基礎代謝とは

基礎代謝とは心臓、呼吸、体温など生命の維持に必要な最小限のカロリーのことです。つまり、何もしていないときでも、身体が生きて行くために消費している基本的なカロリーのことです。

一般的な女性の一日の緒基礎代謝は1200~1400Kcalです。女性は何もしていないときでも、1時間あたり50~58Kcalずつどんどんカロリーを消費しているのです。

心臓も呼吸も体温も、脂肪を燃やしてエネルギーにしています。ですから、有酸素運動をしなくても、お尻や太ももの皮下脂肪、内臓脂肪が燃やされて減っていっています。


あなたの基礎代謝は?

インターネット上で、基礎代謝を計算してくれるサイトがたくさんありますが、ほとんどのサイトで、ハリスベネディクト計算式が使われています。ハリスベネディクトはつぎの式で計算します。


基礎代謝(男) = 66.5 + (13.8 * 体重) + (5 * 身長) - (6.8 * 年齢)
基礎代謝(女) = 655.1 + (9.7 * 体重) + (1.9 * 身長) - (4.7 * 年齢)


計算例:たとえば、身長153cm、体重48Kg、20歳、女性の基礎代謝は、つぎのように計算します。


基礎代謝 = 655.1 + 9.7 * 体重 + 1.9 * 身長 - 4.7 * 年齢
基礎代謝 = 655.1 + 465.6 + 290.7 - 88 = 1323.4Kcal


もう一度、基礎代謝の計算式を見てください。この式は、体重と身長に比例し、年齢に反比例しています。

ですから、基礎代謝は体重が同じでも背が高いと基礎代謝が高くなります。運動ぎらいな人で、筋肉が少ない人でも体重が重い人は基礎代謝が大きくなります。

基礎代謝は男女とも年をとると低下しますが、加齢による低下はごく僅かで、10年で3%しか低下しません。


一日の消費カロリーは?

一日の消費カロリーは、その人のライフスタイルによって変わります。

一般の専業主婦 = 基礎代謝の1.3倍

育児中の専業主婦 = 基礎代謝の1.4倍

デスクワークの会社員 = 基礎代謝の1.5倍


運動の消費カロリー

運動で消費するカロリーは性別、身長、体重、年齢に拘わらず1時間あたりの基礎代謝に比例します。1時間あたりの基礎代謝を基礎代謝率と呼ぶとすると、基礎代謝率はあなたの一日の基礎代謝量を22.4で割ると計算できます。


半身浴 = 基礎代謝率 * 1.8

ストレッチ = 基礎代謝率 * 2.5

ウォーキング = 基礎代謝率 * 2.8

筋トレ = 基礎代謝率 * 3

エアロビクス = 基礎代謝率 * 5

スロージョギング = 基礎代謝率 * 5

踏み台昇降 = 基礎代謝率 * 6

ジョギング = 基礎代謝率 * 7

水泳 = 基礎代謝率 * 7

縄跳び = 基礎代謝率 * 8.2


基礎代謝を上げる

基礎代謝は身長と体重に比例し、年齢に反比例します。基礎代謝を上げるには、成長期には1年に身長が8センチも伸びますから、早寝早起きをして、よく運動をして身長を伸ばせば良いことになります。

成長期を過ぎた人の場合は、筋肉でも脂肪でも良いので、体重を増やせば基礎代謝が上がります。

よく筋トレをして筋肉を増やせば基礎代謝が向上するので痩せるといわれますが、筋肉が増えれば確かに体重が増えるので基礎代謝が増えますが、その結果、脂肪が落ちて体重が減ると基礎代謝も減るので、元の代謝に戻ってしまいます。実は筋肉を増やし続けなければ、痩せやすい体質にならないのです。


基礎代謝はどのくらい低下するか?

基礎代謝の測定は、食事や運動の影響を受けないよう食後14時間以上経過してから安静な環境で行います。したがって、基礎代謝は食物や運動の影響を受けません。ただし、絶食や極端なダイエットでは最大25%低下します。強い食事制限で基礎代謝が低下することを示す有名な実験が2つあります。

1つは、第2次世界大戦中に某国で行われた人体実験で、捕虜に食事を与えないで基礎代謝を測定したところ、代謝が徐々に低下し餓死寸前では25%まで低下したが、それ以上は低下しなかったというものです。これが、ダイエットで基礎代謝が25%以上は低下しないといわれる根拠になっているものです。

もう1つの実験は、1944年にアメリカ・ミネソタ州で32人の男性が参加して行われました。摂取カロリー1600kcal、週36KMの歩行、肉体労働または通常業務を6ヶ月続けるという実験です。その実験の結果は、つぎのようでした。6ヵ月で平均24%の減量に成功、基礎代謝が40%減少しました。浮腫み、手足の冷え、筋力低下、睾丸の萎縮、めまい、脱毛、心拍数の減少、持久力低下の訴えがあり、精神的には孤独、無感動、抑うつ、集中力低下、口論の増加が見られました。


先の女性は、インターネットでこの記事を見て、自分の基礎代謝が45%も低下したと信じたのですが、しかし、一方で、基礎代謝は25%以上は下がらないという実験結果があります。この2つの実験のどこが違うのでしょうか?

