前回(その4)からの続き

その後外科の先生からの説明

処置室で点滴打って横になってる妻の事を考えてくれたらしく、その処置室で説明してくれる事となった。

「先程消化器内科の主治医からも説明あったと思いますが、かなり進行した状態です」

「すぐにでも切除してしまいたいのですが、黄疸が出てると全身麻酔がかけられません。最悪麻酔から覚めなくなってしまう恐れもあります。しかしこのまま指を咥えて見てるわけにも行きませんので、兎に角抗がん剤治療を先行して行います」

「抗がん剤により全体の癌の進行を食い止めるだけでなく、同時進行で肝臓の中の癌細胞を小さくすることに成功すればなお良しです」


その他にも切除すべき箇所などの細かい説明や人工肛門を装着する場合の説明等が坦々と続く。

最後に何かありますか?との問いに

「もう俺も数え48歳、髪の毛なんか一本も失くなっても良いです。何処を切られても良いです。どんな厳しい言葉でも受け止めます!しかしまだまだやり残した事が沢山あるんです、家族にまだ小さい子供も居ます!母子家庭になんか出来ません!だから先生、俺を助けて下さい」


思わず心の叫びが出てしまった…

先生曰く

「そりゃそうですよ!誰だって死にたくなんか無いでしょう、我々もチームを組んで全力を尽くします、兎に角治療を始めましょう!」


なんとか起き上がれるまで回復した妻、待合室まで一緒に

「ごめんなさい、ショックで…」

「こっちこそごめんな、心配ばかりかけて…」

普段は何かと小喧しい妻だけど、色白な手をした妻の手が愛おしかった…

「運転して帰れるか?代行呼ぼうか?」

「大丈夫、明日子供達お弁当なの、だから帰るね」

「退院したら、二人で出掛けるか?」

「一緒にランチ行こうよ、じゃぁね!」


帰り際に振り向いて微笑んでくれた妻、俺は涙が出てきた…


「何がなんでも絶対に治して、家族の元にただいま~と帰る!」

俺は決めた