カーディオゾーンと脂肪燃焼ゾーン
カーディゾーンとは、心肺機能を鍛えるのに効果的な運動領域のことをいいます。
カーディオゾーンは、最大酸素摂取量70~85%の強度の運動で、脂肪燃焼率はおおよそ40%以下です。
脂肪燃焼ゾーンは、最大酸素摂取量の60~70%強度の運動で、脂肪燃焼率はおおよそ50%です。
脂肪燃焼率50%とは、消費カロリーのうち50%が脂肪の燃焼で得られるという意味です。
脂肪燃焼率40%とは、消費カロリーのうち40%が脂肪の燃焼で得られるという意味です。


脂肪燃焼率は、次のように計算します。たとえば、
成人女性が8Kmの距離を、時速8Km/hで走ると、1時間かかります。このときの消費カロリーは365Kcalで、そのときに燃焼できる脂肪は365 * 0.5 = 182Kcalです。
同じ女性が8Kmの距離を、時速12Km/hで走ると、40分間で走れます。このときの消費カロリーは約400Kcalで、燃焼できる脂肪は400 * 0.4 = 160Kcalです。


脂肪燃焼率とは、このようなものです。
カーディオゾーンで走ると、スロージョギングよりも消費カロリーが大きくなりますが、消費カロリーが大きくなると、それだけお腹がすきます。

脂肪燃焼ゾーンで走ると、少ない消費カロリーで脂肪が良く燃えます。
少ない消費カロリー、つまり、省エネ走法で走ると、同じ時間走っても脂肪が多く燃え、かつ、お腹がすきにくいのです。


たとえば、同じ距離なら歩いても走っても消費カロリーはあまり変わりません。
そして、同じ距離なら、時間が長くかかるので歩いた方が脂肪の燃焼量が多くなります。


下図は、走行速度ごとの脂肪燃焼比率をグラフにしたものです。

筋肉は普段は脂肪を燃やしてエネルギーを得ていますが、ウォーキングやランニングでスピードを上げるときにはグリコーゲンを燃やしてパワーを出します。

ですから、スピードを上げれば上げるほど、脂肪が燃えなくなります。



ダイエット7



脂肪燃焼ゾーンと心肺強化ゾーン


脂肪燃焼効果について、つぎのように反論する人がいます。

脂肪燃焼ゾーンの運動強度は、最大心拍数の60~70%の運動で、このときの脂肪燃焼比率はおおよそ50%である。

心肺強化ゾーンの運動強度は、最大心拍数の70~85%の運動で、脂肪燃焼比率はおおよそ40%である。


このように低強度運動の方が、「脂肪燃焼率」が高いことは、紛れもない事実です。


例えば、ランニングマシンで30分間走るとしたら、
脂肪燃焼ゾーンの場合、消費カロリーは約100Kcalで、従って、脂肪減少は100x脂肪燃焼率50%=50kcalになります。

一方、心肺機能強化ゾーンの場合、消費カロリーは180kcalで、従って、脂肪減少は180x脂肪燃焼率40%=72kcal相当となります。


このように、高強度運動の方が消費カロリーが大きいので、脂肪燃焼率が低くても、トタータルの脂肪燃焼量が大きくなるのです、と反論します。しかし、運動時間が一定であれば、運動強度の高い方が、消費エネルギー量が大きくなります。


ダイエットとは


ダイエットの減量効果は、食事制限の効果が7で、運動の効果は3です。

いくら運動をして消費カロリーを増やしても、そのために摂取カロリーが増えては何にもなりません。

ダイエットは摂取カロリーを減らし、その上で、運動をして消費カロリーを増やします。


先の計算では、

脂肪燃焼ゾーンで30分走ったときの脂肪減少は50kcalでした。グラムに換算すると6.9gです。

心肺機能強化ゾーンでは、脂肪減少が72kcalでした。グラムに換算すると10gです。

私たちの目的は、なるべく摂取カロリーを増やさないで、脂肪を減らすことです。

脂肪は体内にたくさん貯蔵されているので、いくら使ってもお腹がすきません。

だから、摂取カロリーを増やさないで脂肪を減らすには、消費カロリーよりも、より脂肪を減らせる運動を選ぶことが大切です。


先の例は、ウォーキングとランニングの場合を例にして考えると、わかりやすくなります。

ウォーキングを1時間するのと、ランニングを1時間する場合を比較すると、ランニング1時間の方が脂肪の燃焼量が大きくなるのは当然です。

しかし、ウォーキング1時間とランニング30分では、どうでしょうか?


ダイエットの目的が、摂取カロリーを抑えながら、脂肪の消費をいかに多くするかが問題なのですから、上の計算例のような比較は当たりません。

ダイエットは消費カロリーが少なくてよいので、脂肪の燃焼量が大きければ良いのです。


消費カロリー > 摂取カロリーが原則なのだから、運動はどんな運動でも結果は同じとか、食前でも食後でも消費カロリーが同じだったら、結果は同じと考える人がたくさんいます。

実際に、自分で体験してみたら、わかると思うのですが。

多くの人は栄養管理なしで、運動しますから比較できないのかもしれません。