
ロンドン、ソーントン街。ガス燈の点る頃、この町を後にしイタリア留学に向かうポーラ。彼女の育て親である、名歌手の誉れ高き叔母は何者かに殺され、事件は未解決。傷心のまま旅立った彼女だったが、新天地で恋をし、声楽の勉強を諦め、その相手、作曲家のグレゴリーと夫婦になる。彼は彼女の育った家に関心を持ち、そんな落ち着いた環境で暮らしてみたいと言うので、ポーラも忌わしい記憶を拭い去って、ロンドンで再び生活を始めるが……(Yahoo!映画より引用)。1944年製作で、1947年日本劇場公開作品。監督はジョージ・キューカーで、出演はシャルル・ボワイエ、イングリッド・バーグマン、ジョセフ・コットン。
本作のオリジナルは、1940年製作のイギリス映画『ガス燈』です。リメイク版である本作が製作された時、製作会社のMGMはオリジナル版のフィルムを市場から一掃しようとしたそうです。怖い話です。もし『荒野の七人』が製作された時、元ネタである『七人の侍』の存在を抹消しようとしたらと想像してみてください。
当時のイングリッド・バーグマンは、1942年に『カサブランカ』、1943年に『誰が為に鐘は鳴る』からの本作出演であり、女優として最盛期でした。精神的に追い込まれていくポーラを演じ、米国アカデミー主演女優賞を受賞しています。
ポーラは物忘れがひどくなるなど、精神的に壊れていくような状態になりますが、それは何者かによる策略だと判明します。そこから本作は、洗脳やマインドコントロールをネタにした先進的な映画であるという見方もできます。
本作が製作された時期のアメリカは、思想や情報の統制により国民を国家の意のままに操る、ナチスドイツや大日本帝国が敵国であったという時代的背景も影響したのかもしれませんね。
★★★☆☆(2018年10月6日(土)DVD鑑賞)
ジョセフ・コットンは『第三の男』でも探偵みたいなことをします。