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小さい婦人たちの発言について

――『わたしたちも歌える』まえがき――

宮本百合子




 春のなだれは、どんなふうにして起るだろう。暖かさが朝ごとにまして来る太陽にとかされてゆく積雪の表面からこれは起らない。冬の間ロシア 結婚じゅう降りつもって、かたく鋭く氷っていた根雪の底が春に近づく地殼のぬくもりにとけて、ある日、なだれとなる。
 歴史は、どんな風に前進しているだろう。ふるい煤やごみでよごれた表面をもったなりで、しかし、その底の方では確実に新しいものが動きはじめている。夜も昼もと、おさえがたい成長をうながされつつ、――新制高校の若いひとびとの書いた原稿を一つ一つとよみながら、わたしは信頼とよろこびにみたされて、この事実を感じた。
 原稿のなかには、丁度わたしが初めて日記というものをつけはじめたころの年齢のひとのものもあり、もとでいえば女学校の四年ぐらいになって、根のしまった知識慾と人生、社会についてのあこがれや、抗議にみたされている年頃のひとによってかかれたものもある。そのどれもが、それぞれに五年前の日本には表現されず、また存在もしなかった十五歳から十八、九歳までの少女から、ごく若い婦人たちとよばるべき年ごろのひとたちの世界をひらいて示している。同じ十五歳という年齢の内容に、何と精神や感覚の早咲、おそざきのちがいが、はげしいだろう。ちょっとみるとおどろくようなその相異にもかかわら