2日目はその後、Microenterprise Loan BorrowerのAloneさん、Shilpyさん夫妻の家まで行き、インタビューをしました。
※Micro-enterprise Loan(Business Loan)とは、2年以上グラミン銀行に加入している人が借りられる、Basic Loanより高い金額を借りることができるローンのこと。

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~

Shilpyさんは8年間グラミン銀行に入っており、今年度はMicroenterprise Loanを100,000Tk、Basic Loanを14,000Tk借りています。ただし、借りているのは奥さんですが、そのお金を使ってビジネスをしているのは旦那さんです。奥さんは週一回のCenter Meetingと主に家事だそうです。家族構成は、娘が3人いて、2人が小学生、1人が小学校前です。

旦那さんのArloneさんの仕事は農業とWater Pump*3を貸すことと、雑貨屋を運営しています。
一月に25,000Tkの稼ぎがあり、そのうち8,000Tkくらいを生活費として食費、服飾費、家賃などに使っています。そして、グラミン銀行へ毎週3,500Tkずつ返済しています。

*3 Water Pumpビジネスとは、水を川から田んぼに移す時に使う機械を他の人にも使わせてあげるかわりに使用料を得るビジネス。バングラデシュには乾季という雨がほとんど降らない季節があり、Water Pump無しでは田んぼに水を移す作業が困難。家にはほとんど電気が来ていない村でも、この機械の場所まではなんとか電線をのばしていました。

$ダイス ~バングラデシュより~


なぜWater Pumpビジネスを始めようと思ったのかを尋ねると、驚かされる事実に気づかされました。Arloneさんはそのビジネスを始める前から成功することが分かっていたそうです。他の人が成功しているのを見て、自分もこれなら必ず成功すると確信したそうです。そして、Water Pumpを貸すだけなので、努力はほとんどしなくてもたくさんの利益が入る。今までまともな水道設備のない、ひたすら人と牛の力だけで農業をしてきた世界に電気を用いた水道設備を導入すれば成功するに決まっています。しかし今までそれを導入するだけのお金が無かった。成功する道筋が見えているのに買うお金がなかった。そういう人にもう少しだけ豊かな生活へのステップをサポートするのがグラミン銀行だと実感できました。


そして、Arloneさんが経営する雑貨屋を見せてもらいました。村の一画にある雑貨屋でした。
一日に100人くらいの村人が買い物に来るそうです。

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~


Arloneさんの一日のスケジュールです。
6時~8時半:雑貨屋(Arloneさんがいない時間は店を閉める)
8時半~11時:農業
14時半~18時:雑貨屋

今までにグラミン銀行からお金を借りてトラブルがあったかを尋ねると、全くないという返事が返ってきました。あんまりいい返事が返ってきたので、他のスタッフと打ち合わせでもしているのかと疑いたくなりますが、本当に成功しているようでした。

なぜなら今まで、まともな雑貨屋が村には存在しなかったからです。誰もが貧しく、そんな店を始められる人はいませんでしたし、消費者となる別の村人にも購入するだけのお金がありませんでした。グラミン銀行が5年ほど前にこの地にブランチを作り、少しずつ村全体が豊かになっているので、とうぶんはこのお店も利益を拡大し続けられます。Arloneさんも、もっとお金を借りたらもっといい品ぞろえができるから、もっとたくさんのお金が手に入ると言っていました。

今回はいいことばかり言ってきましたが、根本的な貧困解決はまだ成されていません。グラミン銀行によって少し村は豊かになった子も知れませんが、どうしようもない状況が少し改善されただけです。今後の改善点も考えていかなければいけません。



