ディアボラちゃんが行く、アメリカ南部の旅。
つづき。
成田でチェックインして、
今日はやったらブラジル人が多いなぁと思ったら
アトランタでブラジル行きの飛行機に接続するみたいだ。
やたらテンションのおかしな変なおっさんが
「アナタ、ニホンゴ100%ダイジョブね?」
「ドコ行く?アメリカ?
ワタシ、アメリカ、会社アルヨ、
ワタシ、シャチョウ、
アトデ 名刺アゲル。」
と、ちょっとあぶない感じで話しかけてきた。
この変なおっさんにはその後
アトランタ空港でまた会って
散々写真を撮らされることになるのだが・・・・(汗)
ところで、旅に出るとき
行きの国際線飛行機ってけっこうワクワクしますよね。
けど、一度現地についちゃうと
飛行機の中での出来事って
なんか遠い記憶みたいな感じがして忘れがち。
だから、今日は飛行機で会った
あるブラジル人の男の子について書きたいと思う。
点在するように何人もブラジル人が座っていたんだけど
みんな知り合い同士みたいだった。
私の隣に座った男の子もその一人。
英語をしゃべらない風だったし
妙にシャイな感じだったから会話を諦めたんだけど、
だいぶ経ってふと、私が窓の外を見ていると
突然、「ミエル?」と言って話しかけてきた。
ブラジル人について、
みなさんはどのようなイメージをお持ちだろうか。
私はラテン系の人って結構好きで
アメリカ人に比べて情が厚いし、
一旦友達になると一生友達!というような感覚が
助かっているし、なんとなくほっとする。
アメリカ人って、気さくでフレンドリーだけど
来るものを拒まず、去るものを追わずって感じがするんだ。
それで、南米は死ぬまでに一度は訪れたい地でもあるし
第三ヶ国語目はスパニッシュを学びたいと思っているくらい。
(思っているだけだけど・・・・)
ブラジルは日本人にとっては
とってもなじみの深い土地だし、
先人たちがあの遠い土地で頑張っているのを
想像するだけで、やっぱりなんだかじんと来るものがある。
それで、その男の子が急に日本語で話しかけてきたとき
私は思わず勢い良く振り向いて、
「あっ、日本語、大丈夫?!」
と声をあげてしまった。
彼ははにかみながら、
「ニホンゴ、スコシ ダイジョーブ。」
と言う。
嬉しくなってそこから会話が弾んだ。
愛知からブラジルに帰ると言うので
「えー、愛知?あ、そうか、車か!トヨタね?!」
と、ポンとひざをたたく私。
「ハイ、ハイ、トヨタ。」と、嬉しそう。
「なるほどー、じゃあみんな働きに来てる人たちなんだ。」
「ソウ、ミンナ、アノ・・・デ・・カセギ。」
「ぶっ! 出稼ぎ、ね。」
二年ほど働いて国に帰ると言う。
二年働いただけな割には、日本語良く知っているな、と思って
「日本語、勉強しましたか?」
とゆっくりクリアに聞くと
「アー、ワタシ、オトウサン、ニホンジン。」
「あっ、そうか、二世ですね?!」
「アーソウソウ、ニセイ。」と何度も頷いて嬉しそう。
「オカーサンハ、サンセイ。」
「コドモノトキ、ニホンゴ スコシ シャベル、
アノ、イエデ、スコシ シャベル。
デモー、ガッコウデー ポルトガルゴ ネ?
