ディアボラちゃんが行く、アメリカ南部の旅。

【プロローグ】 

つづき。


成田飛行機でチェックインして、
今日はやったらブラジル人が多いなぁと思ったら
アトランタでブラジル行きの飛行機に接続するみたいだ。


やたらテンションのおかしな変なおっさんが
「アナタ、ニホンゴ100%ダイジョブね?」

「ドコ行く?アメリカ?
ワタシ、アメリカ、会社アルヨ、
ワタシ、シャチョウ、
アトデ 名刺アゲル。」

と、ちょっとあぶない感じで話しかけてきた。


この変なおっさんにはその後
アトランタ空港でまた会って
散々写真を撮らされることになるのだが・・・・(汗)


ところで、旅に出るとき
行きの国際線飛行機ってけっこうワクワクラブラブしますよね。

けど、一度現地についちゃうと
飛行機の中での出来事って
なんか遠い記憶みたいな感じがして忘れがち。



だから、今日は飛行機で会った
あるブラジル人の男の子男の子について書きたいと思う。


点在するように何人もブラジル人が座っていたんだけど
みんな知り合い同士みたいだった。


私の隣に座った男の子もその一人。

英語をしゃべらない風だったし
妙にシャイな感じだったから会話を諦めたんだけど、

だいぶ経ってふと、私が窓の外を見ていると
突然、「ミエル?」と言って話しかけてきた。



ブラジル人について、

みなさんはどのようなイメージをお持ちだろうか。


私はラテン系の人って結構好きで

アメリカ人に比べて情が厚いし、

一旦友達になると一生友達!というような感覚が

助かっているし、なんとなくほっとする。

アメリカ人って、気さくでフレンドリーだけど

来るものを拒まず、去るものを追わずって感じがするんだ。


それで、南米は死ぬまでに一度は訪れたい地でもあるし

第三ヶ国語目はスパニッシュを学びたいと思っているくらい。

(思っているだけだけど・・・・汗


ブラジルは日本人にとっては

とってもなじみの深い土地だし、

先人たちがあの遠い土地で頑張っているのを

想像するだけで、やっぱりなんだかじんと来るものがある。



それで、その男の子が急に日本語で話しかけてきたとき

私は思わず勢い良く振り向いて、


アクマ「あっ、日本語、大丈夫?!」
と声をあげてしまった。


彼ははにかみながら、
男の子「ニホンゴ、スコシ ダイジョーブ。」

と言う。


嬉しくなってそこから会話が弾んだ。


愛知からブラジルに帰ると言うので
アクマ「えー、愛知?あ、そうか、車か!トヨタね?!」
と、ポンとひざをたたく私。


男の子「ハイ、ハイ、トヨタ。」と、嬉しそう。

アクマ「なるほどー、じゃあみんな働きに来てる人たちなんだ。」

男の子「ソウ、ミンナ、アノ・・・デ・・カセギ。」

アクマ「ぶっ! 出稼ぎ、ね。」


二年ほど働いて国に帰ると言う。
二年働いただけな割には、日本語良く知っているな、と思って
アクマ「日本語、勉強しましたか?」
とゆっくりクリアに聞くと


男の子「アー、ワタシ、オトウサン、ニホンジン。」

アクマ「あっ、そうか、二世ですね?!」

男の子「アーソウソウ、ニセイ。」と何度も頷いて嬉しそう。


男の子「オカーサンハ、サンセイ。」

男の子「コドモノトキ、ニホンゴ スコシ シャベル、
アノ、イエデ、スコシ シャベル。
デモー、ガッコウデー ポルトガルゴ ネ?
シャベラナイ、ニホンゴ シャベラナイ。」

アクマ「ふふ、忘れちゃったんだー」

男の子「ウーン、ワスレタ。」と笑っている。

アクマ「お父さん、日本語教えてくれなったの?」

男の子「オシエナイ、

イエハ オトーサンオカーサン ポルトガルゴ。」


ははは、と2人で笑った。


和やかに話していたのに

男の子「アナタ、オトコ アル?」

といきなり聞いてくるから笑える。


アクマ「あるよー」と笑って答えると

男の子「ニホン スンデル?」

アクマ「日本に住んでるけど、アメリカ人」

男の子「アー、アメリカジン。ドコスンデル?」

アクマ「神奈川・・・神奈川分かる?」

男の子「アー、カナガワワカル。」

アクマ「遠いよ。私の家から2時間です。」

男の子「ニジカン?ダイジョウブ?ツメタクナイ?」

アクマ「ぶははは!大丈夫、冷たくないよ。」


男の子「アナタ、ナマエ ナンデスカ?」

アクマ「ディアボラです、あなたは?」

男の子「タカシ(仮)」

アクマ「あ、日本の名前があるんですね。漢字はある?」

男の子「アル。」

アクマ「へぇ、どういう字ですか?」

男の子「デヘヘ・・・カンジ チョット ムズカシイ。」

アクマ「もしかして、・・・書けないの?(笑)」

男の子「カケナイ。」

アクマ「ぶっ!自分の名前でしょう。」

男の子「ハイー、カタカナダケ。」

アクマ「あははは」 男の子「アハハハ」


いい子そうなので途切れ途切れだけど
会話が進む。


アクマ「日本の音楽は聴きますか?」

男の子「ニホンノ・・・???」

アクマ「音楽。ミュージック。」

男の子「アー、キク。イチバン スキ ハー
ナガブチ。」

アクマ「えっ?!」

男の子「ツヨシ ナガブチ。」

アクマ「えーーー?!爆笑!ほんとに?」

男の子「ハイ、スキデス。アトハー
マツダセイコ。」

アクマ「ゲラゲラ!ちょっと古いよ!」

男の子「アー、ハイ、フルイネ。

デモー、ワタシノオニイサン キク。」

アクマ「なるほどー、子供のときから聞いてたんだね。」

男の子「アー、ソウソウ。」





アクマ「日本にいて、何かトラブルはありましたか?」

男の子「ト・・・?」

アクマ「トラブル。問題。」

男の子「アー、モンダイナイ、デモーチョットキモチワルイネ。」

アクマ「気持ち悪い?ああ、病気の時とか?」

男の子「ジャナクテー、カゾク・・(離れて・・・の身振り)」

アクマ「ああ、寂しい?」

男の子「アー、ハイ、サミシイ。」

アクマ「そうかぁ、じゃあ待てないね、家族と会うの。」

男の子「マテナイ。」

アクマ「アトランタからどのくらい、ブラジルまで?」

男の子「エーット・・・10ジカン。」


アクマ「ひゃーー!まだまだ半分だね!」



ところでFAの中に、
一人だけ超怖そうな黒人のおばさんがいた。
大きなガタイで、眉間にシワを寄せながら
日本人客に容赦ない英語で大声で話しかけてた。

彼女がふとポルトガルで彼らの接客をするから
不思議に思って、タカシ君に小さな声で聞いてみた。


アクマ「ねぇ、あの彼女は・・ブラジル人?」

男の子「ア、ハイ。」
と自信ありげに大きく頷くタカシ君。

アクマ「え、本当に?アメリカ人かと思った。」

男の子「ブラジルジンデス。」

アクマ「えーっと・・あの、分かるの、見て?」

男の子「ワカル。」

アクマ「えー、すごい、なんで?」

男の子「チガウネ、ハナシカタ トカ・・・(歩くふりをする)」

アクマ「ああ、歩き方?!」

男の子「ハイ。」

アクマ「まじで・・・???」


そうなんだーと妙にまじまじと彼女を見たけれど
私には分からなかった(笑)



