
1882年、アリゾナの田舎町に暮らすアルバートは、決闘を挑まれてもヘ理屈をこねて逃げ出す始末で、ガールフレンドのルイーズに捨てられてしまう。しかし、ある日、町に現れた射撃の名手でミステリアスな美女アンナと急接近。やがて2人は恋に落ちるが、時を同じくして大悪党クリンチが町に襲来し、アンナに近づいたアルバートに制裁を加えようとする(映画.comより引用)。2014年日本公開作品。監督と主演はセス・マクファーレンで、出演はシャーリーズ・セロン、アマンダ・セイフライド、ジョヴァンニ・リビシ、ニール・パトリック・ハリス、サラ・シルヴァーマン、リーアム・ニーソン。
世界一ダメなテディベアが主人公のコメディ映画『テッド』のセス・マクファーレンが監督した西部劇コメディです。『テッド』と同様、下ネタと毒舌(おまけにグロ描写)が満載なのでR-15指定(15歳未満鑑賞禁止)を食らっていますが、この種の作品にとっては名誉の勲章みたいなものです。
『テッド』が『フラッシュ・ゴードン』のサム・ジョーンズ御本人を登場させるパロディをやったように、本作にも御本人登場パロディがあります。ネタバレになるので、はっきりとは言えません。某タイムトラベルSF映画の博士や、某西部劇の黒人ガンマンが登場するとだけ言っておきましょう。
本作がどれほど悪ふざけをしても、一応西部劇にジャンル分けされます。ロケーションや時代考証は、しっかりしていますから。シリアスだけではなく、コメディも許容できる点に西部劇というジャンルの幅の広さがあります。日本の時代劇がシリアスもコメディも許容していることと同じです。
幅の広さと言えば、シャーリーズ・セロンとリーアム・ニーソンは、本作に出演することによって幅の広さを示しています。ニーソンについては、『シンドラーのリスト』でオスカー・シンドラーを演じた人が生尻を出すというサービスぶりです(あれが代役ではなく、本人であれば尊敬します)。
作品内容としては、『テッド』と同様、ダメ男が主人公の映画です。アルバート(マクファーレン)は羊飼いで、射撃が下手なオタク青年です。数少ない友達のエドワード(ジョヴァンニ・リビシ)は変人であり、その上、自らのヘタレぶりで彼女のルイーズ(アマンダ・セイフライド)に捨てられるので、西部劇の主人公としてはアウトです。
そのアルバートが、ルイーズの今彼である口ひげ自慢のフォイ(ニール・パトリック・ハリス)や、アンナ(セロン)の夫である西部一の悪党クリンチ(ニーソン)に立ち向かいます。フォイやクリンチのような男らしさを過度に強調するマッチョに対し、非マッチョなアルバートが対抗するという構図です。その構図に世間の多数派であろう非マッチョなダメ男は共感できるのです。
★★★☆☆(2018年8月4日(土)DVD鑑賞)
本作は羊のチ〇コを見ることができるレアな作品でもあります。