続き


―この成果(⁠年金積立金の7-9月期の運用益が14兆円超)は来年の年金に反映して増えるって話になるんですか?


いいえ、ならないんです。

来年の年金は増えないです。

この積立金は何ですか?っていうところから説明します。


我々が納めている年金保険料と、国庫が負担している額で年金が支払われていて、老齢年金、遺族年金、障害年金というところに回っているんですけど、年金の額の計算にのっとって払った後に、余剰金があるわけですよ。


―収支トントンじゃなくて、余剰金があるんですね。


そう。その余剰金を4資産(⁠国内/海外の株/債券)で運用していまして、280兆円くらいになっているんです。

さっきの14兆円でも凄いのに。


そんなにあるんだったら年金の額を増やしてよ、という話にならないのには理由があって。


このコツコツ増やしているのは、将来世代のためのものなんです。

少子高齢化がなかなか止まらないですから、50年後、100年後に将来の世代が年金をもらう時に、年金を納める人たちが少ないから大変じゃないですか。

その時の人たちが納める年金保険料と国庫が負担する額よりも、計算して支払うべき年金の額が多くなってしまう。

収支がマイナスになってしまうことが想定されるわけですよね。


―今は余剰金出ているけど、将来は収支マイナスになる可能性が高いということですね。


その時の不足分を補うために、余剰金を使わないで、全部来年払っちゃおうとしないで、積立金に回し4資産で運用してコツコツ 増やして…っていう感じ。

これは、短期的に誰かにお金入る、儲かるっていうよりは、将来の不足分への備えなんです。


―なるほど。それを聞くと、積立金収益が自分の年金に反映しないってなっても、まあ納得となります。


自分のことだけじゃなく、っていうことですね。

最近は収益が出たという話が続いていますけれども、運用ですから損失、マイナスが出るという時も大いにあります。

逆に言うとマイナスが出ても、すぐ次の年の年金が減ったりすることもないんです。


280兆円くらいの大きい額なので、ちょっと何かあっても、減ったとしても、まだ結構あるという状況ですよね。


―悪い時があっても、その280兆円から減るわけですね。


増えたり減ったりしながらも、将来のためにコツコツ増やして、50年、100年公的年金が続けられるように備えているという話なんです。


おしまい。


AIR-G お昼の番組 TipHop。

月曜日のコーナーは「お金について」

パーソナリティは松尾亜紀子さん。

講師はFP・社会保険労務士の川部紀子さん。


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今週のテーマは公的年金の運用についてです。

運用を行っているのは、年金積立金管理運用独立行政法人、略してGPIF

(Government Pension Investment Fund)


今年4月から9月期の運用益が、先週金曜日発表になりました。

全然報道されていないですね。

外国のメディアは結構報道しているんですけれど。


この運用益、14兆4477億円プラスということです。

14兆4477億円生まれた。

どのくらいの規模か?

北海道の数字を使って色々説明出来たら、と思って計算してみました。


北海道新幹線、新函館北斗駅から札幌駅に繋ごうとしていますが、あれが6本 作れます。


―凄そうってのは分かりますね。


或いは、北海道の観光消費。

観光で来て、どれだけお金を使ってくれるかの9年分。


―こっちの方がいいですね、例えとしては。

でも、なぜそんなに増えたんですか?


株高と円安ですね。

年金積立金は4分の1ずつ、日本の株と債券、外国の株と債券で運用されています。

その株が国内も海外も、歴史的に調子が良かった。

あと、外国の株式と債券が50%あって円安だったので、国内債券以外の4分の3が右上がりだったわけです。

まあ国内債券は守りの要素があって、上がっても知れているので、国内債券が悪かったっていう意味ではなく、他の4分の3が良かった。



《GPIFのHPより》









続く