インタビュー後はBranch Officeに戻り、Branch Managerが村人にお金を貸している場に立ち会わせてもらいました。

$ダイス ~バングラデシュより~


以下、説明を聞きながら箇条書きでまとめたノートです。
・To borrow money, Borrowers have to come to the Branch Office
・Borrower have to show Father’s Name, Purpose of the money, installment(分割払い), Witness of other borrowers in the center, etc.
・Borrower have Passbook (detail about Loan)
・Passbook is written by Branch Manager
・Money is prepared by Second Manager, and Branch manager give the money
・Branch Manager check National ID when borrower take loan
・ Almost all centers are for female(96%), because a center is run by only one sex, female or male.
・No branch in any cities. Grameen is for Village. No help for city’s Beggars(物乞い)

午前中はCenter Meetingに参加させてもらい、グラミン銀行からお金を借りている女性たちから話を聞かせてもらいました。しかし、そのCenterがけっこう村の奥の方にあるので、30分くらいかけて現地の小型タクシーで田んぼや森を横目に進んでいきました。


$ダイス ~バングラデシュより~


本当にこんなとこで会議が可能なのかと心配しながら進んでいくと、きちんとCenterがありました。しかし、着くまでにあまりにもみたことない景色ばかりだったので驚きっぱなしで落ち着いて考えられない状態でした。そこで生活するとはどういうことなのかを想像ができませんでした。

しかし、バングラデシュで出会う人はいつも明るくてやさしいです。Centerに集まっていた人たちに明るく迎えてもらい、Center Meetingに加わりました。

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~


以下、今回のCenterの基本情報です。
Center Name : Shibprosadpur
Total Borrowers: 79
Group: 12
2 Inactive Member (グループに所属しているが、現在お金を借りていない人)
5 Microenterprise Loan Borrower
2 Education Loan Borrower
No Struggling Member


僕たちはまだ村の状態もよくわかっておらず、村でビジネスをするとはどういうことなのかいまいちつかめていませんでした。そこで、全体にまず以下の3つのことを尋ねました。
1. 何年間グラミン銀行からお金を借りているか?
2. 今年度借りた金額は?
3. 何のビジネスをしているか?

以下、各村人の回答です。

村人A : borrowed money 7 years / 90,000Tk / Grocery Shop (sell rice and other vegetables ) / month profit: 5,000Tk
B: 3yrs / 8,000Tk / to buy Milky cow, 5 Chicken, Goat. →Resell /
C: 2yrs / 7,000Tk / make Cookies and sell
D: 2yrs / 9,000Tk / Cow fatting and sell *1
E: 7month / 5,000Tk / Cow fatting and sell
F: 5yrs / 11,000Tk / Cow, Goat, Chicken
G: 2yrs / 9,000Tk / buy Rikisya *2
H: 3yrs / 8,000Tk / Cookies
I: 1yr / 6,000Tk / Biscuits
J: 5yrs / 14,000Tk / Grocery Shop
K: 2yrs / 10,000Tk / Grocery Shop
L: 6month / 8,000Tk / Cow
M: 2yrs / 10,000Tk / Grocery Shop
N: 3month / 5,000Tk / Grocery Shop
O: 1yr / 8,000Tk / Agriculture
P: 2yrs / 15,000Tk / Bakery
Q: 1yr / 9,000Tk / Agriculture
R: 3yrs / 10,000Tk / Agriculture
S: 4yrs / 8,000Tk / make Cloths

*1 Cow Fatting : 8,000Tkで買った牛を太らせ、12,000Tkくらい(季節や質によって値段は変化する)で売る。そこらへんにある耕作放棄地の草でも牛は生きていけるので、ほったらかしでも育つので、村のいたるところで飼われている。
*2 Rikisya: 自転車と人力車の融合したもの。運転手が自転車をこぎ、乗客は後ろの座席に座る。車を必要としないくらいの距離に用いられる。バングラデシュやインドではいたる所で見かけられる。 新品は10,000TK、中古は5,000Tkくらいで購入可能。NETRAKONAの村で1日のドライバーの稼ぎは200Tk程度。