そんなこんなでちょっと出会いがあり、
この日系ブラジル人タカシ君には
日本の反対側の国に帰っても頑張って欲しいな、と思い
こうして縁あって自分の血が流れる日本に来て
何を見たかは分からないけど
忘れないで向こうにたくさんいるだろう日系の人たちに
お土産話をして欲しいと思った。


きっと、彼のお父さんは移民としてブラジルに移り住んで
仕事を立ち上げるにあたり、色々苦労もしたと思うけど
こうして人々が自分の国以外の所で
生計を立て、現地の人と結婚し
子供を育てることって私は長い目でみると
良いことだと思うんだ。


肌の色の違い、宗教の違いで
争いがあった歴史を顧みると
混ざることって理解や受け入れが進んだってことだ。


って微妙なラインの話なので
この辺でやめておきましょうね。(笑)



で、私は長いフライトの後、アメリカ本土に
足を踏み入れたのだった・・・。


つづく。





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ディアボラちゃんのアメリカ本土旅行日記、
はじまりはじまり~!!!



・・と、その前に、ちょと解説あせる

ディアボラちゃんは昔、アメリカは南部、
テネシー州という所で英語を学びました。


普通、日本人が行きがちなところは
花のヌーヨーク花とか、ろすあんじぇるす海とか
それからシカゴホルスタインなんかも人気スポットでございますが、


その中でなぜわざわざ

米国国民からもバカにされる程
田舎の代名詞、「テネシー」を選んだかと言うと・・・


ディアボラちゃんは昔からなぜか南部に惹かれていました。
多分学生の時に「風邪と共に去りぬ」本を読んで
アトランタという街に耳なじみがあったためか、
はたまた英米文学を専攻して、

南北戦争の論文を書いたりしたためか

うまく説明はできないけれど
南部に行きたいビックリマークと、突然強く思ったのです。


それまで何度か足を踏み入れていた、
アメリカ西部には全く興味を失っていたし
かといって五大湖周辺の寒さには
とてもじゃないけど耐えられそうになかったし、
東部は東部で、物価の高さで無理でした。


アトランタオリンピックが開催されたニュースを
何気なくTVテレビで見た時の

あの、説明のつかない惹かれる気持ちが

なぜか今でも鮮明です。


その時はまさかいつか自分があの地を踏むとは

夢にも思わなかったかったけど。(笑)


それで、本当はアトランタに行きたかったけど
やはり南部最大の都市、
物価も高けりゃ学費も高い、
そんであきらめて、
周辺の州、テネシーにたどり着いたのです。


そんでもってエルビスギターで有名なメンフィスなんかでも
良かったんだけど
どうせなら観光なんかでも絶対に足を踏み入れない程の
田舎町にしてやろう、と思って
とある、イーストテネシーの小さな小さな町を選びました。


ウィスキー好きの私が、ジャックダニエルのことが
頭を霞んだのは内緒・・・。(笑)




その小さな小さな町で、
彼氏が出来たり(笑)

いろんな人と触れ合ったわけですが


今回会いに行ったのは、
私がお世話になった、
ホストファミリーのおじいちゃんとおばあちゃんラブラブ


ホストファミリーと言っても
私は、彼らの家に滞在していたわけではなく
週末に行っておしゃべりしたり、
教会あれぇ、教会のつもりが墓石に・・・に行ったり、
テレビをみたり、
たまに遠出に連れてってくれたりして車
一緒に日常に溶け込んでたのでした。



おじいちゃんの方は
ボストンに程近いコネチカット出身のヤンキー
勉強家の敬虔深いバプティストです。

おばあちゃんはこれまた、ウェストテネシーの
超ド田舎の農場生まれ。
これまた天然ボケの可愛い人。


アメリカの田舎がどんだけすごいかって話は

またあとで書くことにして・・・


そんな2人が出会って結婚して
50年のアニバーサリー恋の矢はとっくに超えました。


彼らには3~4年前に一度会いに行った以来です。


今回分からないけれど、
なぜかどうしても会いたくなって
他の有名観光地なんてそっちのけで
有給=彼らに会いに行くという図式が私の中に生まれたのでした。



それからテキサスはダラスに住む昔からの友人
たっくん(仮)男の子に会うのも目的でした。
ダラスでお仕事をがんばる彼に前回会いにいったのは
確か5~6年くらい前。


彼は、高校時代からの大事な大事な友人です。

色の白かった昔に比べて
今はダラスの日差しにこんがり焼けて
随分カッコイイ見た目になっちゃったけど
中身は変わってない、
優しくて、ちょっとへなちょこなところはご愛嬌、
そんで自分のポリシーをキチンともつ、誠実な男です。



大切な人たちの顔を見に
有給で行けるなんて、なんて贅沢なんだラブラブ




つーことで、ディアボラちゃんは色々抱えたことを
一旦全部保留にして、
おじいちゃんとおばあちゃんにあげるための
大量のトゥソックス(↓)を詰めた大きなスーツケースで

商売ができそう(笑)

テンションアゲアップアゲアップ
気分はそりゃファーストクラス!ってなノリで
成田に到着したのでした。飛行機



・・・つづく。






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2.恋の後姿。 ~大切な人たち~

3.恋の後姿。 ~母の誕生日~

4.恋の後姿。 ~スカートの裾~

5.恋の後姿。 ~渋谷の夜~

6.恋の後姿。 ~ウサギと亀~

7.恋の後姿。 ~ぴりおどちゃん~


つづき。


自分から横須賀の家をでたことによって
私の中では何かがふっきれた感じになった。


もうあの家に自分の居場所がない気がした。


ジャマールがまだ船に乗っていた頃、
彼は家のことが気になって気になって、
「週末にでも、頼むから家に行って様子を見てきて。
俺が居ない間、お願いだから家をケアしてー」
と懇願してきたものだ。


あの広い家に1人でいるなんて、怖いし無理!と
首を横に振ったのにも関わらず
あまりの説得に根負けして、
彼のいない家に行って
1人せっせと掃除をしたりしたことを思い出した。


