
京都にて中小企業や保育園の経営戦略立案、組織マネージメント、人材開発等のコンサルタントをしている村上です。
前回、シルク・ドゥ・ソレイユ(以下 シルク)はマイケル・ポーター氏(以下 ポーター)が提唱する三つの基本戦略の内の差別化戦略に当てはまるが単なる差別化戦略ではないとお話しました。
ではまず差別化戦略とは何かをみていきましょう。
ポーター著の「競争優位の戦略」にはこのように書かれています。
差別化戦略は、買い手が大変重要だと思ういくつかの次元に沿って、自社を業界内で特異性をもつ会社にしようとするものである。すなわち、業界内の多くの買い手が重要だと認める特性を、一つまたはそれ以上選び出して、このニーズを満たすのは当社以外にはないという体制をつくることである。その特異性の報酬として、他社よりも高い価格で買ってもらえるのである。
もう一度シルクとサーカスの違いを見ていきたいと思います。
従来のサーカスの戦略要素・・・テント、サーカス界のスター、動物ショー、グッズ販売
有名な道化師や動物を引き抜いて、より楽しい、より心踊るサーカスを提供し、他のサーカス団に差をつける。ターゲットはこども
シルク・・・テントは残して後の上記の従来の戦略要素を一つも採用しなかった。代わりにパフォーマンスとしての知的洗練度、豊かな芸術性を追求した。ターゲットは少々高い価格設定でも来場してくれる大人
ここで一つ気になるのは、従来のサーカスでは、テントを持たずに会場を借りるようになったにも関わらずシルクはなぜテントを残したのでしょうか?
シルクはテントという独特の環境にこそサーカスの魔力が秘められていると考え、外側にはシンボルマークを、内側には観客が快適に過ごせる環境を作ったのです。
つまり、すべての事柄において差別化を図るのではなくこれまでの業界の歴史の中で必要なものは残し、不要なものは取り除き、新しい価値を付けくわえることでイノベーションが起こり、新たな文化が生まれるということです。そのような点においてポーター氏が提唱する差別化戦略が図られることで少々高いチケットでも来場者数は増えるというわけです。
ポーターは三つの基本戦略があり、企業はその中のいずれか一つの戦略において企業活動を行うと言っています。
シルクは差別化戦略をしていることはわかりましたが、動物ショーやスターパフォーマーを廃止したことで大幅なコストカットに成功しています。
つまりコストリーダーシップ戦略も図っていることになります。
そのようなことが実現できるのでしょうか??
次回はこのあたりをみていくことにしましょう
