エスカレーターを上るだけに長い列の後ろに並ぶ。
毎朝あきらめてはいるけれど、何とかならないものだろうか。


山手線の9号車の扉が開くと同時に人が溢れ出し、我先に上りエスカレーターに向かう。

会社員が団子状態で、それは丁度、川の流れの淀みのように、いつまでもぐるぐると解消されないでいる。 

ラッシュ時は、3分おきに電車が到着するので、前の乗客が残っている状況で次が到着するからだ。
いつかきっと事故が起きるに違いない。 すでに何度も起きているだろう、などと考えながら出勤している。
まあ、これが一番会社に近い出口なのだから仕方ないか。

 
自宅の最寄り駅の階段を降りると、そこは1号車が止まるホームで9号車まではだいぶ歩く。 時には4号車辺りで飛び乗る事もある。 
そんなある朝、珍しく途中から座ることが出来、降りる駅にさしかかるころ、スマホのニュース画面から目を上げると、白地にグレーの濃淡で描かれた花柄のフレアスカートが目に留まる。
黒のショートブーツとミニフレアー、そしてロングのゆったりとした黒の長めのコートが絶妙だと思った。
彼女と一緒に4号車の扉を出る。 彼女は近くの階段を上るらしい。 その上の出口は会社とは反対口だけれど
つられて、その階段を上ってしまった。 改札を出ると、正面に通路があることに気付いた。 どうやら会社近くの改札口につながっているらしい。 なんで今まで気が付かなかったのだろう。
 
通路をまっすぐ進むと、ユニクロ、スープストックトーキョーやベッカーズカフェなどが営業している。
狭くて人にぶつかり転落しそうな危ないホームを歩くより、百倍安全でコーヒーの香りに気持ちが安らぐ。
明日から絶対ここを通って行こう。
 
翌朝は4号車の扉から降りて当然そこの近くの階段にむかい
 「そうだ、ユニクロをチェックしながら改札口に行こう」 と考えながら階段を上る。
 
改札口を出ると、その正面には通路などなかった。
 
(ないときゃっぷすもどき)