あの頃は、2人の家という感じがしたのに、
今はなんだかジャマールとアンドー氏の家という感じに
なってきた。


それに、アンドー氏が今の彼女
(・・・だかなんだか知らないけど)
に合鍵を渡しているのかもしれない。




「・・・世代交代っちゅーやつっすかね、コレ?」


なんて1人でたそがれ気分になって、
煙草を吸うなら火をつけてやるとこなのに、と思った。





その日から、私は彼と連絡をとるのをやめた。


けどそれは、諦めとか、別れたいと思う気持ちとは
ちょっと違った感じだった。


   頭を冷やす。


この言葉が一番ピッタリなのかも知れない。



・・・ちょっと、頭を冷やそう。



こすれて磨耗した箇所が赤くなって

ヒリヒリと悲鳴をあげている。


だから、アイスノンで冷やすんだ。
清潔にして、まず、炎症を抑えること。


それで、傷をすっかりなおしてから
もう一度、会いに行こう。


彼の態度や言動に傷ついて
素直になれなくて
どんどん意固地になるのを彼のせいにした。


明らかに、私たちはどこかでボタンを掛け違えた。


だけど、私がしたことは、彼に
「あんた、ボタン掛け違えてるよ。」
と警告しただけだ。


「そのまま行くと、次のも掛け違えるよ。」

「ほら、見てみ!だから言ったじゃん。」

「段違いのままボタンをかけても、最後は揃わないよ。」

「やればやるほど、やり直すのにまた時間がかかるよ。」


先が見えるような分かった風な素振りで彼に忠告した。

カチンときた彼が、
何も聞こえないふりをして
どんどんボタンをしていくのを
さらにイライラして見ていた。


彼は言った。
「君がその態度をやめない限り
俺だって、(態度を)改めないから。」


「何ソレ!」
と、私はさらにイラついた。



泣いて怒ってイライラして
感情が上がったり下がったりして疲れて、
こんな風になっちゃう人とは
例え今、表面上だけ仲直りしたとしても
結婚なんてできないと思った。


頭に血が上って喧嘩している間にも、
女は自分のことを棚にあげて観察するもんだ、
彼の問題処理方法や
解決のプロセスを。


仲直りが、根本的な解決を伴わない場合、
それはまたいつか繰り返す。
いつか、繰り返すことが容易に想像できる時
「この人には何を言っても無駄だ」と思ってしまう。
だから、そうなる前に、なんとかしなきゃいけない。



友人の誰もが
「ディアボラとジャマは、放っておいても
あとはゴールインするだけ。」と思っていた。


だけどこんなことになって、
一旦は、ダメになりそうになったことによって、
たくさんの人の優しさや気遣いが身にしみた。


そのことを忘れたくないと思ったので
ブログにアップすることにしたら

もっとたくさんの人に叱咤激励の言葉を頂いた。


読んでくれている人の中には、
批判的な人もいるだろうし、
怖いもの見たさ・・・と言う人もいると思う。


だけど、私の日記を読んでくれた人は
とても客観的にアドバイスをくれた。
私だけじゃなくジャマールの感情も
冷静にみてくれていたんだと思う。


木を見て森を見ず、という感じになってた私に
森には、こんなに美しい緑や動物や小川があるんだよ、
もちろん危険だって含むけど、
森の役割ってすごく大切なんだよって
教えてくれた気がした。




休みの日になっても私が家にいるので、
母は、ちょっと疑問に思ったんだろう、

ビリー隊長の元、タオルを頭に巻いたまま
母はふーふーと、
「ブートキャンプってコレ、本当に軍人さんは皆やるの?」
ときいて来た。


「やるらしいよ。全員に軍隊の基本を
徹底的に叩き込まれるらしいよ。
めちゃキツイって言ってた。」


「ふーん。え、それじゃあジャマ君もやったの?」


「そりゃ、やったでしょう。
高校卒業した子とかは、本当に何も知らないから
それこそ、筋トレの仕方からアイロンのかけ方まで
全部そこで習うらしいよ。」


「へー、だからあんな筋肉なのねー。」


母は、絶対に「あんな筋肉」がつかないと思われる
二の腕をプルプルさせながら言った。







私は、明日アメリカに経つ。






本来なら、一緒に行くはずだった今回の旅だけど
1人で成田を経つ。


「旅行から帰ってきたら、もう一度話し合おう」
とジャマールに電話した。


「分かった。」と彼は答えた。


「それじゃ。」

電話を切ろうとした私を
彼は「hey」と言ってとめた。


「what」


「I love you.」


「・・・ウッソダネー!」


彼が吹き出したので、二人で笑った。



帰国したら、仲直りをしよう。


多分、これが私の最後の1人旅だ。

次は、一緒に飛行機に乗るんだ。


アメリカの片田舎で
私を可愛がってくれた、
おばあちゃんとおじいちゃん。


プロポーズされたことを、きちんと報告してこよう。



それから、高校時代からの友人
ダラスのたっくん(仮)の所へも。

日本土産、何がいいかと尋ねたら、
「なんもないよ、お前は身ぃ一つで来りゃあいいよ。
お前が来て、一緒に酒飲めるだけで俺はいいから。」


・・・良き友人を持って、
私はつくづく恵まれていると思う。





つーことで、みなさま・・
約1週間に渡り、「負の日記」にお付き合い下さり
ありがとうございます。


ディアボラは元気に行って来ます!

そんで、今度こそ帰ってきたら
入籍にむけて動き出したいと思います。


「恋の後姿。」
おしまい。


キャッドキドキ





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続き・・・



横須賀に来いと言った彼の口調はいつになく
明るく弾んでいたように思う。
「ハヤクッ」と日本語で言って電話を切ったから。


それはきっと、ぐっすり眠った後にやってきた
気持ちのいい朝のせいかもしれない。


彼はきっとこう思ったんだと思う。
ちょっと一旦、喧嘩は保留にして
前みたいに2人だけの週末をゆっくり過ごそう、
お互い疲れたし、映画でも見てのんびりしよう、って。



私も電話を切ったしばらくは
いつもよりすっきりとした気持ちになった。


ノロノロと起きて、少しだけテレビをつけたら
今日の関東地方は一日晴れマークだと言っていた。


ぼーっとした頭でシャワーをあびた。




けど・・・・、


頭が冴えてくるごとに
私はまたパラノイドされてきた。


それをはっきりと自覚した。

この、どうしようもなく腹のソコから湧き上がるような
イライラ感。


・・・ああ、これ、生理のせいだ。

生理が始まる直前に、
この説明できない怒りのピークが来るんだ。


払っても払っても後から後から
沸いてくるウジ虫のような憎悪。


水をかけてもあっという間に蒸発する程
熱く熱した石を腹の中に抱えているみたいなんだ。


ああ、このまま会っても、
怒りの対象が
今回はあからさまにジャマールに行くに決まっている。


シャワーを浴びながら、私は理性と闘った。


男性にはきっと死ぬまで・・・
いや、死んでも分からないだろう、
この説明のできない苛立ち。


彼へのやり場のない怒りを、
他人には分からない生理のせいにしていると
思う人もいるかも知れない。
だけど、子供を産むために
全ての女性に課せられたこの煩わしさは、
PMSの症状を持つ女性でないと分からないと思う。




ジャマールへの怒りがまた沸いてきた。


どうせ今日は行ってもまた喧嘩になるだけだ。
だとしたらなんで私は2時間近くもかけて
わざわざ横須賀まで行かなきゃいけないんだ。
用があるならアイツの方から来ればいいんだ。


