ひさしぶりに、懐かしい声を聞いた。
変わらぬ声と、変わらぬ空気。

そして、変わったお互いの呼び方…

しばらくくだらない話しをしてた。
笑いころげてた。


なんてキラキラと輝いてた懐かしき日々。

思い出したよ。

いや、本当は忘れたことなんてなかったけど。

あまりにも、思い出が多すぎるから。

ふたりとも、あぁあんなことあったよね、と、同じ話題で思い出せる。

あまりにも、感覚が近すぎて、思い出せるのに、時々黙る。
相手が、まだ覚えていることを探りながら、安堵しながら。

それは、
不思議な距離感。


わたしには彼氏がいて。
あなたにも彼女がいて。

もうあれから4年ほど経っているのに。

ふたりを繋ぐ糸は何度も切れたのに。

切れてはまた繋がり、繋がってはまた切れる、不思議な縁(えにし)。

寄せては返す、波のように。



最後の最後に、ちらりとお互いの彼氏彼女のことを聞いた。

前聞いたときは、前向きに頑張るって言ってたけど。

もう別れるのは時間の問題かなぁ、って笑ってた。
しばらくは仕事に生きようかなって。


どんなつもりで、わたしに電話してきたのか、ちょっとわからなくなった。
いや、理由なんてないんだろな。

でも、ちょっとくらいは、わたしと別れたこと、後悔してくれてるだろうか?

そうだったらいいと、思うわたしは意地が悪いだろうか。


わたしは、やり直さないよ。

わたしは、今の彼を、心底大事にしたいと思ってるから。

あなたとは、もう終わったんだから。

思い出は今も、宝石のように輝いて見えるけど。

あのとき、ずたずたに傷つけあって終わった。
その記憶を思い出すと、今でも胸が痛む。

それでも、

今も目を閉じれば、
異国の街を赤く染めた夕焼けが浮かぶ。

あの時、あなたがいて、わたしがいて、それが全てだった。
他になにもいらなかった。

そんな日々が確かに存在したんだ。


それは愛しくて切ない記憶。