それぞれ違ったビジネスを行っており、80%の人が農業と兼業だそうです。各家庭で牛や鶏やヤギを飼っており、それを売ったり自分で食べたりしています。

また、グループでいなければいけないことについてどう思うかを尋ねたところ、ポジティブな意見が返ってきました。「週に一回みんなで集まれるからきずなが深まる。」や「個人でいるときよりもグループのほうが責任感が増す。」という意見をもらいました。この人たちは基本的にグラミン銀行のシステムに賛同しているからこそお金をグラミン銀行から借りています。また、全体ミーティングであることもあり、さすがに思いきり否定的な意見を言う人はいませんでした。

村に来て初めてのミーティングだったこともあり、ほとんど具体的なことは聞けていませんでした。生活が少しは豊かになったと言っていましたが、それでもまだ電気がまともにない家に住んでいます。

もっとお金を借りたらビジネスをさらに拡大していけるという考えも聞けました。それもそのはずです。もともと村にはまともな市場がありませんでした。最近になってグラミン銀行の進出とともにGrocery Shopを始める人が現れました。今までなかったもので、誰もがほしがるものを置いている店は成功するに決まっています。村に今までなくて、町にだけ存在していた店がやっと村にも現れ始めたところです。

肯定的な意見を鵜呑みにするのではなく、否定的な意見を聞いていかなければ改善点は見つかりません。うまくいっている限りは問題ない。そこは素直に見習うべきです。しかし、どこかに必ずうまく働いていない部分が存在するはずです。その部分をどこか見つけ出し、客観的にどうしていくべきかを判断することが僕の今回やるべきことです。

今回のミーティングでは見たことない雰囲気に圧倒されてどう考えていいかわからない状態でした。今まで見たこともないような生活、建物、畑、田んぼ、放し飼いの動物などがそこらじゅうにありました。まずは落ち着いてこの人たちの状況を整理し理解したあと、もう一度落ち着いてインタビューをすべきだと感じました。

グラミン銀行のターゲットは村人です。首都ダッカのような都会には1つもブランチはありません。あるのは全てのブランチを統括しているヘッド・オフィスだけです。

グラミン銀行の管理システムは体系的に整っており、樹形図のように枝分かれし、800万人のBorrowerにローンを貸しています。
Head Office が40のZonal Office を管理し、各Zonal Officeが6~8のArea Officeを管理し、さらに各Area Officeが10近くのBranch Officeを管理します。

Branch Officeは現在2565ヶ所あり、Centerという村の中にある村人が集まる場所との窓口となっています。Centerは約14万ヶ所あり、そのCenter内で5~10人のグループがいくつもあります。グループの数は現在約120万あり、Borrowerは合計約830万人となっています。

グラミン銀行のスタッフが言うには、きちんとした企業体系を作ったことがグラミン銀行の成功の理由だそうです。

$ダイス ~バングラデシュより~


グラミン銀行からお金を借りている人は5人以上のグループを作り、週ごとにローンを返済するので、週1回のCenter Meetingに出る必要があります。貧しい村人に無担保でお金を貸しているので、きちんと返済できる方法として5人組で互いに見張りあわせることで返済を滞らせないように工夫しています。

村の中では誰もが知り合いなので、もし返済しなかったら村中から返済するよう求められます。村レベルでなら信頼できる5人組ができますが、隣にだれが住んでいるかもわからない都会ではそのような親密な関係は築けません。なので、都会にはグラミン銀行のCenterはありません。また、イスラーム教では、もし自分がローンを負ったまま死んだら天国には行けません。そのためローンを返済できないことは宗教的にとても恐ろしいことです。僕も含め、ほとんどの日本人にとって本気で信じている宗教などないので、神様や死後の世界は割とどっちでもいいことかもしれませんが、宗教信仰をしている人にとっては、死後の世界のために今の世界での生活を必死に生きているのです。




