「世界記録並みの早さで俺から離れたな、オイ」
冷めた顔でそんな事を言っている梶本雪也の様子を伺いながら
「S!サディスト!ドSぅッ!!!」
と叫び続ける。
御近所迷惑上等!
「……そうだな。まぁ、そうともいう」
そうとしか言わないわッ!
「ったくうるせぇ……来いよ。こっちなんだろ、帰り道。お前の事だから地図に乗ってる道しか知らなそうだし」
……出会って2時間弱の奴に見破られるとは……。
「ではさようならッ!」
無性に腹が立ったのでさようならとだけ言って隣をすり抜ける。
「おい」
「もうッ、何なんですか。書類も書かないといけないし、帰らないと……って、あの?」
苛つきながら言おうとして梶本雪也を見ると、何かを取り出そうとしている雰囲気。
「これ、使えば?」
そう言ってヒラヒラしたものを投げ……られるはずもなく、地面に落下。
「ちょっ、ちょっ、ちょっ、地面に物を落とさないで下さい!!!……絆、創……膏?」
「……何地面に這いつくばってんの」
……こ、コイツ……。
「貴方が地面に落とすか「足。靴擦れしてるとこに使えば悪化しないから」
私の言葉を遮り、頭上から降ってくる声は意外なもので。
「お……覚えてろッ、梶本雪也ぁッ!!!」
気がつくとそう言い残し、絆創膏を握り締め走っていた。
「送って……って、聞いてないか。ったく……子供かよ」
苦笑いしながら梶本雪也が最後そう放つ。
その言葉は風鈴の音にかき消されて、私の耳には入らなかった ━━━。
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