どうせ。
どうせ。


またあの不毛なやりとりを繰り返すだけ。


どうせアイツがこう言って私がこう言って
傷ついて、また泣いて。


どうせ。

どうせ。


どのみち今日は生理だからまともに話せないに決まってる。



気がついたら私は電話を取って
「今日、行かない」と行ってベッドにもう一度もぐりこんだ。


その後、電話越しにまた随分言い争いをしたけれど、
頭に血が上っていて、ほとんど記憶にない。



電話をしているうちに、
ジャマールの家に誰かが来たみたいだった。

声からして、多分居候男・アンドーさんの女友達だと思う。

アンドーさんは留守みたいだけど、
ジャマは顔見知りの彼女を家に入れた気配がした。


そのうち彼女はアンドーさんの服を洗濯し始めた様子。


私はそんなことにも猛烈に腹が立った。


つーか、その女何やってんの、
そこアンドーさんの家じゃないんですけど。
私とジャマールの家なんですけどっ!!
アンドーさんさえいないのに家に入り込んで
なに勝手に洗濯機使ってんの。

女房気取りしてんじゃねーよ。
ジャマールも、なんで家に入れるんだよ。



そうこうしているうちに、
洗濯物を待つ間だと思うけど、
彼女がキーボードを弾き始めた音がした。


ジャマールも、「ミカ(仮)、何やってんの?」
と言って話し掛けてた。


これは紛れもないただの嫉妬だって頭のどこかで
認識しているのにも関わらず、
私の怒りは沸々と湧き上がった。


だって、それ、私が買ってあげたキーボード。


何で勝手に部屋に入り込んで弾いてんの、その女。
ジャマ、お前もなんで弾かせてるんだよ!!



電話を投げつけたい衝動を抑えつつ
私は怒りをジャマールにぶつけた。


「俺たち、こうやって電話で話しているうちに
君こっちに来れたじゃないか!」


彼は爆発したように叫んだ。


「もう、ホントになんで今日は俺の言う通りに
シャワーをあびて服を着替えて
来てくれなかったんだ!
来てくれさえすれば、また前みたいにカウチで
リラックスとかできたじゃないか!」



そのうち、どういう話の流れかはもう忘れたけど、
私は思い腰をあげて横須賀に向うことになった。


行きの電車で音楽を聴いているうちに、
比較的大丈夫なような気がしてきた。


「なんで私が」と、
油断すればイラっと来そうな自分の感情を
騙し騙し電車を乗り継いだ。



けど、横須賀に行ったら
彼はなぜか家にいなくて、
私がまだ到着しないとでも思ったのか、
買い物に出かけていた。


誰もいないジャマの家に
鍵を取り上げられた私は入る術がなくて

電話してもそれは留守電に繋がって
やっと彼がかけ直して来た時には
私のイライラはマックスに達していて、
彼が帰ってきた時には
私は、「もう帰る」と腰を浮かせていた。


それでもごちゃごちゃ言いながらも
家に入れられて、
そこで私が見たものは
リビングにあれほど飾ってあった私の写真だけが
すっかりになくなっていた光景で、
それですっかり立場も忘れて傷ついて、

涙がボロボロでてきた。


それでジャマールは私を
優しく抱きしめてくれた。


けど、彼も心を完全に許したわけではないんだろう、
「今日、君は泊まれないよ」と言い、
その言葉がきっかけとなって
「じゃあ私は何のためにわざわざ横須賀まで来たわけ」
とまたキキキッ!となり


泣きはらした顔を洗って
さっさと化粧をしなおして、
それじゃあ帰る、と言って家を出てきた。


携帯を見ると
「渋谷でカラオケしてるから来なよ!」
と言う友人たちのメッセージが入っていた。


またちょっと助かったような気になって
私は渋谷に向った。



・・・続く。




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皆様、長々と読んで下さって、恐縮ですあせる

ほんっとーにグダグダ言ってるなぁ、自分・・・と思う。

こういうあんまりハッピーじゃないことって文章にするのもしんどいものですが、

やっぱり書き留めておこうと思って、掘り返して書いてはみてます・・・。

お付き合い下さって、本当に感謝です。

叱咤激励のコメントもメッセージも素直にコウベを垂れて受け入れてます。



えーっと、あと、小説ではないので結末とか多分もんのすんごーい面白くないし、

その上、オチもないと思うんですが、その時でも「ち!」とか言わないでね。

いや、言ってもいいけど私には、言わないでね。

・・・凹むから。(笑)

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1.恋の後姿。 ~代々木公園~

2.恋の後姿。 ~大切な人たち~

3.恋の後姿。 ~母の誕生日~

4.恋の後姿。 ~スカートの裾~

5.恋の後姿。 ~渋谷の夜~


続き・・・



私は嫌なことがあっても
人前で泣いて愚痴ったりするタイプではないし、
こうして凹んでも泣いても、
ある程度自分の中で完結しない限り、
渦中の時にはグダグダな姿を人に見せない性格だ。


きっと、プライドが高すぎるんだろう。

逆に格好悪いし、我ながら本気で可愛くないと思う。



けど、それをきっと分かってくれているだろう友人達がいた。
彼女たちは心配は分かっていたけれど、
私から細かい経過を話すことはなかった。


それでも友人達は、
優しいメッセージを時々そっと送ってくれた。


「大丈夫?
素直になって良く考えてから答えを出してね。」


「どんな結果になっても、
ディアボラが幸せになることが第一だからね。」


「いつでも飲みに付き合ってやる!」


「もしダメになったら、
ジャマールの家に荷物取りに行くの、
付き合うから!」


「その前に私は一言ジャマに言いたい!」


「私だったら、もう泣いて謝っちゃうけどな・・・。」


「合コンしよう!」


手作り料理を作って家に呼んでくれた友達もいた。
手持ち無沙汰な金曜日を、
おかげで楽しく過ごすことが出来た。


週末になったからだと思うけど、
「死ぬほど飲んで吐きなさい・・・」と
こんなありえない爆笑写真を添付して
送ってくれる友達もいた。




    ↓





    ↓





    ↓





    ↓







 
ギャッ!! ひぇぇぇーーー!!!





