とあるデパ地下の休憩コーナーにしばらく座っていると、いろんな人の往来がある。
2時間前、婆さんが大きな声でおじさんと話していた。
どうやらこの二人は知り合いではないようだが、おじさんが何か婆さんに親切をしてやったようで、婆さんはしきりにありがとうと繰り返していた。
その婆さんが2時間ぶりに現れて、おじさんのところへやってきた。
「まだおられたん」
と、それから特になんとい事もない世間話を始めた。
住んでいる地域だとか家族構成など、とりとめもない会話をしている。
今のご時世、こんなに個人情報を流出させられるおじさんに同情するが、2時間も休憩コーナーにいるこのおじさんの謎が徐々に紐解かれる。
どうやら婆さんもおじさんもこの休憩コーナーの常連であり、今日初めて会話をしたらしい。
これからは顔を合わせる度に会話をするのだろうか。
そんなことを考えながら、やはり2時間もこの場所にいる私自身、何者なのか。