【争論】大学入試にTOEFL
大学入試の受験資格として米国の英語力試験TOEFLを導入することを4月、自民党の教育再生実行本部が安倍首相に提言した。もし実現すれば子どもたちの英語力は伸びるのか、教育現場はどうなるだろうか。提案者と反対論者に聞いた。
以下略。
参照元 5月13日 朝日新聞13面オピニオンより
長い話を要約すると、
一人がTOEFL賛成で、一人は反対で、その理由が云々かんぬん…。
さて、以前私は、この措置は、ただ単にTOEFL主催者のETSに金が流れるシステムができるだけ、くらいに批判しました。
再度繰り返す気はないのですが、もう少しだけ付け加えようかと思います。
例えば、私の塾の話で、
英語ができない塾生がこれまでもいましたし、今もいるので、これを何とかしようと苦心しております。
まさにそれが私の仕事なので、当然なのですが、
教える内容を変えたところで、学生の英語力は上がらないというのは、
私のかれこれ10年以上の経験で、ほぼ明らかなのです。
はっきり言って、塾生に英語力がつくかつかないかは、
塾のイスに座る前に決着がついている問題なのです。
これはもう、事実に近いですね。自分としては、確信に近いことです。
要するに、満腹な子に世界一うまい料理を出したところで食べないのと同じで、
英語がキライな子に、英語をやる気のない子に、英語の何を教えてもほぼムダ、だと思うのです。
英語がイヤだという子の前でするべきことは、何を教えるかを考えることじゃないのです。
じゃ、どうするか?
まぁ、難しいところなんですけどね、わがDJとしては、将来の夢について考えさせて、それを英語と直結させるよう、日々考えさせています。
英語が好きな子とか、一人で勉強する子に対しては、そんなことはしないのですが、
英語を勉強したくない子に対して何ができるのかといえば、英語の何を教えてもほぼダメなのです。
それは、子どもが悪いわけじゃなくて、好き嫌いの問題だから仕方ないといえます。
なるべく好きになるように仕向ける、しかないと思います。
これは、すごくすごく時間がかかることですが、
私としては学力と言うのは、親と先生が見ていない一人でいる場面でどう考えてどう学ぶか、ということだと思っていますので、
叱って殴って強制しても全く学力UPにはならないと思いますし、まぁ時間をかけるしかないと思うわけです。
そうこうしているうちに、塾をやめられる場合も多々ありますが、それはもう仕方ないですね。教育というのは、テストのスコアが上がればそれでいいという近視眼的発想では考えられないというのが、DJの考えです。
まぁ、人のやる気を引き出すために、
大人なら、ボーナス引き上げれば血眼になって働きますが、
子どもに対しては、なかなか即効性のあるご褒美を用意してあげるわけにもいかず、
そのあたり、子どものモチベーションアップに対して何を用意するのかはセンシティブな問題ですが、
将来の夢と結びつけていく、しかないと考えているのです。
ダメなら、将来の夢を諦めることになるわけですが。
話を元に戻しますが、
要するに、
英語ができない
↓
教育が悪いせいだ
↓
教育を変えればいい
↓
英語力UPまちがいなし
という発想は、極めて短絡的だと私は言いたいのです。
塾の中でさえ、そんな発想は大間違いである以上、
ましてや日本で、英語ができないから教育内容を変えようなんて発想は、
大間違いであると確信しています。
さらに、もっと根底にある、議論をひっくり返すようなことを言うとしたら、
英語がイヤなら、お前は何をしたいんだ?
という問いかけを子どもたちに用意してあげても良いのではないかと思うのです。
英語ができないと落ちこぼれになる、
そんなことが約束されないような教育が必要じゃないかと思うのです。
まぁ、いずれにせよ、
TOEFL導入は反対です。
PS
この争論でTOEFL導入賛成の遠藤利明さんは、
「私は受けたことないです。受けても10点ぐらいでしょうか。」
と言っています。
TOEFLやったことのない人が、TOEFL導入というのは、どうなんだろうかと思います。
私は初めて受験したのが大学卒業と同時の時で、
このとき、ペーパーで500点をようやく超えたか超えなかったか、のスコアだったのを覚えています。
このスコアを600点まで伸ばすのに2年近くかかったのですが、
アメリカに3年間留学して、ようやく610点でした。
仮に東大受験資格を取るためのTOEFLスコアを決定するとしたら、
ペーパー換算で、一体何点にするのだろうか?
そのあたり、すごく興味深いです。
500点は結構ハードルが高いんじゃないかと思いますし、
それでも500点なんかじゃ、はっきり言って英語は使い物になりませんし、
また中堅国公立・私立の子たちはTOEFLのスコアでふるいわけができるかといえば、全くそんなことはなく、
単なるアンケートくらいにしかならないでしょう。