私の好きなテレビ番組の一つに「アメトーーク」(テレビ朝日系毎週木曜日23時15分からオンエア)があります。雨上がり決死隊がMCで、毎回「○○芸人」というテーマで複数の芸人を呼び、そのテーマに沿ったトークをするという番組です。
テーマが自分の趣味とフィットしても面白く、逆に未知のジャンルであっても面白い時があります。お笑い芸人は話術に長けており、しかも芸人自身が好きなテーマでもあるので、トークに熱が入って伝わりが良いのでしょう。
MCが雨上がり決死隊なので、同じ吉本芸人の出演頻度が高いという印象を受けます。吉本芸人は、劇場や営業の楽屋で一緒に過ごす時間が長く、仕事以外で先輩後輩の付き合いもあるので、チームワークが良く、「団体芸」を披露することもあります。中川家、次長課長、友近による「即興コント芸人」という、吉本芸人の団体芸の一種で、番組一本を作ることができるのは、「アメトーーク」ならではです。
それとは別の好きな番組が「ゴッドタン」(テレビ東京系毎週土曜日25時45分からオンエア)です。レギュラー出演者は、おぎやはぎ、劇団ひとり、松丸友紀(テレビ東京アナウンサー)です。
毎回異なる斬新な企画で、テレビ東京深夜のアナーキーさを体現する番組です。お笑い芸人を精神的に追い込んだり、地上波ではギリギリの下ネタを言ったりと、低視聴率を逆手に取ったかのような攻めの姿勢を見せてくれます。
まあ、地上波放送が可能である以上、暗黙の了解を守った上での「プロレス」的なお笑いです。映画化もされた人気企画「キス我慢選手権」が、劇団ひとりのアドリブ演技に支えられているように、「ゴッドタン」出演芸人もテレビの範囲内でのアドリブ能力を試されていると言えます。
私が「ゴッドタン」を興味深く観ている理由として、吉本芸人がアウェイ感を出していることがあります。レギュラー出演者が非・吉本芸人であり、吉本芸人が単独で呼ばれることが多いので、団体芸を封じられ、他番組で見ることのできない吉本芸人の姿を露わにします。
「ゴッドタン」制作側も、その点について意図的でしょう。以前「非・吉本芸人団体芸サミット」という企画で、団体芸を得意とする吉本芸人に対抗し、非・吉本芸人を集め、新しい団体芸を考えて他局の「アメトーーク」に出演するというコラボレーションを成し遂げたくらいですから。
「アメトーーク」と「ゴッドタン」の2番組を「吉本芸人の扱い」というフィルターを通して観ると、ちょっと変わった楽しみ方ができます。
追伸:北野武監督の『アウトレイジ ビヨンド』では、関東最大の暴力団、山王会と、関西最大の暴力団、花菱会が対立します。山王会は個々の組の集合体であるのに対し、花菱会は一つの組のように描かれています。これが、所属事務所が異なる芸人の集合体である関東芸人=非・吉本芸人と、一つの事務所に所属する吉本芸人の対立構造(?)に類似しているようにも見えます。芸人ビートたけしでもある北野監督は、お笑い界の構図をヤクザ映画に反映させたのでしょうか。何しろ吉本興業創成期に活躍した人気漫才師は、「花菱」アチャコですから。
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