私は考えていた。
もんのすごい考えた。


俺は君に全てをささげてきたのに
君は何をしてくれたんだ、と言う彼。


私は私なりに彼を愛してきたし、
彼を辛抱強く待ったり、サポートしたり
とてもゆっくりだったかも知れないけれど、
それなりに心の準備を整えてきた。


それを分かって欲しかった。
どうして歩みを一緒に揃えられないんだ、と
憤りたい気持ちが湧いてくる。


もう疲れたし、こんなんだったら
結婚なんて出来ない、
しなくても、いい、と思った。


どうせ向いてないし、結婚に携わる様々なものが苦手なんだ。
家事とか料理とかそういうものだけじゃない、
結婚生活においてするべきチームワークを
あの人とやっていく自信が今はない。


それなのに彼は、早く早く、と言う。
もう1年も待った、
いい加減にしてくれ、と。


このまま貝のように、嵐が頭上を通り過ぎるのを
じっと黙ってやり過ごしたい、と思った。


私が愛してきたものは
こんなものだったか。
愛おしくて守りたいと思ったものは
これだったのか。


亀のように慎重に
ゆっくりと進んでいるうちに
ウサギはもうゴールまで行ってしまっているようだ。
けど、ミスター・ウサギよ、
亀はもっと周りの景色や風の音を
君と一緒に楽しみたいんだ。
ずっと、昔そうやって2人でやってきたみたいに。



私は冷静に彼の悪い所を考え、
それを私が許せるのかどうか、検討した。


・・・・・許せないような気がしたし、
許せるような気もした。


けどやっぱり、腹が立ってしょうがなかった。
だけど私が折れないとダメになるような気もした。


私だって、彼を傷つけたんだし、と思えた。
だけど、ジャマールだって明らかに私がやって欲しくないことを
意図的にした。


ぐるぐるぐるぐる同じことを考えているうちに、



・・・・・なんと、生理になりそうになった。



あああ、やめてくれ。
こんな時に生理だなんて・・・。


前に、PMSについて書いたことがあった けど、
私は生理前になると異常なほどイラつくんだ。
正常な判断力を失うほど、
イライラする。


まずいなぁ、と思った。


案の定、いつもなら目に入らないような

シャンプーボトルの水垢や

部屋の隅の汚れなんかも気になり始めた。

母がちょっと置いてあるだけのコンタクトのケースも

恐ろしく邪魔に思えてくる。

職場の人のトロトロした発言にもイラっとくる。


まずいまずい・・・

これ、まずいよ・・・

勢い良く水が放出されるホースの先みたいに
私は自分ではコントロールする術を持たずに
上がったり弾んだり、
時には地面に大きく叩きつけられても
それでもバタバタ
と、もがいていた。




休日の朝は、天気が良かった。


起きてベッドでゴロゴロしていたら
電話が鳴った。

ジャマールだった。


「今日、横須賀に来て、話し合おう。」と彼は言った。


「今からシャワー浴びて、来て。」


「分かった・・・・」

と、私は言って電話を切った。




まだ頭がぼんやりしていた。



・・・・つづく・・・・




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続き・・・



仕事の帰り、渋谷で会った。


だけど、彼は会うなり
「今日、10時までに横須賀帰らなきゃいけないから。」
と冷たく言った。


「上司の所に行かなきゃいけないんだ。」


それならそうと初めから言ってくれれば
もっとゆっくりした時間に話すこともできたのに。


強く不満に思ったけれど、
口にはしないで、ギクシャクとしたまま
坂を上り、食事に行った。




一杯だけ飲んで食事をオーダーしたら、
比較的明るい感じで会話をすすめることが出来た。


「謝りたくて・・・。」
私は切り出した。


「私の行動がとてつもなく遅くて
あなたを待たせてしまったことは悪いと思ってる。
だけど、それには理由があったし・・・」


「理由は、君の恐怖心だろ。」


「そうだけど、怖いと思う気持ちは
当たり前のことじゃない?
恐怖があるからこそ、人はリスクを回避できるし
盲目に手当たり次第突っ込まなくても、
より良い道を選択するのことができるんだよ。
そこを責めなくてもいいじゃない。」


「あのなぁ、良く聞いて。
俺は君がしたいことを
君自身に決めて欲しかったんだ。
そしてそれを実現させるのが、俺の仕事だよ。
なのに君は変化を怖がって何もしようとはしなかった。
母親と話したことだって、
もう本当にダメになると思ってから、やっとだろう?」


「そうだよ?
だけど、そのことに関しては私は感謝しているんだよ。
私の背中を押してくれたきっかけだと思ってるよ。」



気が付くと、彼は私にくれた指輪をはめていた。
三つのダイアモンドがライトに反射して、
キラリと光った。


1年前、私の指に彼がはめてくれた
アメリカからやって来た指輪。

会社のトイレの電気にまで反射して
キラキラと美しく光ったので嬉しく思ったのを思い出した。


「見て。
この指輪は、もう君のもとには戻らないよ。
絶対にね。
俺はこれを死ぬまではめ続けるし、
これと共に墓に眠るから。」


「・・・・。」





大して発展的な会話ができないまま
タイムリミットになってしまった。


「もう、行かないと。」

しょうがなく店を出た。


「いつアメリカ行くの?」
彼の問いに、私は「来週」とだけ答えた。




渋谷の人ごみの中に彼はどんどん進んで行った。

ここ数ヶ月、私たちががうまくいかなくなってから
こうしてこの人の後姿を何度見ただろうと思った。


この日も、早足でもゆっくりでもなく
いつもと変わらない歩調だった。
その歩調で、彼をどんどん前に進ませるティンバーブーツに
憎しみさえ沸いた。



私は無性に怖くなって
彼リュックの紐をぎゅっと掴んだ。
その紐は緩くたわんでいたので
彼が気付くとは思えなかったけど
予想に反して彼はゆっくりと振り向いた。


そして、大きくため息をつきながら
私の肩に腕を回した。


久しぶりに肩を抱かれて
硬い筋肉を頬で感じて私は胸がつまった。


彼が腕にぎゅっと力を入れた。


肉体が精神を越えるとは思わないけれど、
この暖かい彼の体温の、なんとほっとすることか。
心の中の硬く積みあがった氷がみるみる溶けて
小さくなってしまう感じがした。


ものすごく照れくさかったけど、思いきって聞いてみた。
「今日、家、行ってもいい?」


そうだ、私は今日は私は謝りに来たんだ、
関係を修復するために、来たんだ、
このままギクシャクとしたまま別れるのは嫌だ、
アメリカに行く前に、仲直りしておきたい・・・


そう思った。



だけど、彼の返事はこうだった。



"No. Of course no."



心のどこかで断られるはずがないと思っていた私は
言葉をなくした。

それから駅までの数分間、2人とも無言のままだった。

言葉を探しているうちに
改札にたどり着いてしまった。



山手線の逆周り方向に帰る私たちは、
改札に入ったところでお別れだ。


私は、今日は笑って手を振ろうと決めた。
だって
わざわざ渋谷まで出てきてくれたことだけでも
感謝すべきではないか。
そうだ、笑って、来てくれてありがとうと、言えばいい。


人ごみの中、
私が先に改札を通った。


通ってから数歩歩いて、振り向いた。














ところが。









そこに、彼の姿はなかった。


知らない人が、次々と改札に入ってきて
私を通り過ぎた。


私は親とはぐれた子供みたいに急に心細くなって、
目で彼を探した。

彼はどこにもいなかった。



とっさに携帯を取り出した。
電話をかけようと思った。


だけど。



私はそのまま携帯を持つ手をとめた。




なぜ、こういう風にいなくなるんだ。

なぜ。



私の気をひきたいがための芝居か。
だとしたら子供過ぎる。
何も言わずに、こうして姿を消すことを美徳と思うのか。

ドロドロとした感情がまた蘇って来るのが分かった。


携帯の画面を数秒見下ろしてから、
私は深いため息をついてホームに上った。


そうやっていなくなるなら、いなくなればいい。
子供じみた芝居につきあうのなんて
こっちだってまっぴらだ。
今日は一体何のために時間をとったんだ。
どうしてもっと大人の建設的な話し合いができないんだ。



