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主人公


URL
https://youtu.be/DFk71GIYaAQ

作者コメント

天空には一体何がある?

そこには天国と呼ばれる国があると言われている。


天国には何がある?

それは誰も知らない。






Heaven’s Express 

(0:00)
空は厚い雲に覆われる。

灰色に濁った空によって、辺りは静けさに包まれていた。



しかしその時、厚い雲のほんの少しの隙間から一筋の太陽の光がこぼれ落ちた。


こぼれた光は地上へと差し込み天使の梯子と言われる美しい景色を生み出す。


光が空から差し込み、その日差しから生まれた天使の梯子。

この天使の梯子。様々な話があるがその中でもこれは死者が天へ昇る時の道標だと言われている。


すると天使の梯子は突然姿を変え文字通り「梯子」となったではないか。


空と地上が巨大な梯子で結ばれたその時。



(0:42)

「出発進行!!」


それを合図に僕は声を上げた。


かつて列車と呼ばれた船はその重い車輪を回し少しずつ動き始めた。
列車は僕を乗せどんどん加速する。

この線路は何処までも続き先が見えない。しかし天地を繋ぐあの梯子へと向かっている。


僕達が目指すのは天に存在する世界。


この船で天を繋ぐ梯子へと趣き
そのまま梯子を昇り空へと向かう。



すると少しづつ雲が晴れていく。


風が雲をかき分けその空間から太陽が地上へ顔を見せた。

辺りは瞬く間に晴れ行き地上は明るさを取り戻す。

だが梯子とその周辺の雲は不自然にも消えずに残っている。

きっとあれは天と地上を結ぶ入り口で間違いないだろう。


列車は軽快に車輪を回し梯子へと向かっていくのであった。


(1:57)
天空には一体何がある?

そこには天国と呼ばれる国があると言われている。


天国には何がある?

それは誰も知らない。
何故なら誰も天国に足を踏み入れた事が無いからだ。
まず作り話であるために本当に存在するかどうかも考え物である。

だから僕は本当に天国が存在するのかその真実を知るために空へ向かうのだ。

そしてもう一つ。天国はこの世を去った人が向かう場所と言われている。

つまり僕が幼い頃に亡くなった母さんは今、天国にいると言う事になる。
僕は母さんに逢えるのなら、と思い天国に向かう事を決意した。

(2:35)

列車は休むことなく車輪を回し続け走り続ける。

風と共に線路を駆け抜け木々を抜け海を抜け。

何里もの距離を列車は休むことなく走り続けた。


遠くにあった梯子もようやく目の前に姿を現す。

地に差し込んだ梯子を調べてみよう。

梯子の地上に着いてる部分は偶然なのか必然なのか、線路に上手く結合されておりこれなら上手く上る事が出来る。
(2:52)
巨大な梯子を線路代わりにし列車は登りはじめる。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、


重力に負けじと列車は重い巨体を少しずつ持ち上げ空を目指す。

光で出来ているだけあり梯子は半透明。
それは異様な光景だろう…。
列車が空に向けて登っているのだから。

列車はゆっくりながらも少しずつ進んでいく。
ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン

にしても丈夫な梯子である。これだけの巨体が乗っても折れるどころか軋む事もしないなんて。


列車はようやく雲にまで達した。

辺りは真っ白で何も見えない。しかし列車は休まず上へ上へと突き進む。線路ある限り列車は何処までも進むのだ。

ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン

(3:53)
やっとの思いで雲の海を抜け出した。列車は水滴を振り払い辺りを見渡した。

上には恐ろしいほど澄んだ青空が広がり下には白い雲の海が広がる。
先ほどまで登りだった線路もここからは地上のように平坦となる。

「さあ山場は抜けたぞ!列車よ!急行で突き進め!出発進行!!」


列車は再び猛スピードで走り出した。
雲海を走る列車。何とも幻想的な光景。

雲に浮かぶ光の線路は丁度雲に隠れている為列車はまるで雲の上を走っている様にも見える。

走り続けると
光の線路は途中で無くなっていた。

だが列車は止まらず寧ろ加速していく。

高速で走る列車はそのまま線路を飛び出した。

その時、僕は声を上げる。
「今だ!開翼開始!」
(4:05)








僕の掛け声に列車は突然巨大な翼を広げた。
そのまま空を飛行する。それはまるで巨大な鳥の様に。

ここからはもう線路は無くなり空を飛んで前へ進むと言う形となる。


空は途轍もなく寒く、吐いている息は白くなる。
しかし太陽に近い分、日差しは強く意外にも気温は申し分ない。



ん?あそこに何か大きな物が浮かんでいる…
あれは…天国か!!?
(4:45)

そう。あれは空に浮かぶ大陸、天国だった。

言うなればこの長い船旅の終着駅と言うべきか。

僕は天国へ列車を向かわせた。


無事に陸に辿り着き翼を畳み陸に列車を停車させる。

陸では突然の来訪に天国の住人が騒ぎたてた。
「何だ!?この鉄の塊は?」

「地住人だ!皆!地住人がやって来たぞ!」

「あれが地住人か!?初めて見た!それにまだ子供じゃないか。」

天国では僕を見て騒ぎ立てる。

「本当に翼が生えてないのか。これで生活は不便にならないのか?」

どうやら天国の住人は背中に翼が生えているらしい。

「…!」
(5:21)
その時、誰かが僕の名前を呼ぶ声がした。
どこかで聞いた事のある声…

辺りを探しその声が誰の声なのかすぐに分かった。
そう。僕のお母さんだった。
「お、お母さん…!」

僕は母さんに駆け寄った。
「急に居なくなってごめんね。元気だった?よくここまで来れたね。」

「うん、大丈夫だよ」
母さんも同様に背中に白い翼を生やしていた。

でもそんな事どうだって構わない。僕は亡くなった筈のお母さんに会えた事が嬉しくて自然と涙が溢れ泣いてしまった。



(5:52)
─────

天空に存在する国。天国。

そこには背中に鳥のような白い翼を持った天住人という種族の人間が生活している。

同時に、私達は人間の中でも地住人という種族である事も発見された。
また、地上で亡くなった者。すなわち死者も天に昇る時、この国に辿り着くという。
国に着いたその時、天住人と同じように背中に長い時を経て白い翼が生えて来るのだ。


天住人は死者の存在により地上を知るが地住人は空からの情報を持つ者が来ない為知ることは無かった。
しかし私が子供の頃天国の存在を明るみにし大きな発見へと繋がる。


現在では様々な技術の開発が進み地住人は安易に天国に向かう事が可能となった。

天住人も同様、背中の翼を使い地上に降り立つ事が多くなった。

外見や種族なんてそんな事は気にする事はない。私達は彼らと友好的な関係を築いていきたいと願っている。


─────
(6:35)


~~

天国急行閲覧ありがとうございます。
MGR-T さんの曲を書くのはこれで4作目となりました。

初期案では翼の生えた船に乗って空を旅する内容でしたが曲名のexpress は電車から取ったものらしいのでそちらを踏まえ列車という形にしました。

疾走感溢れるハッピーハードコアは聴いてて楽しくなりますね~(笑)

今回も素敵な楽曲をありがとうございました!