シャベラナイ、ニホンゴ シャベラナイ。」
「ふふ、忘れちゃったんだー」
「ウーン、ワスレタ。」と笑っている。
「お父さん、日本語教えてくれなったの?」
「オシエナイ、
イエハ オトーサンオカーサン ポルトガルゴ。」
ははは、と2人で笑った。
和やかに話していたのに
「アナタ、オトコ アル?」
といきなり聞いてくるから笑える。
「あるよー」と笑って答えると
「ニホン スンデル?」
「日本に住んでるけど、アメリカ人」
「アー、アメリカジン。ドコスンデル?」
「神奈川・・・神奈川分かる?」
「アー、カナガワワカル。」
「遠いよ。私の家から2時間です。」
「ニジカン?ダイジョウブ?ツメタクナイ?」
「ぶははは!大丈夫、冷たくないよ。」
「アナタ、ナマエ ナンデスカ?」
「ディアボラです、あなたは?」
「タカシ(仮)」
「あ、日本の名前があるんですね。漢字はある?」
「アル。」
「へぇ、どういう字ですか?」
「デヘヘ・・・カンジ チョット ムズカシイ。」
「もしかして、・・・書けないの?(笑)」
「カケナイ。」
「ぶっ!自分の名前でしょう。」
「ハイー、カタカナダケ。」
「あははは」 「アハハハ」
いい子そうなので途切れ途切れだけど
会話が進む。
「日本の音楽は聴きますか?」
「ニホンノ・・・???」
「音楽。ミュージック。」
「アー、キク。イチバン スキ ハー
ナガブチ。」
「えっ?!」
「ツヨシ ナガブチ。」
「えーーー?!爆笑!ほんとに?」
「ハイ、スキデス。アトハー
マツダセイコ。」
「ゲラゲラ!ちょっと古いよ!」
「アー、ハイ、フルイネ。
デモー、ワタシノオニイサン キク。」
「なるほどー、子供のときから聞いてたんだね。」
「アー、ソウソウ。」
「日本にいて、何かトラブルはありましたか?」
「ト・・・?」
「トラブル。問題。」
「アー、モンダイナイ、デモーチョットキモチワルイネ。」
「気持ち悪い?ああ、病気の時とか?」
「ジャナクテー、カゾク・・(離れて・・・の身振り)」
「ああ、寂しい?」
「アー、ハイ、サミシイ。」
「そうかぁ、じゃあ待てないね、家族と会うの。」
「マテナイ。」
「アトランタからどのくらい、ブラジルまで?」
「エーット・・・10ジカン。」
「ひゃーー!まだまだ半分だね!」
ところでFAの中に、
一人だけ超怖そうな黒人のおばさんがいた。
大きなガタイで、眉間にシワを寄せながら
日本人客に容赦ない英語で大声で話しかけてた。
彼女がふとポルトガルで彼らの接客をするから
不思議に思って、タカシ君に小さな声で聞いてみた。
「ねぇ、あの彼女は・・ブラジル人?」
「ア、ハイ。」
と自信ありげに大きく頷くタカシ君。
「え、本当に?アメリカ人かと思った。」
「ブラジルジンデス。」
「えーっと・・あの、分かるの、見て?」
「ワカル。」
「えー、すごい、なんで?」
「チガウネ、ハナシカタ トカ・・・(歩くふりをする)」
「ああ、歩き方?!」
「ハイ。」
「まじで・・・???」
そうなんだーと妙にまじまじと彼女を見たけれど
私には分からなかった(笑)
そんなこんなでちょっと出会いがあり、
この日系ブラジル人タカシ君には
日本の反対側の国に帰っても頑張って欲しいな、と思い
こうして縁あって自分の血が流れる日本に来て
何を見たかは分からないけど
忘れないで向こうにたくさんいるだろう日系の人たちに
お土産話をして欲しいと思った。
きっと、彼のお父さんは移民としてブラジルに移り住んで
仕事を立ち上げるにあたり、色々苦労もしたと思うけど
こうして人々が自分の国以外の所で
生計を立て、現地の人と結婚し
子供を育てることって私は長い目でみると
良いことだと思うんだ。
肌の色の違い、宗教の違いで
争いがあった歴史を顧みると
混ざることって理解や受け入れが進んだってことだ。
って微妙なラインの話なので
この辺でやめておきましょうね。(笑)
で、私は長いフライトの後、アメリカ本土に
足を踏み入れたのだった・・・。
つづく。