8月が終わっちまう……。でも、桑田佳祐のニューアルバム『がらくた』の感想文を書くよ!

9曲目『百万本の赤い薔薇』の創作モチベーションが市川紗椰へのスケベ心であったのは、桑田ファンなら分かるはずです。桑田のスケベ心は作品に昇華されます。サザンオールスターズのデビューシングルを『女呼んでブギ』にしようと考えていたという話もあります(実際は『勝手にシンドバッド』)。スケベ心がストレートに作用すれば、エロソングになりますが、技巧を凝らせば、素敵なラブソングになります。
これから恋愛に発展する前向きなラブソングだけでなく、既に終わった失恋を歌うのも一種のラブソングです。3曲目『大河の一滴』と14曲目『あなたの夢を見ています』は、そんな切ない曲です。前者の「逢わせて 咲かせて 夢をもう一度 渇いた心に命与えて」という歌詞と、後者の「夢見る頃の 孤独な夜に 悩んで 病んで 悔やんで うるる」という歌詞は、昔の恋を回顧している心境です。また、前者は渋谷の街を、後者は冬の街並みを情景描写しており、おっさんが一人で街を歩きながら、そんなことを想っているとなれば、切なさが倍増します。
これら2曲より生々しく、失恋した男の悲しい気持ちを歌っているのは、6曲目の『愛のささくれ~Nobody loves me』です。「恋のしずくでショーツを濡らそう」や「張り裂けそうな前のボタン」というエロい歌詞もありますが、非モテ男の心情を表現した歌詞がリアルです。
「モテないんだもの あんなに恋して燃えて」
「あんなに無理して呑ませておだてて 口説いていたのに」
「マブい娘(こ)はもう誰かのもの 呪うよ幸せを」
「終電で帰る? ホントはカラオケルームとホテルを 押さえてたのさ」
「最低だもの あんなにヤリたかったのに」
・゜・(ノД`)・゜・
非モテ男の非リア充的な感情は、マグマのようにドロドロと滾っています。異性にモテたいがために音楽を始めたであろう桑田にも、その感情があったでしょう(今もある?)。その感情を作品で表現すれば、世の多数派である非モテ男の共感を得ます。そして、そんな曲はサザン名義ではなく、桑田ソロ名義で発表するのがふさわしいと思うのです。
「がらくた 桑田佳祐」で検索してほしいのさ……。