自分自身が離れた場所に移動する超能力のことをテレポーテションと呼ぶが
離れたものを引き寄せる能力のことを、アポーツと呼ぶ。
私のカレー好きも年季が入ってきたもので、近年このアポーツが時折発動するようになった。
先日も、友人と車で旅行した帰りに、高速道路が渋滞していてみんな疲れてしまい
適当に高速を降りて何でもいいから飯を食おう、ということになった。
私も疲れていたので、店が見つかればどんなものでもよかった。
そこは見知らぬ土地であり、とにかく早く店が見つかればいいなと思っていた。
程なくチェーン店のパスタ屋が見つかったのだが、そこで意外な言葉が
誰の口からか発せられる。
「お前カレーくいたいやろ、カレー屋さがそう、カレー屋」
私は友情への感動よりも、オカルティックなこの現象への驚きを強く感じた。
まさか見つからないだろうと思ったのだが、
そのうちいい感じに怪しげなカレー屋が道沿いに現れ、しかもその店が当たりだった。
かくして我々は美味いカレーにありつくことが出来たのである。
今日もその能力が、会社の上司を介して発動した。
秋葉原の大学院に通うその上司は、なにを思ったか、
唐突にこんなものをプレゼントしてくれた。
アキバ名物 おでんカレー 萌え
私は秋葉原にリュックを背負って通う性質の人間ではないが
ジャンルを問わず大の漫画好きであり、秋葉原はお気に入りのスポットである。
秋葉原に何があって、何が行われているのかよく知らないが
日本の文化、そしてキャラクタービジネスの象徴であることは間違いがない。
「キャラの力」は本当に凄い。
ピカチュウ一匹で、何億の金が動き、何人の人生が狂っただろう。
アメリカ産の一匹のネズミは、取り扱い方を間違えると戦争すら引き起こしかねない。
さらにその秋葉原の象徴であるところの「萌え=いもうと」
そして「おでん」
この強力なアイテムを緩やかに結びつける、何か。
思わず日本の心「和」を感じさせる。
仏陀が生れ落ち涅槃に入った国から、弱肉強食の西洋文明を経て
島国に流れ着いた、21世紀のブラックボックス、カレーである。
しかし、おでんカレー・・・絶対自分では買わない。
チープ且つ、北斗神拳のようにツボを的確に押さえたパッケージを開けてみる。
だがそれは言い換えてみると「質実剛健」「肉を切らせて骨を断つ」に通じるものがある。
カレーとおでんには共通点がある。
煮込むという過程が重要であり、さらに多様性とバランスが命である。
盛り付けてみる。
食してみると、おでんのダシが効いているではないか。
カレー自体の味は、庶民的でベーシックなもの。以外によくマッチしている。
具もいい。とても美味しかった。ありがとうございました。
カレーは、古本の町神保町でも愛されている。
一説によると、本をあさりに来た学生や物書きが、その合間に食べるのに
カレーというのは非常に適しているのだそうだ。
この種類の人たちというのは結構昔からいたわけで、
それは現代におけるアキバに通う人々と、非常に近いのではないだろうか。
そのカレーが、「いもうと」「おでん」と融合してパッケージ化され
まさしく秋葉原における「象徴的商品」となっている。
1つのプロダクツが、国際超電脳都市秋葉原をしょって立つのは荷が重い。
「萌え」だけでは足りない。
そして「おでん」だけでも足りない。
しかしこの2つを、片手で持てて容易に流通可能で保存も容易で
実益のある(食べれる)1つのプロダクツに仕立て上げたのは
カレー、カレー、カレーである。
付け足すようで恐縮ですが、先日の事件、
犠牲になった方々のご冥福を心よりお祈りします。
なんでも最近の秋葉原では、パフォーマンスをするアイドルに卑猥な言葉を言うやつがいたり
だんだんと荒んできているらしい。
心になんか抱えてる人が確かに多そうなとこだけど、ラブアンドピースな場所でいてほしい。