破廉恥な仮初め乙女-炸裂ノ回-

破廉恥な仮初め乙女-炸裂ノ回-

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!


駄目だ、妄想ばかりが先を行く


今回は頭を振り絞るのにちょっと疲れたね

絵は浮かんでるんだけど言葉と指が動かない…




…年でしょうか?



まぁ、納得できる物が書けて良かった


ブタ仔から貰った傘が大好き過ぎてどうしても傘を登場させたかったから

傘が沢山広がってると汚い渋谷も花が咲いてる様に見えて


いや、どうしたって渋谷嫌いだけど


泊まり勤務中…もう眠い

寝かして下さい
もう限界です


あ、無いと思うけどパクらないでね。

後書き完了。


一口、また一口と陶器のカップを口元に運んでは溜め息を吐く

急いで駆け込んだ喫茶店で少し濡れていた髪はもう既にパサパサに乾いていた

読みかけの小説も開いたままの携帯にも目を通す気にはなれなかった

そう、視線はずっと目前の改札口に奪い盗られてしまっている

魅惑の改札口からは色とりどりの傘が主人の頭上に大輪の花を咲かせ次々と去って行く
主人を濡らすまいと健気に雨粒を一身に受けながら




それなのに…
冷たい雨粒をこの身体で思う存分受け止めた
今日この頭上にはそんなモノですら存在しないのだから



3年前
学校近くの商店街の一角にある本屋で何度もその姿を見て

2年前
偶然学校の廊下でその姿を見つけた瞬間、心臓が止まってしまうかと思った


それからこの存在を知って欲しいが為に必死になって

現在
互いの同じ指に同じ形の綺麗な輪っかを輝かせている






窓際に座り続けて小一時間
硝子に写る自身の姿を細目で睨み溜め息を吐いて目をそらす
もう喉を潤す琥珀色の液体も姿を消していた



互いに忙しいから
互いにやるべき事が有るから


2人の間に無言の約束事がいつの間にか結ばれている


どちらからともなく
「束縛」
の2文字を何処かへ追いやってしまっていた



そう、
だから何時もこうして待っている


大抵貴方は忙しいもの浮かれた者が待てば良い

…前のご飯の約束で私が貴方を待たせてしまったもの

これは何かの嫌がらせ?

…何時も何時も待たされ続けたから仕返ししたの、魔が差したの一度だけ




コトン




こうして自問自答を繰り返す度にテーブルの上に
生暖かい綺麗な輪っかを落下させてみる


中身の無い陶器のカップと綺麗な輪っか



なんて素敵で残酷なコントラスト


今の2人にお似合いの光景

是非貴方にも見て欲しい
貴方の心にはどう写るのかしら










凍りついていたこの肩を温かい何かが揺り動かす

暫く反応出来ずに居ると再度繰り返された振動

ゆっくり振り返ると会いたかったけれど見たくない奴が立っていた






暫く無言の見つめ合い





そこに想いの全てを賭けて










ごめん、お待たせ

の一言で我にかえる



無言のまま左手を持ち上げられ
お揃いの輪っかを元の位置へ添えられる







冷たく冷えきっていたからまた外そうとした







さぁ、行こう

そう一言いわれ手を引かれる




喫茶店を出るその時、
私の頭上には大輪の花が咲いていた




この身体を濡らさぬ様にと
健気な傘と貴方の腕




何度も質屋に足を運んだ事はもう貴方には言わずにいよう





売れないとわかっていた






同じ形の綺麗な輪っかを見つめ

隣で貴方の顔を見上げながら強く誓った








シリーズ
「売れないとわかっていた」

其ノ弐
【傘、誓い、綺麗な輪っか】

完了。


後書きは後程




もう、今すぐにでもこの手で君の身にまとわりつく邪魔な物を剥ぎ取ってしまいたかった

そして、今にも噛みつきそうなこの口元をそっと滑らかなその肌に近づけ口づけた

可愛らしすぎた君にはまだ早い。だから今はそっと唇を離した

寝顔にそっと手を添える

はっと気付いて瞳を開けて欲しいような、いや、そのまま穏やかに眠っていて欲しいような

心地よく眠るにはこの窓際のテーブルに射し込む光は眩し過ぎる

みずみずしいその肌にもきっと直射日光は良くない

そう思い、触れていた手を名残惜しいが起こさぬようゆっくりと離し
窓際で踊る白いレースカーテンへ伸ばす

おやすみ

優しくそう呟くと椅子から立ち上がり部屋を後にした。






あの子を部屋へ置いてきて2日がたった。

今頃どうして居るだろうか、野暮用を終え帰路につくこの心は足取りよりもっとはるかに早く弾んでいた

この会えずにこらえた数時間が何年にも何十年にも感じた

幾億年たってもこの気持ちが変わる事は無いだろう

愛するものを思う気持ち、いとおしい君が待っている幸福感
離れた分だけ恋しさが募る
それが津波の様に何度も何度もこの餓えた全てに押し寄せてくる

先を急いだ

きっと今夜は待てないだろう。君の姿を目にしたらこの欲望は栓を押し開けて溢れ出すだろう

きっと今夜は食べ頃だ。






慌てた様子でドアを開けた、君はあの時のままテーブルで待って居てくれた

レースカーテンで日差しを遮ってはいたが幾分こんがりした色をしていた

何も言わずにその肌に手を伸ばす
もう我慢の必要も言葉でさえも必要無い。有ったとしても抑えが効くはずもなく、身にまとったモノを剥いでいく

間もなく、色白く甘美な香りを身にまとった姿が現れ、その美しい形に瞳を奪われた
この瞬間をどれ程待ちわびただろうか

はやる気持ちを抑えきれず、舐めるようにその実に鼻腔を近づけた

良い香りだった

これだけこの身を、心を魅了してゆくのだから準備は万端だろう
とうとうその時を迎えてしまった

そっと唇を寄せ触れるだけの口づけをした

これが合図だった

次の瞬間、ためらいもなく先端からかぶり付く
口内には言い様のない甘く熟した香りが広がる









はずだった










だが、しかし。

まだまだ青々しさが残ったこの果実には熟れきったあの甘味には程遠い



「熟れないとわかっていた」


1人レースカーテンのたゆむ窓際で呟いた。

しっかりと手に握られた果実をもう一口頬張る
まだ熟しきれていない若々しい甘さ

完熟まであと一歩

食べ頃の見極めが煩わしい、けれど忘れられずにまた求めてしまう



南国、魅惑の黄色い果実


其の名も

『バナナ』




シリーズ
「売れないとわかっていた」

其の壱。完


後書きは次の日記にて!!