電話が鳴った。

「家に帰るのか?」と彼が聞いている。


「・・・。
当たり前でしょう、
黙って急にいなくなるような人を待つほど暇じゃないから。」


「スイカのチャージしてたんだよ!」


「ああそう、スイカのチャージね、
いいんじゃない、それはそれで。
私帰るから、今日はありがと、じゃ。」


と言ってホームに来た電車に乗った。





地元の駅に着いたら、
バケツをひっくり返したようなどしゃ降りの雨だった。

折りたたみの小さな傘を出して
私は水溜りに足を入れた。


パンプスの中のストッキングが濡れた。


家に向かって歩いていると、さらに雨が強くなった。
後ろから来る車の音さえもかき消すほどに
雨が地面と私の傘を強く打った。



私は声をあげて泣き始めた。


この豪雨の中、歩いている人もおらず
時々車が通るだけの道を
わんわんと声をあげて泣いた。


何が悲しいのか、何がつらいのか、
もう良く分からなかった。

ただ、今こうして自分が雨の中を歩いていることが
情けなくて
何もかも分からなくなってしまって
傘を深くさしながら、泣いた。



けれど、その声も雨にまぎれて
自分でもよく聞こえなくなった。




つづく



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1.恋の後姿。 ~代々木公園~

2.恋の後姿。 ~大切な人たち~


3.恋の後姿。 ~母の誕生日~




続き・・・



かつては、2人の時間を確保するために

例え何がおきてもそれに向かって

努力をしていたけれど。



今は、実現できなかったことも

諦め半分の気持ちで

そのままにしておくことが出来る。




スカートの裾みたいだ。




たった一箇所の綻びがあっただけなのに、

あれ?と思って糸を手繰っているうちに

するするとどこまでも解(ほつ)れていって

気が付くと、縫い付けられていた部分よりも

解れてしまった部分の方が大きくなってしまう。



だらりと垂れた糸は

最初は髪の毛のようにふわりとしていたのに

いつの間にかそれ自体に重力を持ち、

手を離しても勝手にほどけて行く。



それはもう、目にも止まらぬ速さで。







母の誕生日のことも、

以前だったら痴話喧嘩くらいではダメにならなかっただろう。



彼だって、絶対に花束の一つでも持って

なんとしても来てくれたと思うし、

私もなんだかんだ言って

一緒に食事できるように気を使ったはずだ。



だけど、たった一度の

「あんたは来なくていい」と言う言葉で

彼も「あっそ。」と匙を投げ、

私も、来るはずがない、と本気で思うようになった。






ちょうどその頃、私は月末に有給をとることに成功した。

有給とれたら、アメリカに行こうと決めていた。


「一緒にアメリカに行きたい。」

昨年くらいからの2人の夢だった。





去年、彼のおばあ様が亡くなって

急に船を降りて帰国しなければならなくなった時、

彼は「今度、ステイツに行くときは、2人一緒だ。」と

切なそうに言った。


大きな約束をすることが怖かった私だけど、

その時はその言葉が、とてもとても嬉しくて

また一つ絆が深くなったような気がして、

私も微笑みながら彼の目をみて頷いたんだ。





そういう背景があって、なんとなく2人の間で

10月頃には休暇を合わせて・・・と考えていた。

彼のママにも「10月には行けるかも」と言っていた。



けれど、私の転職が比較的急に決まったので

休暇は否応なしに9月末になってしまった。





それでもジャマールに打診すると

多分休暇取れると思う、と言った。



だから私はいつになくはしゃいでしまった。

「あなたのホームタウンをやっと見れるし、

あなたのママにも会える!

ホストファミリーにはもう3年以上会ってないし、

ダラスに住む友人にも会いに行きたい・・・」





しかし、彼は

「俺、君とそんなに旅行はしないよ。」

と冷たく言った。


「俺、向こうで車の免許とらなきゃいけないし、

お金使いたくないから。

それに車の免許とるなら、最低でも1ヵ月は

向こうにいなくちゃならないし。」



ちょっとムッとしながらも私は早口で答えた。



「それだったら、行きは一緒に飛行機に乗ればいいじゃない。

それで、最初はあなたのママのところに行って

何日か過ごして、

それから私が一人でホストファミリーのところなんかに

行って、それで日本に帰ってくるよ。」


「・・・さぁな。」


「・・・・。」



なんでこう言う態度になってしまうんだろう。

もしかして、結婚関してはいつまでもグズグズする私なのに

旅行に関してはさっさと計画たててしまうことに

腹が立っているのかも知れない。



だけど、そんな言い方はないじゃないか。



「・・・・・・。

なんで?!

前ならは絶対に一緒に行きたがってたのに!

