7月の暑さが嘘のように涼しい日が続く。南の海上では毎日のように台風が湧いている。私の頭の中にもアイデアが湧き続けてこないかな〜台風のように全てを巻き込み、大きな爪痕を残せるような

大学との話

昨年、かつてポスドクとしてお世話になっていた研究室からサンプル供給依頼が舞い込みました。数百ミリグラムスケールでうちの事業には合いませんが、新たな視点・人脈の観点から繋がりを作るメリットは大きいと思い上司に相談しました。上司は共同研究もありかなと言っていたのですが、翌日になって急に手間賃仕事にすると言い出しました

共同研究にして論文に会社名がクレジットされれば人材募集に有利と思ったのですが、結局はただの試薬屋さんとならざるを得ませんでした。当社の設備では困難な化合物でしたので、先方の研究室を借りて合成・納品しました

あれから一年ほどして、また同じ先生から依頼がありました。また手間賃仕事かあと思っていたところ、客員研究員の話が持ち上がりました。

私が個人的に客員研究員に採用されれば、
・学内で自由に動ける。これによってコンプライアンスの問題は回避できる
・共同研究先として会社の名前が必要だが、実態はなく費用も発生しない。
・なにより論文に名前が載る
とのこと
さっそく上司に相談しました。昨年とは社内の状況が変わり、他大学との共同研究が始まったところでした。上司もいろいろと考えてくれました。会社の業務として取り組めるようにしよう。せっかくだから会社との共同にしよう。研究費はいくらくらいか?何度も先生に連絡を取りました。

先方の教授会を通るのに1ヶ月かかるので早めにと思いながら2ヶ月が過ぎてやっと出た結論

「業務時間内に出張で大学に行き合成する。合成費用をいただく」

…あのぅ、上司様?前回の手間賃仕事と同じではありませんか?お金とったら会社の名前論文に載りませんけど?

とにかくこの条件で大学の施設使用の許可が下りるかどうかを聞いてこいと言われたので、大学に行ってきました。先生の顔を潰すことになるので気が重かった。最初の通りに客員研究員にしてもらえれば、業務時間外で費用なしでいけたのに…たかだかウン万円もらうより会社の名前がそれなりの論文誌を飾った方がどれだけインパクトがあるか…修士レベルではそこまで発想がいかないのか?思考が中小企業の枠に完全にはまってしまっているのか?

なんとか手間賃仕事の約束を取り付けてきました。ただ、共同研究はともかく客員研究員を断るのは意外だったようで驚いておられました。

いろいろと思うところはあるのですが、上司も嫌がらせでやったわけではないのはわかっています。会社では私に研究の負荷がかかっているのでなんとか楽にしてやりたいとの思いからでした。ですが、却って締め付けがきつくなり本末転倒な結果になったことは皮肉です。

先生が言っておられました
「客員研究員は沢山いるけど、みんな仕事時間外に趣味みたいに来ている。今後のキャリアにとって有利だからなればよかったのに」
もう一度、仕事とは関係なしに客員研究員になれるように上司に掛け合ってみるつもりです。