【映画評】ルージュ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。高齢者ばかりの米農家を鞭打つような奴らに日本人の美徳とか語って欲しくないですな。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ルージュ』です。

 

裏ビデオで輪姦された女に魅せられた雑誌編集者は、彼女の真の姿を知ってしまう。1984年公開の日活ロマンポルノ作品。監督は那須博之で、出演は新藤恵美、北詰友樹、松居一代、土屋嘉男、星セント、火野正平。

 

石井隆のライフワークと言える「名美と村木」の物語を那須博之監督で映画化した日活ロマンポルノ作品です。堕ちていく女である名美役を新藤恵美が、名美を不器用に愛する村木役を火野正平が演じています。

 

火野のやさぐれ演技が本人の素の状態なのかと思うほどハマっています。また私生活でプレイボーイだった火野だけに、濡れ場のテクニックに注目してしまうのは仕方ないところです。冷静になれば、あくまで演技だと分かるのですけど。

 

その火野は新藤のみならず、松居一代との濡れ場もあります。火野と松居の絡みというのは、昭和と平成のワイドショー好きにとっては夢コラボではないでしょうか。知らんけど。

 

石井の脚本ならではの海、プール、雨と水を用いた演出があり、名美が堕ちていく過程をサディスティックに描いています。しかし石井本人ではなく、那須が監督しているので、石井監督作品より残酷さが足りません。ホラー映画かと思うほどの残酷さが石井作品の特徴です。

 

挿入歌についても不満があります。松田優作の「ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース」が挿入歌として使用されていても、それは作品の舞台が横浜であるという効果しかありません。石井監督の『死んでもいい』における、ちあきなおみの「黄昏のビギン」のように印象深い用い方をして欲しかったというのは高望みでしょうか。

 

もし本作を石井が監督していたらと思わせてしまうのが、本作の正直な評価なのです。

 

★★☆☆☆(2025年5月21日(水)インターネット配信動画で鑑賞)

 

 

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