次は一緒に行こうねって約束したじゃん!」


「とにかく、休暇とれるかまだ分からないから。」


「・・・・・。」



そのまま私は上司と有給の日程を確定したその昼休み、


ささっと、一人分のチケットを購入して


お金を振り込みに行ってしまった。




こうして小さなことだけれど、

お互いの感情がすりあわなくなって

エレベーターの天上と床みたいに

上がっても下がっても絶対に合わさることはないまま

時間だけが過ぎて行った。





だけど。


私は、どうしてもこのまま終わらせることが

正しいとは思えなくて。



代々木公園で、彼が行ってしまったことは

拭い去れないくらい心に傷がついた気がしたし

思い出すだけで、一人眉をひそめてしまう程の

苦しい出来事だった。



やり過ごすことはきっと難しいだろうと認識しつつも

それと同時に、やはり止めなくては、と思った。

お互いに意地を張りながら

態度も気持ちも硬化してゆくのを

止められるものなら止めなくては、と思った。



いじめなんかももそうだけど、

人間って一旦キツイことを言い始めると

なかなか歯止めが利かなくなるものだ。

前に、会社の問題女子・シノハラさん のことがあった時

母親に愚痴ると、母はやんわりとこう言った。


「あんた、それ以上その子にキツイこと言うのやめときなさい。

そういうのって自分でも気が付かないうちに

エスカレートするもんだから。」




そうか、「言わなきゃ分からない」と言う気持ちは

言葉をどんどんとキツクさせ、

心をえぐるような凶器になるのかも。



言葉って、人を良い気持ちにさせるけど、

だけど、

言葉は人を殺すことも出来るんだよね。





ジャマールの言葉の端々には

「ああ、もうココまで言っているんだから絶対にダメだ」と

思うようなことがたくさんあった。



「君が結婚しようとしなかったことに

俺は傷ついたんだ。」



「俺はいつだって君を追いかけてたよ。

何回もプロポーズしたし、

君はあれが冗談か何かだと思ってたわけ?」



「君はお母さんとのことにしても、

結婚して生活が変わる事にしても

恐れるばかりじゃないか。

全ての問題は、君の恐怖心だったんだ。

君の恐怖心のせいで何事も前に進まなかったんだ。」



「俺はもう君のゲームに付き合うのはうんざりだ。

人生は短いんだ。」



ものすごい傷ついたけれど、


それでも。


それでも。







しばらく距離と時間をおくべきなのか、


それとも、傷は早いうちに処置をしないと


悪化するという概念に基づいて行動をおこすべきか


随分迷ったけれど、



結局私は後者を選び、


話したい、とメールして、仕事の帰りに


渋谷に出てきてもらった。




つづく・・・・





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続き。



初め、私は彼の態度に腹を立てていた。





あんなに高いハードルだった母との話し合いも

ビクビクしながら最初の一つ目を無事飛んで、

やっとうまい具合に助走がついた所だったから。



それなのに、一旦は

「よし、じゃあ2人でゴールをめざそう!」

と手をとったはずだったのに、


ジャマールはまたすぐ手を離してしまった。


それは、振り払った、という感じに近かった。





いきなり過ぎる彼の脱線に

私は戸惑い、また同時に腹を立てた。







--------------------------------





母の誕生日がもうすぐに迫ってきていたある日、

私はこれはいい機会だと思って

一緒に祝おう、と提案してみた。





それは、私が平日に彼の家に泊まりに行った翌朝で、

久々に通勤時間が一緒になり

同じ電車に乗り込んだ時だった。





「今どんなレストランにしようか考えているんだけど・・・

ちゃんとしたフレンチを考えているから、

一応あなたもスーツ着て来て、それで・・・」





ところが、

ジャマールは私の言葉を遮って言った。


「俺、スーツなんて着ないよ。」


「えっ、なんで・・・」


「暑いし。着ない。」



前もスーツは暑いと言っていたので、

私は夏用のスーツを

誕生日プレゼントに買ってあげたのだ。


それを、まるでなかったかのように

彼は言い放った。



「暑いしって・・・

じゃあ何を着るのよ。」


「何だって俺の好きな服を着るさ。」


「・・・・・。」



なぜ、そこで突っかかるのか分からず

私は無言になった。


ジャマールはhave a nice dayと言って

電車を降り、振り返らずに行ってしまった。



ついこないだまでは

最後まで何度も何度も振り返りながら

見えなくなるまで小さく手をふり続けていたと言うのに。







数日後、店の目星がついたので

ジャマールに電話した。





「お店、一応良いのがあったんだけど・・・。

あなたも来るよね?」



すると、彼は驚くべき言葉を口にした。



「俺が行ってどうすんの?」


「・・・!!

どうするって・・・話ができるじゃない。」


「話って、何をだよ。」


前だったら、こんな機会があったら

ニコーっと笑って

「君、プランを立てて実現してよ、頼むよ!」と

私の背中を押しながらはしゃいでいたはずだ。


なのに、なぜ、

ここへきてこのタイミングで彼がそっぽを向くのか。





今回の母の誕生日は、いいチャンスだと思ったんだ。

かしこまって挨拶・・・ではなく

お祝いにかこつけて

自然に集まって、自然な会話ができると。


それに、ジャマール自身も

長い間そういう機会を望んでいた。





彼は言った。


「話すって言ったって、

俺らまだ何にも決めてないじゃないか。

住む場所だって、将来のことだって!

それなのに、俺が行って何を話すんだよ?!」



「別にそんな風に全部決めていかなくても

いいじゃない!

あなたのお母さんが日本に来た時、

私たちがどうやって出会ったかと言う話をしたみたいに、

あんな風に自然に会話をすれば良いじゃない!

それで母は随分安心すると思うけど。」



遺漏ない綿密な計画を携えて

それを母に提出に行くわけではない、

なんとなく将来の方向性を、

つまり、2人が同じ方向に向かっているんだと言うことを、

母にほのめかしていれば良いんだ。



人は感じるものだ、そういう目に見えない絆みたいなものを。





情けなくなって

言葉に詰まって


私は

「あんた、じゃあもう来なくて、良いよ。」

と、電話を切ろうとした。





「分かった、

それじゃあ行けば良いんでしょ。

何時に、どこ?」



「・・・・・・。

いや、来なくていい。

母の誕生日はわたし一人で祝うわ。」





私はそうやって一方的に電話を切って

しばらく枕に顔を埋めた。










結局、母と私は2人で食事をした。





冗談っぽく、

「ママ、もし私が結婚しなかったらごめんね。」

と言ってみた。


「ホラ、30過ぎた娘がいつまでもうちにいるって

ママの世代って格好悪がるからさ。」





母は顔色一つ変えないで言った。

「ふーん、しないならしないでそれで良いわよ。」







美味しいワインを飲んだ帰り道、

母はふと思いついたように尋ねた。


「結婚しないって、したくないってこと、

それともジャマ君とはしないってこと。」





「うーん。なんかねー、

ジャマと違うような気がしてきた。」

私は軽めに言った。





母は、

「そう・・・、相性の問題だからね。」とつぶやいた。








その夜、母がケーキのろうそくを吹き消す写真を

ジャマールにメールで送った。





その返事は結局来ないままだった。



つづく。










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1.恋の後姿。~代々木公園~


つづき・・・




あの夜の友人たちのことは書こうとすると

なかなか言葉に出てこない。





とにかく、みんなが優しくて

ゲラゲラと毒舌を吐きながらも

楽しく飲んで笑って

あっという間に時間が過ぎた。




・・・幸せ者だなぁ、私。




「ディアボラ、素直になんなよ。」

と喧騒の中で誰かが言った。





「ディアボラは、本当にそれでいいの?」

と誰かの心配そうな声がした。





「もう、いいよ、次いこ、次!

