鉄道つながりで、こんな映画があったのを思い出した。
高倉健の「ぽっぽや」でなく、ピエトロ・ジェミニの「鉄道員」
である。五十五年のイタリア映画は哀愁のある音楽にのって
一人の頑固な鉄道員のさまざまな苦悩と喜びを、画面に静かに
ぶつけていた。
http://www.youtube.com/watch?v=r25KtF2Bd3g
「鉄道員」五十五年公開作
監督・主演 ピエトロ・ジェミニ
鉄道機関士の過酷な仕事と、ともすると衝突する職場関係や
家庭での諍いに、主人公は酒へと逃避してしまう。
その家族の末っ子の幼児の目を通した家族のあり方、父として
の機関士への誇りに思う気持ち・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=CBlffl4MSfc
パート二
鉄道といってももう電車へと変わったローマの鉄道関係のやりとり
は、組合と機関士としてのプライドの中で揺れる心を、荒れた呑ん
だくれとして、よく演じているし描いている。
ここらは組合の強い国鉄時代の「遵法闘争」を思い出すし、またこ
の主人公が組合のストを破り、電車を動かす衝動と仲間はずれの
組合員達の対立は、公共機関としての鉄道のジレンマで、この主人
公は公共としての乗り物へのプライドを選ぶのだが、組合という組織
の賃金・生活改善闘争は、大衆の理解という前提がないと破綻をきた
し、大衆の迷惑な存在へ追い遣られてしまう。
そして家庭的には働こうとしない長男、知らぬ間に身ごもる長女と、悩
ます存在が公私に渡っている状況の中、鉄道自殺を起こして花形電車
から左遷されてと、八方塞りとなる父に末っ子の小さい心の痛みは、優
しさが辛い出来事から湧いてくる愛情豊かな時代のなせる業か・・・。
兎に角、この少し暗い映画に於いての末っ子の言動は、とても微笑まし
いし映画のポイントになっている。
また哀愁を帯びた音楽の狂言回し的使われ方が、より一層、この映画を
引き立てていた。
クリスマスのパーティーで、これまでの諍いに一応のプリオドが打たれると
安寧な気持ちのまま天に召されてしまう、という観客にとってはショックな
場面の後、欠けた家族の新しい生活が始まるでラストとなるのは、余韻を
引きずることになる、ある意味、印象的な終わり方だ。
ところで、この長女を演じたシルバー・コシナはこの後、お色気的使われ方
ばかりで、最後はヌードへとなってしまったのは、なんとも・・・。
「鉄道員」繋がり、映画の頑固親父みたいな鉄道員とは「結婚」しては
駄目よと、オランダの女性が歌っている。
http://www.youtube.com/watch?v=Xwy6uIz-Gtg
ショッキング・ブルー 「悲しき鉄道員」プロモ・ビデオ
http://www.youtube.com/watch?v=DbbipOqoVfw&feature=related
八十年のライブ映像
この邦題は、詩の内容から付けたのだろうが、題名だけでは何が悲しい
のだかさっぱり分からない。
鉄道員は仕事が忙しく、デートも侭ならないしいつも家を空けていて、家
庭的には向かない男だから、結婚しては駄目よって、そりゃ酷いよってな
ところで、にしてもこの曲を作った人は「鉄道」が好きなんだろうなぁ・・・。
って、茶目っ気でつくったと理解したい曲である。
で、このグループのボーカルの女の人は、既に亡くなっている。
長女役だったシルバー・コシナも亡くなっている。
そんなところに時の流れを感じる・・・。
といったところで、またのお越しを・・・。