有酸素運動無用論

マフェトン理論は運動強度と有酸素運動能力に密接な関係があるとしています。

ところが、運動強度と脂肪の燃焼には関係がないと主張する人たちがいます。

近年、有酸素運動よりも無酸素運動の方が優位であるとする研究が次々と発表されています。

たとえば、つぎの研究があります。
http://jap.physiology.org/content/92/3/1045.full

この研究は、ヒューマンカロリーメーター室内で、最大酸素摂取量の40%強度の運動と、70%強度の運動を行い、24時間後に脂肪燃焼量を比較したところ、脂肪の消費量は同じだったというものです。
研究の参加者は成人16名で、低強度の運動で400Kcal、高強度の運動で400Kcal消費してもらって、24時間後の脂肪の燃焼量を測定したのですが、結果は同じだったというのです。

下表はその結果です。


ダイエット7

この研究が、有酸素運動無用論を唱える人たちの根拠になっているもので、この研究がよく引用されます。

ほかにも、平均基礎代謝1600Kcalの肥満患者たちを筋トレと有酸素運動のグループに分け、一日800Kcalのドリンクを与えたところ、筋トレグループの除脂肪体重はあまり減らなかったが、有酸素運動グループは除脂肪体重が大きく減ったという研究などもよく引用されます。

もちろん、一日の消費カロリーが同じであれば、脂肪の消費量が同じになるのは当り前です。
そんなことは当前の話です。しかし、ダイエットで大事なのは、そんなことではないのです。


人体には恒常性を維持する機能があるので、食べる量を制限すると、空腹感が増します。
運動をして消費カロリーを増やすと、食欲が増します。
大事なのは、どんな食事が食事の量を減らせるかということです。
どんな運動が食欲を増やさないで脂肪を燃やしやすいかかということです。
ダイエットでもっとも大事な要素である食欲と空腹感に関しての考慮が、先の研究ではまったく欠落しています。


陸上部の短距離の選手が長距離に転向したら、体脂肪率がみるみる下がるという話はよく知られています。

私たちは多くの経験から、食事を制限しないで運動だけでは、痩せるのが困難なことを知っています。運動よりも、適切な食事をとることの方が大切なことを知っています。

高強度の運動をすると、筋肉はパワーを出すためにグリコゲンを燃やしますが、筋肉が貯蔵しているグリコーゲンは緊急用エネルギーなので、身体は次回の食事で最優先で回復します。

そのため、高強度の運動をすると、空腹感が増します。

低強度の運動での主なエネルギー源は脂肪です。脂肪は体内に膨大な量が蓄積されているので、いくら使っても空腹感に影響を与えません。ですから、低強度の運動は、空腹感が少なく食事の量を制限しやすいのです。言い換えれば、消費カロリーが少ない運動の方が、脂肪の消費量を多くすることができるのです。


マフェトン理論

マフェトン理論はアスリートのために、医学、エネルギー代謝、運動生理学をわかりやすくまとめた運動理論です。
私たちの身体に蓄えられている脂肪は、たえず蓄積と分解を繰り返しています。
もしも、この脂肪の分解と蓄積が止まるとすると、脂肪は固形化し、必要なときに取り出せなくなります。ですから、脂肪は分解と蓄積はたえず繰り返されています。

肥満を防止するには、脂肪の合成を少なくし、分解を高めることが必要です。
そのためには、食事の量を調節し、運動によって分解を高めることが求められます。
どんな運動をすれば、食事の量を減らし、脂肪の燃焼を多くできるでしょうか?


マフェトン理論は、
・運動時間の85%を低負荷で行い、15%を高負荷の運動で行うと効果的といいます。
・低負荷の運動は、目標心拍数を180公式で求めます。


目標心拍数 = 180 - 年齢


計算例:
年齢が30歳の人の場合、目標心拍数を、180 - 30 = 110として求めます。
30歳の人は心拍数110で運動すると、有酸素運動能力がもっとも効果的に高まるという理論です。


ダイエットでは、適切な食事をした上で、消費カロリーが少なく脂肪の燃焼比率の大きい運動をする方が空腹感が少ないので、より早く脂肪が減ります。


下図は去年1年間の私の体重グラフです。
正月からジョギングを始めて、マラソン大会に2回出ました。
マラソン大会が終わり、11月からはスポーツジムで筋トレ30分、ジョンギング30分、水泳30分に切り替えたら、4Kg体重増加、体脂肪率が5%増加しました。これは、毎年の傾向です。

去年の秋からスポーツジムに通い始めて、体重が4Kgも増え、体脂肪率が7%も増加しました。


ダイエット7


久しぶりにジョギングをしてきました。

ぽかぽか陽気で、太陽を背中に受けて走るとナントモ気持ちの良いものです。

歩道に雪が残っていたりするけど、スポーツジムで汗びっしょりで走るよりも、はるかに気持ちの良いものです。

元旦の目標で、今年は神戸マラソンと大阪マラソンを宣言したし。




これらの研究結果を根拠にして、有酸素運動無用論者たちは、筋肉で脂肪が燃えようがグリコーゲンが燃えようが、痩せるかどうかは一日のカロリー次第だと考えています。また、有酸素運動は消耗性の運動だと信じています。だから、有酸素運動無用論者はあまり有酸素運動をしない人が多いようです。


有酸素運動は少ない消費カロリーで脂肪が良く燃えます。少ない消費カロリーで脂肪がよく燃える運動の方が効率よく痩せられます。

空腹感が少なく、体脂肪率がよく減る運動はどんな運動か、有酸素運動無用論者も一度考えてみてください。