ミネソタの実験では、32人の男性が平均24%の減量に成功し、基礎代謝が40%低下しました。この人たちの平均的な体格を、身長180cm、体重100Kg、年齢30歳として、基礎代謝がどのように変化したかを見てみましょう。
この人たちの基礎代謝は、Diet7のダイエットプランに入力すれば自動的に計算できますが、ここでは欧米でよく使われるハリスベネディクト計算式で計算してみましょう。


ダイエット開始時:体重100Kg、身長180cm、年齢30
基礎代謝 = 66.5 + 100 * 13.8 + 180 * 5.0 - 30 * 6.8 = 2143 Kcal

ダイエット成功時:体重76Kg、身長180cm、年齢30
基礎代謝 = 66.5 + 76 * 13.8 + 180 * 5.0 - 30 * 6.8 = 1811 Kcal

となります。ダイエットの結果、体重が減ると、負荷が軽くなるため、基礎代謝が2143Kcalから1811Kcalに減っています。

体重が減ると基礎代謝は減少しますが、そのことを代謝が低下したとは言いません。代謝の低下とは、身体の調整機能が働いて本来の代謝が低下している状態を言います。
この実験では、基礎代謝が2143Kcalから1811Kcalまで332Kcal減少しましたが、これは2143Kcalの15%にあたります。この15%の減少は、代謝の低下ではありませんから、実験結果から差し引く必要があります。
すなわち、実験開始時の2143Kcalから見ると40%の減少ですが、代謝の低下というのであれば、実験終了時の本来の基礎代謝である1811Kcalからどれだけ低下しているかで表さなければならないのです。そして、それなら25%です。ですから、ミネソタの実験でも、基礎代謝は25%以上は下がらないことを示していることになり、この2つの実験は見事に一致することになります。

ミネソタの実験は、ダイエットの副作用の例としてよく引用されるものですが、これは超過激なダイエットの例です。

この実験では、2143Kcalの基礎代謝に対して1600Kcalの食事制限を6ヶ月も続けていますが、これはデトロイトダイエットよりもはるかに過激です。このような無茶苦茶なダイエットでは、手足の冷え、筋力低下、睾丸の萎縮、めまい、などの症状が出るのは当然です。このような配慮を欠いたダイエットで、平均24%ものダイエットに成功することは、軍隊のような特殊な環境でないかぎり考えられません。

さて、先の女性は基礎代謝が600Kcalまで低下していると信じていますが、基礎代謝はそこまでは低下しないはずです。そうすると、彼女の恐れているものは、水を飲んでも太ると恐れている人たちと同じものだというこになります。


代謝を上げる食べ物

生姜紅茶ダイエットで2ヶ月10キロ痩せたという記事を読みました。
そんなバカなことはないのだけど、生姜が血行を促進することはわかっていますし、もしも体温が上がれば代謝も上がります。
とにかく、生姜紅茶を飲んで、実際に体温が上がるかどうか測定してみました。

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結果は、なるほど体温が上がりますが、5分ほどで元の体温に戻ります。

生姜紅茶が持つ熱量分だけ体温が上がりますが、私たちの体温は肝臓かどこかにサーモスタットがあって、設定された温度を常に保つようになっています。

生姜紅茶を飲むと体温が上がりますが、サーモスタットの設定温度を変えるわけではありません。

生姜紅茶を飲んで体温が一時的に上がっても、そのことで痩せられるわけがありません。体温が24時間、上がり続けるのでなければ、代謝の向上や減量は期待できません。


サーモスタットの設定温度を上げる食べ物
中国医学では、体を温める食材に大きな関心が寄せられます。冷え性の人は、常に温性の食材を食べ、涼性の食材を避けます。
サシミはダメで、生野菜は必ず火を通してから温野菜にして食べます。

下図のような食材が温性のたべものです。
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上図のような温性の食材を食べ、体を冷やすサシミ、豚肉、水、生野菜を食べない生活を1ヶ月送ってみました。
その結果、下図のように体温が0.4度ほど上がりました。

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「東洋医学で食養生」高橋揚子著 世界出版社
西洋医学は病気の研究からスタートしたので、病気の治療に優れていますが、普段の健康管理は個人の努力に任されています。

中国医学は、未病のうちに体質を改善することに重点が置かれるので、普段の食生活で体調を良くするのに優れています。

このため、中医学の食事は私たちのダイエットや健康維持にたいへん役立ちます。

これまでの東洋医学の難解でしたが、この本の著者は西洋医学の言葉で説明してくれるので、抵抗感なく読むことができます。これまでのどの本よりも、この一冊を読むことをおすすめします。