基礎代謝の計算
基礎代謝の計算方法を教えて欲しいという質問がときどきありますが、基礎代謝の計算はコンピュータプログラムの知識がないと、かなり難しいのです。
哺乳動物の基礎代謝は、身体の小さなネズミから大きな象まで、体表面積に比例することが分かっています。それで、人類の体表面積は、次式で計算します。
男子 = 体重 ^ 0.425 * 身長 ^ 0.725 * 72.45
女子 = 体重 ^ 0.425 * 身長 ^ 0.725 * 70.49
身体の表面積を上の式で計算して、年齢別の基礎代謝基準値を乗じると、基礎代謝が計算できます。
しかし、この式を見てわかるように、指数計算ですから、指数表とか、補間計算とかややこしい計算が必要です。
パソコンを使えば、この計算は簡単にできるのですが、プログラミング知識が必要です。
最近の体重計にはパソコンが組み込まれていますから、簡単に基礎代謝が測定できます。今では、管理栄養士さんも基礎代謝の計算の勉強の必要がなくなりました。
ハリスベネディクト
基礎代謝を計算してくれるウェブサイトがたくさんありますが、殆どのサイトでハリスベネディクト計算式が使われています。ハリスベネディクトは、つぎの式で計算します。
男性の基礎代謝 = 66.5 + (体重 * 13.8) + (身長 * 5.0) - (年齢 * 6.8)
女性の基礎代謝 = 655 + (体重 * 9.6) + (身長 * 1.8) - (年齢 * 4.7)
計算例:
たとえば、身長155cm、体重52kg、17歳女性の場合は、次の様に計算します。
基礎代謝 = 665 + (52 * 9.6) + (155 * 1.8) - (17 * 4.7) = 1363.3となります。
ハリスベネディクト計算式は、一次方程式なので電卓で計算できるので、日本の複雑な指数計算式よりも普及しています。
ただし、ハリスベネディクト式は欧米人用なので、背が低い日本人に使用すると、10~20%くらいも高く出すぎる場合があります。
下図は、日本人用の計算式とハリスベネディクト式の計算結果を比較したものです。
背の高い日本人が使用すると、ハリスベネディクト式でも割合い良い値が出ます。
ハリスベネディクト式は簡単な1次式ですが、指数計算式に近い結果が得られるのに感心します。
厚生労働省の基礎代謝
食事摂取基準の2010年版から、つぎのように基礎代謝基準値を使って計算できるようになりました。
基礎代謝は次の式で計算します。
基礎代謝量 = 体重 × 基礎代謝基準値
計算例:
体重が52Kgで、17歳女子の基準値は25.3です。
基礎代謝量 = 52×25.3 = 1315.6Kcal となります。
ただし、この計算法には欠点が2つあります。
1つ目は、基礎代謝は身長、体重に比例し、年齢に反比例するのですが、この計算方式には身長の項目が入っていません。
標準身長の人は良いのですが、背が高い人は基礎代謝が低く出ますし、背が低い人は多くなりすぎます。
もう1つの欠点は、成長期には、1年ごとに体型が大きく変化するのですが、基準値が3年ごとにまとめられてしまっていることです。
15歳と17歳では、基礎代謝にかなりの差があるのですが、それが平均化されてしまっています。
デジタル体重計が3000円くらいで換えるので、体重計で毎朝基礎代謝を測定する方が良いと思います。
基礎代謝アップのウソ
筋トレで代謝をあげて痩せやすい体質にするというのは、半分本当で半分ウソです。
基礎代謝を測定してみると、筋肉ムキムキの女性よりも、ちょっと太目の女性の方が基礎代謝が高いのです。
基礎代謝とは、食後14時間が経過した状態で、仰向けに寝て安静にしているときの基礎的なエネルギー消費量です。
このときのエネルギー消費で一番多いのは内臓で、筋肉の消費の割合はたったの20%程度です。
だから筋肉をいくら鍛えても、基礎代謝量が増えるのはごく僅かです。眠っていても痩せる身体にはならないのです。
先のハリスベネディクトの式を見てみましょう。
女性の基礎代謝 = 655 + (体重 * 9.6) + (身長 * 1.8) - (年齢 * 4.7)
この式で、身長、年齢、性別は変わりませんから、基礎代謝は体重に比例することがわかります。
基礎代謝は筋肉でも脂肪でも体重が増えればアップしますし、筋肉ムキムキになっても体重が減れば基礎代謝は低下します。
したがって、筋トレをして筋肉ムキムキになって痩せやすい体質になったとしても、体重が落ちてくると基礎代謝が低下するので、痩せにくい体質になるのです。
ですから、筋トレをすると代謝が上がり痩せやすい体質になるというのは、理論的には正しいのですが、それによって眠っていても痩せる体質になるということにはならないのです。
筋トレで基礎代謝を痩せる体質になるには、筋肉を大きくし続けなければならないのです。
NHKためしてがってん!基礎代謝UPで太らない?
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20110105.html
タニタのデジタル体重計に4.3Kgのダンベルを持って乗ると、
結果は、ダンベル1Kgあたり、基礎代謝が約12Kcal アップし、体脂肪が 0.64Kg アップ、体脂肪率が 0.8% アップしました。
手にダンベルを持って乗ると、体重が増えますが、身体を流れる電流が増加しないので、体重計は筋肉が増えたと判断するようです。
タニタの体重計は、日本人用の基礎代謝推定式で計算した基礎代謝を体脂肪率で補正して表示する方式です。
タニタの体重計では、筋肉1Kgあたりの基礎代謝を12Kcalとしているようです。
BC-705
ダンベルなし
体重 体脂肪率 筋肉量 基礎代謝 体脂肪 除脂肪体重 骨塩量
60.4Kg 11.6% 50.6Kg 1424Kcal 7.01Kg 53.39Kg 2.79Kg
ダンベルあり
64.7Kg 15.1% 52.1Kg 1475Kcal 9.77Kg 54.93Kg 2.83Kg