com/watch?v=Qte_rQ2NvqI&feature=related
「ナバロンの嵐」 七十八年公開作
原作者が続けて書いたものの映画化作品で、前作で活躍した生き残りの二人が
配役を変えて甦るものだが、やはりそこには前作のイメージがはびこり、違和感が
拭えない。
配役も前作と比べるとやや小粒、あのフランコ・ネロとかハリソン・フォードとか、ロバ
ート・ショーはいいとして・・・。
で、今度のミッションは、ユーゴスラビアでネレトバの橋の爆破である。
ここらに映画の新鮮さが、どうしても色褪せるものになった原因がありそう・・・。
「ネレトバの戦い」「要塞」という作品があり、それを先に見てしまったから・・・。
それらを見ていない時点で見れば、のめりこめるだろう迫力はあった。
ここでも潜り込む工作員と、命令を完全に完遂する気持ちの人間との確執とか猜疑
も描かれ、橋自体は破壊工作が無理と判断し、上流のダム爆破に向かい、やっとこさ
小規模ながら爆破させてみる。
その爆発でコンクリートに亀裂が出来、それが水圧に耐えられず・・・。
ここらはちらっとはらはらする場面で、ネレトバの橋を渡るドイツ軍車両と亀裂と、なかな
かにガイ・ハミルトンだけに、見せてくれて、大崩壊するとドイツ軍共々、橋は押し流され
て仕舞い、ミッションは困難を克服して終了・・・。
でも、前作程には観覧後の興奮が起きなかった・・・。
と、ペックで思い出したものであるが、蟻の働きでも巨象を倒すという喩えのような作品
であるが、ここに圧倒的な軍事力を誇る国があれど、それに屈しない精神力のある極少
数でも、いつかは・・・。
勿論、これは武器を持たないチベットと中国を想定している。
で、今回の中国の地震である。「おから工事」の弊害がモロに出た結果、恐ろしい災害に
なった。今後はより不安定な政権になる。虐げられた農民、自治区の人々、巨大な存在
に楔を打ち込むことが、民主化への道・・・。
なんて、考えてしまう。震災に遭った人々にはお気の毒だが・・・。
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といったところで、またお越しを・・・。