以前、統計を見たことがある。『世の中、成績が上がらない塾が多いのではないか?』、というテーマの論文にあった、統計である。
ここには、
通塾率と学力が相関していない理由、として、以下の仮説が書かれている。
中3、小6とも、「塾に通う生徒の割合が高ければ高いほど学力が高くなる」ということにはなっていません。通塾率が低くても、学力の高い県がたくさんあります。逆に、通塾率の高い県の学力は、それほど高くありません。どうしてこのようなことになるのでしょうか。その原因を考えてみました。
1.そもそも塾は、子供の成績を上げることができない
2.塾よりも、学校の姿勢や家庭・地域社会のあり方で学力は決まる
3.気候風土によって子どもの学力は変わる
4.成績が上がらない塾が多い(特に通塾率の高い地域において)
http://homepage3.nifty.com/kashikoi/Agaranai/agaranai-1.htm
以上。引用終わり。
で、このサイトは、上記の仮説1については、
私の塾では、現在はおおむね70%~80%の生徒が成績アップに成功しています。残りの生徒は成績が上がっていませんが、成績が下がっている生徒は皆無ですので、平均値としては成績が上がっています。知り合いの個人塾や小規模塾の塾長に聞いても、そこそこ長く指導している塾ならば、だいたい似たような感じのようです。このことから、「塾は、子供の成績を上げることはできない」というのは、誤りであると思われます。
と記している。
さて、正直私は、塾に行ったって学力なんか上がらないよ、って考えている。
これは、私の本心である。
なぜなら、学力をあげることとは、文字通り「学ぶ力をあげること」であり、一人で物を考え、学んでいく力をつけることであるが、
塾というのはせいぜい知識の多寡を問題にするだけであり、塾のサービスの内容は学力向上を目指したものじゃないからである。
上記論文によると、「うちの塾では」成績が上がっているから塾は子どもの成績を上げることができ、だから学力アップに貢献しています、というようなお粗末な結論を下しているが、着眼点がよいだけに残念である。
学力をあげることというのは、ハッキリ言って、子どもの思考パターンや行動パターンを変えることであり、それは性格を変えることとか、もっと率直に言うと、子どもを洗脳することとほぼ同義であり、それほど大変なことである。
たかが授業の数時間でできることじゃない。
だから、塾へ行っても学力は上がらない、と思うのである。
さて、うちの塾であるが、
当初うちの塾はすごく高飛車なコトばかり言っていた気がする(今もそうかもしれないが)。
でも、うちの塾の考え通りにやると、すでに学力を持ち合わせた子しか顧客じゃなくなってしまう、ということに気がついた。
わが塾がサービスにしなくてはいけないのは、知識の多寡を問うよりも、学力の向上を図ることと、と考えている。
つまり、授業をサブにして、それ以外をメインにする、と言っても良い。
それまで私は授業をそれ以外の指導に対して、9:1、くらいに考えていたが、
クラスによってはその比率は1:9にしなくてはいけない、と思っている。
私は昔から思っているが、正直、子どもたちの頭に差はないと思っている。
F1に例えるとしたら、みんな同じくらい出来の良いエンジンを持っていると思っている。
ただ、ドライバーの質が大きく異なっているのである。
本当は時速200キロ出せるのに、60キロしか出さないドライバー、
勝負に勝つ気のないドライバー、
長時間集中できないドライバー、
一人では、どう走ったら良いかわからないドライバー、
そんな感じに子どもたちを捉えている。
エンジンの良さ、なんか、みんな似たようなものだろう。
だったら、走る気にさせることと走り方を教えなくてはならない。
エンジンはいいのだから、ちゃんと走れば絶対に良い走りができるに決まっている!
昨今、ニートが増えている世の中ではあるが、
何かに頑張ろうとか、目の色を変えて取り組むべきものとかが見えない社会なのかもしれない。
もしくは自由で選択肢が沢山あるからこそ、皮肉にも何も決められないということもあるかもしれない。
しかし、うちの塾の子どもたちには、生きることの面白さと、学ぶことの面白さ、そんなことを伝えてあげたいと思う。
それらの前には、英語の知識なんてのは、本当にかなりどうでも良いことだと思ってしまう。