そもそも、”Webディレクター”という仕事自体が(業界的にも)役割をきちんと定義されていないこともあって、私自身、案件によって役割を変え、取り組んだことのない新しい仕事を担当してきました。また、仕事は誰かに与えられるのではなく、いつも"あやふや"なままで押し寄せてくるので、自分で再定義し直す必要がありました。個人的な感覚でいうと、常に"不確実性"と隣合わせで試行錯誤してきたと言えます。
そんな不確実性の中で仕事を進めていくうえで、”失敗”は避けて通れません。今回は、私が日々の業務のなかで意識している、"失敗"への向き合い方をご紹介します。
早い段階で失敗する
どうせ失敗するのであれば、早い段階で失敗しようというスタンスです。
仕事は個人では完結することはありません。作成するアウトプットに対して、必ずそれを受領する 依頼者がいるはずです。コミュニケーションは完璧ではないため、依頼者と作業を行う担当者(あなた)の想定イメージに差異があることが往々にしてあります。長い時間をかけて作ったのに、「コレジャナイ」結果になってしまったら悲惨ですよね。
資料作成であれば、全体がイメージできるラフスケッチや骨子が完成した段階など、要所で必ず依頼者に確認をとるようにしています。
いつもに代替案を考えておく
仕事の中で何らかの判断が必要な場面では、それが失敗した時の代替案を必ず用意しておきます。
ディレクターの仕事では、コミュニケーションの中で、常に判断を迫られる場面に出くわすものです。例えば、「○○のページを△△月××日までに制作しておいてほしい」という具合に、クライアントから突然依頼され、実現可否をせまられた場合を考えてみます。
依頼するデザイナのスキルやリソース状況から、個人的には希望の予定日に完了できる見込みがついたとしても、予定通りに終わらない場合も想定しておきます。この場合は「ご希望の期日での対応は努力目標とさせてください。ただし遅くとも★★日までには完了します」と回答するなどして、代替期日を伝えておくようにします。
※顧客との関係や状況によっては、上記の回答が通用しない場合もありますが。
失敗を成長の機会ととらえる
上記のような対策をとっても、想定もし得なかった”失敗”が起こることがたくさんあります。そんな時は、腹を決めて失敗を受け入れ、積極的に問題解決を試みましょう。間違っても自分自身を責めるようなことがあってはいけません。
失敗を乗り越えた経験によって、かならず問題解決力は向上するものです。また、リスク感度が上がるので、同じような状況に出くわした際、失敗を未然に防げるようになります。
大物の先輩ディレクターに話を聴いてみると、皆さん必ずプロジェクトの失敗談をもっています。私自身も、振り返ってみると、お客様に頭を下げるような大きな失敗をたくさんしてきました。ただ、その失敗から多くを学び、成長のきっかけにできたことも事実です。
今でも日々、業務の中で”失敗”を繰り返しながら試行錯誤は続いていますが、イノベーションに”失敗”は欠かせないと捉え直し、ポジティブに向き合っていこうと思います。