そこで、村人とグラミン銀行のリアルな関わりを知るために、
第2週は6日間かけて村に行ってきました。
首都ダッカから約180km離れた、ネトラコナという地域のブランチ・オフィスに滞在し、村で行われているセンター・ミーティングに参加して話を聞いたり、村人の家に行ってインタビューをしたりしました。

6日間(2/19~2/24)のスケジュールです。
1日目:移動 / Branch Managerとの話し合い
2日目:Center Meeting / Interview for Microenterprise Loan Borrower /
3日目:祝日 festival / Football / City Center
4日目:Center Meeting / Interview for Farmer / Higher Education Loan / Grameen Shaktie
5日目:Center Meeting / Interview for Farmer / Undeveloped Member / Area Office / Zonal Office / Interview for Struggling Member
6日目:ダッカに戻る

この一週間は全体で一番内容の濃い一週間でした。
ここからは1日目から順に活動内容を紹介していきます。

1日目
インターンシップ・プログラムの参加者は合計9人いましたが、滞在先のブランチには客用の部屋が2つしかないので、3人ずつ3つのグループに分けられました。僕のグループは僕ともう一人の日本人コニー(小西)とドイツ人のセシルです。あと、通訳者としてバングラデシュ人の大学生フアトが加わりました。朝9時ごろ出発し、マイクロバスで4時間移動し、それぞれのグループが滞在するブランチでおろされていきました。

$ダイス ~バングラデシュより~

数年前にグラミン銀行がこの地域に進出したばかりなので、田んぼとほったて小屋ばかりの地域に、一つだけ2階建ての物が建っており、少し浮いていました。

ダイス ~バングラデシュより~

ブランチは村人が通える範囲にないといけないので、ぎりぎり電気が来ているところにあり、少し奥に行くともう電気が使えません。

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~

ダイス ~バングラデシュより~

ブランチ・オフィスについて最初に思ったのは、「本物の村に来た!」でした。のどかなところで、永遠と田んぼが広がっており、ほったて小屋がちろほらあるくらいで、もののけ姫の世界に来た気分になりました。



その日は到着して夕方まで泊まる準備をしたり近くを散歩したり休んだりしてゆっくり過ごしました。
そして夕食後、ブランチ・マネージャーからこのブランチの基本情報を教えてもらいました。

Branch Office Name: AMTOLA NETRAKONA established in 2005
Total Borrower: 2,044
Group: 654
Basic Loan Borrower: 1,725
Flexible Loan Borrower: 40
Microenterprise Loan Borrower: 392
Percent of recovery: 97%
Bagger (Struggling Member) Loan: 10
Education Loan: 40
Total Outstanding: 20,060,597Tk    1Tk(タカ)=1.25円
Total Saving: 21,464,968
Total Profit (Lost) : -46,254Tk

このブランチはまだできて新しく、現在貸し付けたお金を回収している最中なのでまだ赤字なのですが、これから黒字になっていくそうです。

また、返済できない人にはどのように対応しているのかを尋ねました。
ブランチには各センターを訪問するCenter Manager(以下CM)がいるのですが、そのCMが何度もその人のもとを訪ねていきます。またグループメンバーとも話し合い、どうすればローンを返していけるかを話し合います。何度も何度も話し合えば、たいていの場合解決できます。もともと借りている額が5,000~12,000TK程度なので、返せないことはありません。

しかし、どうしても返そうとしない人もいるそうです。一度CMがその人の家に行ったところ、ナイフを持ち出されて、家から追い返されたそうです。CMは怖くなり、Branch ManagerやArea Managerに相談し、警察に報告すべきではないかという話になったのですが、それはしなかったそうです。グラミン銀行では、グループの信頼関係を重視しているので、法的執行は行いません。あくまで集団の力によって解決することをめざします。Center内で警察に捕まった人が出てしまえば、全体の雰囲気が悪くなってしまいます。それを避けるために、警察には届け出ず、グループと一緒に粘り強く説得し続けました。最後には和解できたそうです。このように、人との関係を重視する姿勢は見習うべきだと感じました。