 合コンやろう!」


とも誰かが私の肩を叩いた。




あたまの片隅に

何か考えなければいけない大切なことが

あるような気がしたけれど、

ぐっと押しやって

目の前の友人たちの冗談ばかりに

耳を傾けて、ビールを飲んで笑った。





そういう時間を持てたことに

私はすごく感謝していた。













ところが、

ふと、気がつくと

テーブルの上に置いていた携帯がなくなっていた。





「あれ?携帯がない!」





ゴソゴソ探しているうちに

友人のうちの2人が微妙な表情をしながら

戻ってきた。





そして、彼女らが

「ディアボラ、ハイ!」

と、差し出してきたのは、

なんと私の携帯。





驚きながらも耳にあて「もしもし」と言ってみる。








相手は

厄介者の、彼の同居人アンドーさんだった。








なんなの、なんであんたが電話に出るの。


私は席を立ち、

早く電話を切り上げたくて早口に言った。





「あー、ゴメンネ、

ちょっと色々あって、

私の友達が私が気付かない間に

私の携帯を持っていっちゃってさ。

あんたの番号見つけたんだと思うよ。」





するとアンドーさんはこう言った。


「いや、彼ら俺じゃなくてジャマールにかけたんだよ。

でもジャマールは日本語分からないって言って

俺に電話を替わったんだ。」







ああ、そうだったのか・・・


多分彼女らは、なんとかしたくて

私と彼が別れるとは思いたくなくて

英語しゃべれないのに

ジャマールに電話してくれたんだ。





それできっと

英語でなんて言っていいか分からないまま

じれったい思いで、

とにかく考え直しなよってジャマールにも


言いたかったんだ。







私のために。


私なんかのために。




泣きそうだった。





けど、

私は「なんだよー、アンドーさん!」と、

席に戻って、また笑った。


電話をしてくれた2人はバツの悪そうな顔をしていた。




そのすぐ後、

もう1人、ジャマールの連絡先を知っている友人が

今度は彼に直接電話をかけてくれたみたいだ。





そのことを知らなかった私だけど、

彼女がなんだかすごい勢いで席に戻ってきた時、

彼女の表情に気がついて

はっとしてしまった。








いつも、いつも、いつも

汚れオネエキャラの、明るい彼女が。





怒って、

涙目になっていた。








彼女は携帯をテーブルに打ち付けて言った。


「ディアボラ、もうこいつムカツク。

なんか女がいるの!

後ろで笑ってる。

絶対、あれ日本人!

もう、いいよ、こんな男!」













私がその時に言うべき言葉は一体、なんだろう。













彼女の思いを考えたら

涙が出そうだった。





彼女だって、英語は喋らないのに

もどかしい思いをして

一生懸命言おうとしていることがあったのに、

背後で日本人の女が笑ってる、なんて。





それは単なるアンドーさんの友達が

家に来ているだけかも知れないけれど

そして向こうは向こうでパーティーしているだけかも

知れないけれど。




それでも、その誠実さにかける態度は。




私の写真を飾ってあったリビングや

私が飾りつけたキッチンのあたりなんかを

思い出すと、

悔しい感覚とはちょっと違う、

何かもう、取り返しのきかない一歩を

彼が踏み出したように感じた。





「ま、飲もう!」





友人が冗談で買ってきてくれたバンドエイドを

おでこに貼り付けて

私は笑った。




彼に対する失望と諦めと

それから大切な友人を侮辱した怒りと

友人に対する感謝と

それから申し訳なさと

情けなさで

私は押しつぶされそうになっていた。





「私、みんなと、違う意見だけど

別れた方が良いと思うよ。」


と隣りの別の友人が冷静に言った。





「そういうことをする人って、良くないよ。」









時間があっと言う間に過ぎて

みんなの、ディアボラ大丈夫かな?という気配を

ひしひしと感じながら

私は元気に手を振った。


道路の向こうで友達が叫んだ。





「今度は、俺プロデュースで

一席、モヨオしますんで!」





「きゃーーー!

是非モヨオしてぇ~!」


とゲラゲラ笑いながら手を振った。




駅で別方面になる子がそっと声をかけてくれた。


「ディアボラ、大丈夫?

ほら、こう言う時って1人になっちゃうとさ・・・」





私は大丈夫!と笑ってお礼を言った。







数人が「ディアボラんちに、泊まろう!」と言い始めた。

多分、1人にしないように

気をつかってくれたんだろう。


「そんで公園で花火やろう!」

とか言って、

結局女子2人が私と同じ方面の電車に乗り込んできた。




まっくらな公園でまたビールを飲みながら

季節ハズレで値引きされていた花火をした。


風邪でロウソクが何度も消えたり、


蚊にかまれたり、

打ち上げ花火が予想以上に大きな音をたてたりして

ゲラゲラと笑った。




そして、最後まで1人にならずにすんで

私は酔いと疲れで、何も考えずに

バタンと眠ることが出来た。








つづく。









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代々木公園で私は1人で泣いた。



行ってしまった彼の気配を背後に感じながら
あり得ないけれど、
月9の恋愛ドラマみたいに
1人で泣いた。



竹内結子や松嶋奈々子が泣いてたら
そりゃあサマにもなるだろうケド、
30も過ぎた一般人の女が
サングラスの下から涙を流していたって
見た人をギョッさせるだけだ。

しかも、勝手な想像力を掻き立てるだけ。



・・・なーんでこんなことに
なっちゃったんだろうなぁ。


怒りにまかせに指輪を突っ返してしまった。
すると、彼も私から合鍵を奪い取った。
そして行ってしまった。



悔しかった。


うまく出来ない自分や、

いつのまにか、硬化してしまった彼の態度に

少なからず驚きを隠せない自分自身にも動揺して。


彼の考えていることが分からない。

そして、私の考えも分かってもらえない。


こんな関係は、はやくやめてしまいたい。


どんどん離れていく彼との距離を想像したら

いてもたってもいられなくなった。



「戻ってきて。」



ちゃんと話し合おうと、言って
電話をしたら、



彼はすごい剣幕で怒鳴っていた。



「俺がなんで君を置いていったか分かるか?!
君は俺の言うことを
何一つとしてきかないじゃないか!



出来ない出来ない、とそればっかりで
俺1人が全部やってきたじゃないか。



今さら何をいっても、もう遅い。
何もかも もう遅い。



俺たちは終りだ。



こうして電話して俺がまた戻ってきてくれるとでも
思っているのか?
だったら、答えはノーだ。



俺は戻らないし、
もうゲームはうんざりだ。



じゃあな、バイ。」



とりつくしまのない彼の怒りは
抑えようとすればするほど逆効果で
それが分かって私はついに言葉をなくした。


決して戻っては来ない、彼の強くて頑固な性格が
恨めしかった。

やっていけない、という深い失望と
別れたくない、という強い執着が
2匹の巨大な龍のように胸の中で荒れ狂って
強く私の心をかき回した。


涙が止まらない。
こんなところで。


ブラジル人の若者たちが
祭り気分のハイテンションのまま
つたない日本語で声をかけて来た。
私は、顔を隠すように下を向いて
無言のまま手で制した。
彼らはポルトガル語で何か言いながら去って行った。


木の陰の向こう遠くに、
バグパイプの音が響いていた。
おならに似たその音は
私の心境とチグハグであまりにも滑稽だった。






立ち去るタイミングを逃したような気がして
ぼんやりとバグパイプの音を聞きながら
ベンチに座っていると、
今日のことを予め連絡しておいた友人から
メールが来た。


「どうなった?!」



心配してくれてるのが嬉しかった。
今は、誰かにすがりたい気分だった。
メールを返す。



「・・・決別。」



すると、すぐに返事が返ってきた。



「心配している軍団がいるから、
 今すぐ恵比寿に来なさい。」


もう電車に乗ってしまって
どんどん距離を離してゆく彼を追うよりも
今日はみんなの顔を見たかった。


恵比寿に行くと、
仲間が待っていてくれた。



涙が出た。



強気な私が人前で泣いているなんて
前代未聞。


そして、ビールを飲んでいるうちに
皆が、どんどんどんどん来た。



「今日は傷心とうかがったので。」

と冗談を言って
タオルとバンドエイドを買ってきてくれた友達もいた。




どんどん皆が来てくれて、
あっというまに8人になった。







・・・・・つづく・・・・








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