地球防衛戦線 第122話:猛禽の狩りと訣別
― 陸上自衛隊 立川駐屯地(現テリムト立川基地)― ファファゲは、砲撃で混乱する中、オートバイに跨り、テリムト参謀本部へ援軍の要請へ向かった。 「凛珠中隊長、敵が1体離れます! おそらく増援要請に向かいます!」(日生翔雅:ひなせ しょうま:三等陸曹) 「追えるか? 行かせるな!奴の口が動けば、戦況が膠着する!」(凛珠啓史:りんたま けいし:三等陸佐:48普連1中隊中隊長) 「行きます! 」(日生)「古海、阿多古、日生の援護だ!」(凛珠) 「了解!」(古海光之:こかい みつゆき:三等陸曹)「了解!」(阿多古星廉:あたご せいれん:一等陸士) 48普連1中隊の中隊長・凛珠啓史は追撃班を出す判断を下す。日生、古海、阿多古の3名は、立川基地の複雑な建物の間を縫い、爆音を響かせて遠ざかるオートバイの駆動音を追った。 「連隊長! 敵迫撃砲を発見しました! 東棟屋上、急ぎ掃討します!」(永柄玲音:えいがら れのん:三等陸尉)「よし、ただちに破壊しろ! 砲撃を止めさせろ!」(西泉) 永柄は、分隊に指示を出すと、自ら対物ライフルを構えた。 「撃て!」(永柄) タタタタン! タタタタン! 「エスギュ小隊長、敵です! ライフルだ、隠れろ!」(メンサー)迫撃砲の陣地では、フノール・メンサー兵士長が叫んでいた。「我々では太刀打ち出来ん、メンサー、援軍を呼べ! 砲は諦めろ!」(エスギュ) 「了解!」とメンサーが無線に手を伸ばす。その瞬間、永柄の放った高威力弾が、迫撃砲の台座を貫通し、弾薬を誘爆させた。 「ぎゃああああああ」(メンサー) 援軍の要請をする間もなく、メンサーは爆炎に包まれ倒れた。 「くそ、くそぉ!」(エスギュ) 「敵兵撃破! 迫撃砲も破壊する!」(永柄) ドオオン! 48普連は、混乱の中でも正確に敵の脅威を排除していった。 その頃、GASTのエキスパートチーム「ハヤブサ班」は、48普連の主力とは完全に切り離された形で、基地の中枢へと静かに侵入していた。彼らには、敵司令官の暗殺という最重要任務が課せられている。 「西泉連隊長、敵通信機能を見つけた。これより、破壊する。」(ティムール) 「任せる。」(西泉) 「僕達は敵の司令を討つとしよう。外の敵は48普連に任せていいですか?」(教授) 「問題ない! 敵司令の討伐を任せる!」(西泉) 「よし、行こう。」(教授) 「了解。」(フランキー)「了解。」(チェール)「了解。」(ビトー)「了解。」(カン) そう言うと、5人は闇に消えた。彼らの動きは迅速かつ無駄がなく、まさに猛禽(ハヤブサ)の名に相応しい。 「メンキ司令! お逃げ下さい! ここはもう敵の手に堕ちたも同然…」(ディデア・ロッカ少尉) ロッカは涙をこらえ、司令官の腕を引いた。しかし、司令官は首を振る。 「お前達だけでも逃げろ。ここを墜とされたのは、私の責任だ。ここの最高責任者として、1匹でも多く敵を屠る!」(メンキ) 「1人では無茶です! 生きていれば、また必ず…」(ロッカ) 「無茶は承知の上。お前達は生き延び、私の仇討ちをしてくれ。」(メンキ)「さあ、行け! お前の未来に期待しているぞ。」(メンキ) 「……くっ…ご武運を!」(ロッカ) ロッカは、もう2度とメンキと会う事はないと悟り、悔しさに涙が溢れる。そして、自身は生き残り、体制を整えたら必ず仇を討つと心に決めた。彼女は司令官が示唆した「裏の脱出路」へと、基地の暗い地下通路を走り始めた。 しかし、それは叶わない。逃走経路に出くわしたのは、GAST「ハヤブサ班」の隊員5名。 「読み通り。」(教授) 教授は、基地の構造と敵司令官の心理を完全に読み切っていた。最も安全で、最も使用されないと思われたこのルートこそ、メンキが若い士官を逃がすために選ぶ道だと。 多勢に無勢。ロッカは、尊敬する司令官の仇討ちを誓った、その直後にあっけなく討たれた。銃声はわずか一発。音もなく、迅速に。 「班長、流石です。読みが完璧でした。」(チェール) 「うん、この子の心理を読んだというより、敵司令の責任感を読んだんだ。敵の司令は、この先にいる。油断せずに行こう。」(教授) 「了解!」(一同) メンキは、私室の壁に立てかけられた古めかしい軍旗に敬礼し、愛用の重機関銃を据えた。彼女は司令部を守るための唯一の砦として、静かにその時を待つ。 「(私は、この地を失った責任を負う。そして、せめて一矢報い、部下達の時間を稼ぐのだ。)」(メンキ) 教授率いるハヤブサ班は、メンキのいる司令室の扉の前に静かに到達した。彼らは物音一つ立てず、ドアを挟んで対峙する。 「作戦目標の司令部を捕捉。これより最終攻撃を開始する。」(教授)続く※備考登場人物紹介凛珠 啓史(りんたま けいし)生年月日:1982年6月18日 / 出身:群馬県階級:三等陸佐 / 役職:48普連1中隊の中隊長日生 翔雅(ひなせ しょうま)生年月日:1995年2月19日 / 出身:群馬県階級:三等陸曹 / 所属:48普連1中隊古海 光之(こかい みつゆき)生年月日:1996年8月15日 / 出身:千葉県階級:三等陸曹 / 所属:48普連1中隊阿多古 星廉(あたご せいれん)生年月日:1999年7月14日 / 出身:山梨県階級:一等陸士 / 所属:48普連1中隊永柄 玲音(えいがら れのん)生年月日:1997年11月6日 / 出身:埼玉県階級:三等陸尉 / 所属:48普連2中隊教授:GAST「ハヤブサ班」班長。エース級の実力者。ハヤブサ班の皆さんティムールフランキーチェールビトーカンフノール・メンサー種族・性別:ヒト族の男性所属・階級:陸軍兵士長で、砲兵科ディデア・ロッカ種族・性別:ヒト族の女性所属・階級:陸軍少尉で、歩兵科備考:メンキを慕っていた。