本日、4月4日は、マーティン・ルーサー・キングJr、キング牧師をリーダーとする公民権活動を描いた歴史ドラマを紹介します。

1968年、アメリカのアラバマ州が舞台。人種差別による投票権の侵害に抗議が集まる。主人公、キング牧師が主戦場に選んだのセルマ。このアラバマ州のダラス郡の郡庁所在地は、人口の半数以上を黒人が占めているにも関わらず、投票権が制限されていた。選挙権は、2%。保安官は短気な性格であり、ここがキング牧師のねらい目であった。

投票に必要な有権者登録、この手続きをする会場は、郡の庁舎にあった。この手続きを集団で行えば、当局の暴力的な振る舞いを誘発するに違いない。これが全国に報道されれば民意を得ることが可能だ。世論に訴えるこの作戦は上手くいくのかー。

この映画によって、キング牧師のイメージが変わった。実に戦略的な手法をとる、いわば社会派劇場型アクティビストであった。社会的不公正をメディアを通して世論に訴えるには、正義感とともに綿密な戦略を必要とした。ここが非暴力的なイメージだけではない強かなキング牧師像に本作が光を当てた点で、とても斬新でした。

 

後半では、暴力を受けた青年を通して、抗議活動の有りかたに悩む姿も描かれてバランスが良い。仲間との議論、夫婦間の葛藤も当局のデータから引用され、リアリティがある。

 

寝そべって演説文を考えたり、子供たちとの別れのシーンなど、人間味が垣間見れて興味ぶかい。

 

そして、不当な弾圧に屈せず、奴隷船からの現代に至るまでの長い時間を得てもなお不公正に声を上げる当事者が、人種の垣根を越え称賛されている。

 

最後の演説は、この偉大な指導者を追悼するかのように、装飾的なフレーズがアンソロジーのようで、深く心に残った。

本日は、キング牧師の命日です。この映画紹介が、少しでも社会進歩の一助となりましたら幸いです。

参考資料 公民権運動とキング牧師のキリスト教思想