最初にレビューする作品を考えに考えた末、誰しもが知っているであろう超王道バンドが出だしとしては良いだろう、と。
グリーンデイに決めた訳だけど、、、

今回紹介するのは、大名盤「Dookie」や「American Idiot」ではなく

あえて、このアルバム。
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「Insomniac」(インソムニアック)

1. Armatage Shanks
2. Brat
3. Stuck With Me
4. Geek Stink Breath
5. No Pride
6. Bab’s Uvula Who?
7. 86
8. Panic Song
9. Stuart and the Ave.
10. Brain Stew
11. Jaded
12. Westbound Sign
13. Tight Wad Hill
14. Walking Contradiction



この作品は、メジャーデビューアルバムにしてバカ売れした「Dookie」(世界総売り上げは2000万枚!)の翌年リリースされたメジャー2ndアルバム(インディー時代を含めると4th)で、1995年作。

前もって言っておくと、この作品は世間からもファンからも人気がなく、1番評価が低いアルバムだ。

けれど、僕は「このアルバムこそ彼らの最高傑作だ」と豪語する。
周りの人間にもこの話をすると「えぇ!?」と驚かれる。
グリーンデイに触れた人・好きな人は周りに沢山いるけれど、僕自身、僕以外このアルバムが1番好きな人に出会った事がない。

こんな事を言われたら購買意欲が湧かない人が多数だろう。中には怖いもの見たさで興味を持った方もいるかもしれないが、、、。



これから 大迷盤(僕的、大名盤)をレビューしていく。



まず、何故この作品がグリーンデイ史上最も人気が無く、評価が低いアルバムなのか。

まず1番に言えることは、らしくなさ だろう。
このアルバムは、世間が彼らに持つイメージとは真逆な作品だ。

大ヒットした前作「Dookie」の成功によるプレッシャー、忙しさからくる疲労から名付けられた「Insomniac」という名前、和訳すると 不眠症患者。ギターボーカルである、ビリージョーもこの時相当、精神的に参っていたそうだ。

そんな理由からか、大ヒットした前作ではありえない程ギャンギャンに歪んだノイジーなギターの音、いつにも増してネガティヴな歌詞。

一聴してもらえればわかるとは思うが、異常な程重く、暗い空気感が漂っている。彼らにこの空気感を感じるのは後にも先にもこの作品だけだ。


そして、もう一つ明確な理由は これといったキラーチューンが収録されていない事だろう。

グリーンデイを聴いて、グッと来なかった人がよく言う台詞「どれも同じ曲に聞こえる」。
それを一番安易に吐き捨てられそうなアルバムがこの作品。

確かにパッと聴いて頭に残る「Basket Case」のような曲も、「American Idiot」のような一度聴いたら忘れないギターリフも、聴いた直後に口ずさめる「Minority」のような曲も収録されていない。


けれど、この作品の魅力はソコではない。


じゃあ、何処なのか。そして何故僕がこの作品をこんなにも愛してやまないのか、個人的な話を交えて話させてもらう。

まず僕と、この「Insomniac」と出会ったキッカケを。

僕がこの作品と出会ったのは、小学5年生の頃。ハードコアパンクバンドを組んでいた従兄弟の影響で、パンクやハードコアにハマりはじめた頃だった。エレキギターを従兄弟に習い、弾きはじめたのもこの頃。まさに、人生のターニングポイントに出会った。

けれど当時、僕自身もグリーンデイには良いイメージを持っていなかった。
洋楽好きの兄貴のいるマセた同級生が「Basket Case」を聴かせてくれたのが初グリーンデイ。
正直全く グッと来なかった。
僕の音楽的師匠だった従兄弟も数多いるパンクスと同じように「グリーンデイはパンクじゃねぇ」と言っていたし、小学生ながら「メロディは良いけどコレ、カッコいいか?」と。
今考えると従兄弟の言っている事を鵜呑みにして聴いていたのだと思うが、、、

そんな中だった。ある日、従兄弟の部屋のラックに入れてある沢山のCDの中、1枚グリーンデイのCDを見つけた。それが「Insomniac 」だった。

ラックから取り出し、ジャケットを見ると、不気味なコラージュ画。
ケースからブックレットを出して、折りたたまれたそれを開いて驚愕した。「なんだこれ、かっけぇ絵だな」と。その絵を1時間くらい見入ったのを今でも覚えている。
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こちらの絵だ。Winston Smith作の「God Told Me to Skin You Alive」。ちなみにこれは一面が絵の全容になってるLP盤ジャケ。

唯一知っている曲「Basket Case」も収録されていないグリーンデイのアルバム。
「グリーンデイはパンクじゃねぇ」と言っていた従兄弟のラックに入っていた、グリーンデイのアルバム。
聴きたい。素直にそう思った。

プレーヤーの再生ボタンを押すと、流れ出したのは、荒々しさ全開の早急な金太郎飴的パンクロック。ただグリーンデイのイメージにあったグッドメロディは健在だし、30分間をアクセル全開で突っ走るような潔さ・爽快感を感じた。
前述したノイジーなギターも、反抗心とネガティヴさが溢れてる歌詞も全てが僕の幼心を震わせた。

グリーンデイのポップな側面ばかり見て毛嫌いしていた自分には、この作品が格好良く思えた。
何回もリピートして、気づけばこのアルバムの虜になっていた。

この日「Insomniac」を従兄弟から勝手に借りパクした。そして何年も何度も聴いた。そして未だ、その借りパクしたCDを大切に聴いている。


いまの僕は、世界的名作「Dookie」に入ってる「Basket Case」の良さもわかるようになったし、名盤と名高い「American Idiot」も好きだ。

けれど、やっぱり「Insomniac」が一番好きな作品で、思入れもあるし、僕は未だ、このアルバムの狂気に夢中だ。


「グリーンデイはパンクじゃねぇ」なんて言っていたパンクスの従兄弟のラックに入っていた(矛盾は気にせず) グリーンデイの真パンクロックアルバム。

この作品がパンクじゃないなら、何がパンクなんだって位のパワーと説得力。

グリーンデイを聴いて気に入らなかった人・好きじゃない人にも1度このアルバムを聴いてほしいし、グリーンデイを気になっている人は、あえてこのアルバムから入るのを薦める。


個人的に好きな3曲
M1.Armatage Shanks
M9.Stuart And The Ave.
M11.Jaded

アルバム評価:★★★★★
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