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家族日記

2013年11月に肺がんが見つかった父の事を日記にしています。

父の癌が分かった頃は、まだ父は自分の事は全部できていました。咳が出て、血痰が出ているだけで、いつもと変わらない日常です。
肺がんの手術をしたその日から、あれよあれよと父は転げ落ちていきました。
自分の思い描いていたよりもっと激しく転げ落ちていきました。私は癌治療に疑いを持っています。
でも癌を放っておけませんでした。

肺がんの病巣を取り除く手術後、全身がパンパンに腫れて、それは炎症性の腫れではなく身体が風船になったかのような膨れ方。
誰かが「首との境がなくなって猪のよう」と表現しましたが、まさにそうでした。
全身が膨れあがり、肌を触るとプツプツと気泡に触れるのです。
人間の肌を触る感覚ではありません。
冷たい薄皮を触って、その皮の中にいっぱいの気泡。
これは全て医療者のミスで起こった現象です。
体内に入れたチューブ(患部から出血した血液を体外に出す為のチューブ)から空気が入り続け全身が膨れあがっていたのです。

”通常は外に血液を吸い出すはずの装置のスイッチを逆に入れていて体内に吸入させ続けていた”のです。
そりゃ身体も膨らむはずですよね!!
考えられますか?こんな単純なミスで、人間が一人風船のように膨らまされて誰も異常に気付かないのです。

約一週間ほどこのまま誰も異常と判断しませんでした。
術後一週間の検査時にようやく「なにかおかしいみたい」と言われて処置され、スイッチの入れ間違いに気付き、でも何事もなかった振りをされ、一切の謝罪もありませんでした。
父も母も治療をしてもらわらないといけないから文句を言えない、と思っていて何も言いませんでした。

全身が膨れあがっていますから空気を出してやらねばならず、30分に1回ほど全身マッサージして気泡を出してやりました。
せん妄がありましたから病院から言われて泊まり込みで付き添いました。
何日経っても膨らんだままで、何の説明もありません。
看護師も医師も「たまにこういう人いる」なんて呑気なもので、多分全員責任逃れしたくて見て見ぬ振りしていたのだと思います。
ミスが発覚して看護師は「私じゃないですよ。誰がしたんかな」という感じで話してきました。
私はずっとおかしいと思ってましたが母は気が動転してまともに会話できなかったし、父はせん妄が起きていて会話になりませんでした。
鮮明な幻覚を見ていて、病院の外に白装束の人間が何十人もいるとか、数百m先の田んぼに立ってる男がこっちを見てる。病室の天井の換気口からお婆さんが覗いてる、照明の所に数十匹の犬がいる、とか。
私達が見えないと言うから、携帯で写メをバシャバシャ撮って「ほら、写ってるだろ」と何回も何回も言ってくるのです。
あんまりにも執拗に言ってくるから仕方なく話を合わせたのですが、信用してないみたいで、見えない私達の頭が馬鹿になったと思っていたと思います。

空気を注入されるとんでもない医療ミスをされた事が寿命を縮めたかどうか私には分かりませんが、人間がやる事なんて所詮そんなもので、ミスがないなんてあり得ない割りに、患者や患者家族をフォローするシステムなんて一切あったものではありません。
誰しも自分にだけは起きて欲しくないことがありますが、起きなかったのは偶然でしかないと思わなければいけません。
不運に見舞われなかった今日はただの偶然に過ぎないのです。