ダイエットの運動は、少ないエネルギーで脂肪がよく燃える運動の方がらくで効果的です。はっきり言うと、消費カロリーが少ない運動の方が脂肪がよく燃えます。
なぜ、運動強度の低い運動が脂肪が良く燃えるのでしょうか?


人体の筋肉も心筋も呼吸筋も消化器もすべて筋肉でできています。
これらの臓器は、原則として貯蔵エネルギーを使います。食事から直接得られるエネルギーが占める割合は5%以下です。

また、人体が使うエネルギーの大部分は、体内に貯蔵されている大量の脂肪です。
人体に貯蔵されているエネルギーは、ほかに、肝臓に100gのグリコーゲンと筋肉に300gのグリコーゲンが貯蔵されています。
血液中の滞留しているアミノ酸もエネルギー源になりますが、アミノ酸の代謝はやや複雑なので、ここでは触れないことにします。


運動で使う筋肉には、速筋と遅筋があります。

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速筋

速筋は、短距離走や縄跳びなど、パワーが必要なときに使う筋肉です。速筋は筋肉内にグリコーゲンを貯蔵しています。グリコーゲンは酸素なしでも燃えるので、燃焼速度が速く、パワーが出ます。


下図はグルコースの構造式です。グルコースは、炭素(C)と酸素(O)が1対1で結合している物質で、宇宙ロケットのように酸素なしでも燃焼するので、燃焼速度が速くパワーが出ます。このグルコースがたくさん繋がったものがグリコーゲンです。
速筋はこのグルコースを燃やすので、パワーが出ます。


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遅筋

遅筋は血液中の脂肪を燃やすのが得意な筋肉です。遅筋は細胞内にミトコンドリアを多く持っています。
遅筋は瞬発力には弱いのですが、持久力が強いという特長があります。
下図は脂肪の構造式です。脂肪は炭素(C)が長くつながった物質です。


この構造式からわかるように脂肪には酸素がふくまれていないので、脂肪を燃やすには、まず、ミトコンドリアに取り込んで炭素分子を2個ずつに分割し、血液中の酸素を結合させてから、TCA回路に送り込んでエネルギーを取り出します。
ですから、脂肪を燃やすには、有酸素運動でなければならないのです。

有酸素運動は、無酸素運動のような大きなパワーが出ませんが、その代わりに持久力が大きいという特長があります。消費カロリーは小さいのですが、脂肪がよく燃えるのです。


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無酸素運動論者の中には無酸素運動でも脂肪が燃えると主張する人がいますが、無酸素運動で脂肪を燃やすのは効率的でありません。
筋肉は普段は血液中の脂肪を燃やしていて、スピードを出すときにだけグリコーゲンを燃やしてパワーを出します。
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動では、主に遅筋が脂肪を燃やしています。そして、スピードが必要なときにだけ速筋が使われます。


下図のグラフは有酸素運動で使われれるエネルギーの割合を示したものです。
ウォーキングでは消費カロリーの60%が脂肪の燃焼によります。
ジョギングでは消費カロリーの50%が脂肪の燃焼です。
ジョギングの走行スピードが8Km/hを超えると、スピードが速くなればなるほどグリコーゲンの消費が多くなり、脂肪の消費はむしろ少なくなります。
このように、脂肪の消費量は消費カロリーに比例して増えるわけではないのです。



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ダイエットは、脂肪の消費が目的です。消費カロリーを大きくするのが目的ではありませんから、消費カロリーが小さく脂肪の燃焼が大きい運動の方が得なのです。


マフェトン理論につづく...