長崎県平戸市が1年間で14億円近い寄附を募ったことは記憶に新しいと思います。
(3月15日の記事参照)

同市が多額の寄附を募ることができた要因として、寄附者に対するいわゆる「お礼」が他の自治体よりも抜きん出ていたことが挙げられます。
今回はこの「お礼」を受けた場合の課税関係について検証していきたいと思います。
税法における寄附の概念に「反対給付を伴わない」という要件があります。
反対給付を伴わないということは、寄附者は相手に見返りを求めていないということです。
見返りを求めている場合には、それは寄附ではなく、ただの購買ということになります。
(注:ふるさと納税がカタログショッピングだと揶揄しているわけではありません。)
寄附が反対給付を伴わない行為であるならば、寄附を受けた自治体は、寄附者に対して「お礼」をする必要もないことになります。(実際に「お礼」を行っていない自治体もあります。)
自治体が寄附者に対して「お礼」を行っている場合には、その行為は寄附とはまた別の行為ということになります。
すなわち、ふるさと納税において「お礼」と表現してきたものは、本質的にはお礼でもなんでもなく、自治体からの個人への「経済的利益の供与」に該当し、寄附者にとっての「一時所得」を構成することになるのです。
一時所得の金額は、収入金額からその収入を得るために支出した金額を控除した残額から、さらに特別控除額(最高50万円)を控除して計算されます。
収入金額とは「お礼」としてもらったモノやサービスの一般的な相場を指します。
「普通に買ったらいくらかかるか」といったイメージです。
これに対し、その収入をを得るために支出した金額とは、実際に寄附した金額
…ではありません。
前述のとおり、寄附と「お礼」に直接的な対応関係はないため、収入金額から寄付金額を控除することはできません。
「でも、お礼だけで50万円も超えるわけないじゃん。」
おっしゃる通り、お礼だけで年間50万円超えるためには、その倍以上の寄附をしないといけませんからね。
しかし、まれに「お礼」に税金がかかるケースがあります。
それは、同一年中に、保険の返戻金を収受したり、競馬で万馬券を当てていたりする場合です。
返戻金や万馬券も、単独で一時所得を構成することはまれですが、一時所得の計算にあたっては、年間のこれらすべての金額を合算したうえで50万円と比較し、これを超える場合には、一時所得として所得税・住民税の課税関係が生ずることが考えられます。
今回の検証は、法律の解釈に沿ったものではありますが、実際には「お礼」にかかる収入金額の考え方や、そもそも該当するケースがどのくらいあるのかなど、現実的ではない部分が多く、実務上すぐに影響を及ぼすものではないと考えます。
しかし、平成27年度税制改正において、個人住民税からの控除限度額が従来の2倍に拡充され、確定申告不要制度も導入されたことで、今後、同制度の利用が進み、看過できない段階に達したときには、何らかの取り締まりもあるのではないかと考えます。
【国税庁 質疑応答事例】
「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係
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