どうも。参政党さや(塩入清香)参議院議員が、当選後に既婚者であることを公表しました。出口調査によれば40~50代の男性票を多数獲得したそうです。なるほどロマンス詐欺被害が減らないわけですな。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『桜桃の味』です。
土埃が舞う道を走る1台の車。運転する中年男バディは街行く人々に声をかけては車内に誘い入れ、多額の報酬と引き替えに自殺を手伝って欲しいと依頼する。クルド人の兵士もアフガニスタン出身の神学生も拒絶するが、最後に乗せた老人バゲリは依頼を承知の上で、自分の過去についてバディに語り始める(映画.comより引用)。1998年日本公開作品。監督はアッバス・キアロスタミで、出演はホマユン・エルシャディ、アブドルホセイン・バゲリ、アフシン・バクタリ。
アッバス・キアロスタミ監督のイラン映画です。ロケ地はイランなので、岩と砂の風景ばかりが映ります。それが人生に絶望した主人公の心象風景でもあります。
主人公の車に同乗するのはクルド人、アフガニスタン人、トルコ人です。そこにイラン社会の多民族性が反映されています。多民族性を否定し、「日本人ファースト」とか主張する連中は30年前のイランより退化しています。
人を殺すことを任務とするクルド人兵士でも、自殺に手を貸すことを躊躇して断ります。任務という免罪符がなければ、好き好んで人を殺さないものです。こうした人間性を理解できず、他人を戦場に送りたがる連中はクズです。
色々と気付きのある映画ですが、運転手である主人公と乗客の会話劇なので、観る者に精神力を必要とする退屈さもあります。会話のカット編集は小津安二郎作品へのオマージュだと解することもできるでしょう。しかし小津作品が笠智衆と原節子のやり取りであるのに対し、本作はよく知らない中東系男性同士のやり取りなので、絵面的につらいのは否めません。
そうした苦行(?)に耐えながら観続けると、ラスト近くで仕掛けが待っています。それは虚構と現実の関係を問うものであり、またしても気付きを与えられるのです。
★★☆☆☆(2025年7月2日(水)インターネット配信動画で鑑賞)
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