ファッションといえば、有楽町のバーゲン会場でのこんな1コマがありました。
モカ茶系のトレンチコートを購入したときのことです。
たまたま黒のデザイナーもののウールのコートに目がとまり、しげしげと見ていたところ、年配の販売員の女性に試着を薦められました。
「バルマンのコートなの。素敵でしょー。ウールは他の色はどうでもいいけど、黒だけはいい生地でないと」
確かに素敵なコートでしたが、MaxMaraなどと比べると薄地で私には丈が長めでした。
数種類のなかで最も甘すぎずスタイリッシュなデザインでしたが、購入する気にはなれませんでした。
断って立ち去ろうとすると、別のオファーが来ました。
今度はミンクの皇帝ペンギンのようなデザインです。悪ノリで着てみましたが、なかなかすごいです。
「す、すごいですね…。でも、これ着てどこ行くんですかー?」
「どこへ?」
「だって、これ着て…例えばちょっとその辺の…コンビニなんて入れないでしょ?」
「コンビニ!?」
女性販売員2人の応対ががらっと変わり、ミンクを捨ててトレンチコートを出してきました。
「これ、同じデザインで緑のを私も買って、さっきも1人買って行ったんだけど、貴女にとても似合うわよ!
ちょっと着てみない?」
綿素材とは違う、少し変わった素材のトレンチコートは、ややイタリアンテイストで小洒落て見え、確かに似合いました。私はマニッシュなものやギャルソン風のシンプルなものが似合うのです。
緑というのはオリーブグリーン系だったそうですが、
「貴女は緑はダメよ。あなたが緑を着ると老けちゃうから。
あなたは茶色よ───!」
『……そこまで言う……』
バーゲン会場だというのにちっとも安くないコートでしたが、見積りは悪くなかったので、なんとなく買う気になりました。定番の範囲ではあったのですが。
で。更に黒の傘を買いました。
ブランド傘コーナーでシックな女物の長傘と男物の長傘とメンズの折畳み傘の3つを抱えて、どれがいいだろう…? と選びあぐねた挙句、再度同じ販売員の女性を捕まえて意見を聞いてみました。
すると、
「その女物の傘と折畳み傘はいいけど、男物の長傘はダメよ」
「駄目!? 同じブランドなのに、折畳み傘は良くて長傘は駄目!?」
「だって面白くないわ」
しばらく食い下がったのですが、それ以上の説明はありませんでした。
必要だったのは長傘と折畳み傘が1つずつだったので、結局男物の長傘は置き去りにしました。
カウンセリング販売の現場での1コマ。
もちろん違う場所では違う見積りがあるのですが…。