普段、何気なく口にする、あるいは子供に与える食品に、劇物指定を受けている物質が含まれている。それだけでも嫌な気分になるが、その物質が別の物質と組み合わさると、さらに毒性が高まる上、過剰摂取すると腎臓疾患などを引き起すと言われている別の物質まで……。いたずらに恐怖を煽る意図はいささかもないが、そのような食品がごく普通にスーパーに陳列されているのは紛れもない事実である。一方、「食品添加物など気にし始めたら食べるものがなくなる」という諦めにも似た声もよく聞かれる。そう、必要なのは、正確な情報を元に正しく怖れ、リスクのあるものを出来得る範囲で避けることではないだろうか。

まずは掲載の加工肉の商品一覧表を見ていただきたい。ここに列挙されているのは全て、出来れば購入を避けた方が良い商品である。これらの商品には発色剤として亜硝酸Na(ナトリウム)、保存料としてソルビン酸が使用されている。また、全ての商品に結着剤としてリン酸塩が使われており、着色料が含まれているものがほとんどだ。

「亜硝酸Naは劇物指定を受けている物質です」

 そう語るのは、「食の安全を考える会」代表の野本健司氏である。

「亜硝酸Naはハムやウィンナーを作るのに昔から広く使われてきたもので、毒性が判明して以降も、基準を定めて、人体に影響がない範囲での使用が許可されています。その使用基準はソーセージなどでは、食品1キロあたり0・07グラム。この基準でのADI値(1日許容摂取量)は、体重30キロの子供の場合2ミリグラム、ウィンナーに換算すると30グラムで、たった2本分ほどです」

 この亜硝酸Na、以前は発色剤として以外の効果も期待されて使用されてきた経緯があるという。

「冷蔵技術が発達していなかった頃には、ボツリヌス菌の発生を抑制する効果や肉の臭みを消す目的もあって使用されていました」

 と、野本氏が続ける。

「ただ、加工技術が発達した今、亜硝酸Naを使うのは、商品を美味しそうに見せるためでしかない。これを使うと肉のヘモグロビンがニトロソヘモグロビンに変化し、生肉の赤っぽい色が残りやすく、見栄えが良くなるのです」

“相乗毒性”

 亜硝酸Naについては、農林水産省のHPにも、

〈メトヘモグロビン血症や発ガン性物質であるニトロソ化合物の生成に関与するおそれがある〉

 と記されているが、野本氏が警告を発するのは、この物質と保存料のソルビン酸との組み合わせである。

「亜硝酸Naとソルビン酸の組み合わせには、相乗毒性があることが分かっています。相乗毒性とは、それぞれが持つ毒性だけではなく、組み合わさることで毒性が増し、例えば、新たな発がん性物質が発生するような場合に使われる言葉です」(野本氏)

 実際、内閣府の「食品安全委員会」の添加物評価書には、こんな記述が。

〈ソルビン酸が広範に使用される一方、亜硝酸塩も食肉製品の発色剤として多用され、両者がしばしば共存するという事実と、両者の加熱試験反応によりDNA損傷物質が産生されることが報告されている〉

〈マウスへのソルビン酸単独(15mg/kg 体重/日)の30日間経口投与による染色体異常試験において、最終投与後24時間後に染色体異常は有意に増加しないが、亜硝酸ナトリウム単独(2mg/kg 体重/日)で有意に増加し、ソルビン酸と亜硝酸ナトリウム同時(7・5+1mg/kg 体重/日)ではさらに増加している〉

 

日常的にウィンナーやハムを購入する方は、ぜひ商品の裏側の原材料表示を見て、“相乗毒性コンビ”が含まれていないかどうかを確かめていただきたいが、その際、リン酸塩という記載があるか否かについても注意して欲しい。

「リン酸塩には体内にあるミネラルと結合して排出されるものもあり、摂りすぎると重篤な健康被害を引き起す可能性があります」

 そう話すのは、加工食品ジャーナリストの中戸川貢氏である。

「ミネラルの代表的なものはカルシウムやマグネシウム、亜鉛などです。カルシウムの吸収が阻害されると骨粗鬆症や高血圧になるリスクが上がりますし、マグネシウムの吸収が阻害されると、うつ病などの発症リスクが上がります」

なにを食べたらいいの?』(新潮文庫)の著者で「加工食品診断士協会」代表理事の安部司氏もこう言う。

「結着剤として加工肉の多くに使われるリン酸塩は過剰に摂取すると成人病や腎臓疾患を引き起こすという研究結果が出ているので注意が必要です」

 一覧表を見ていただくと分かる通り、亜硝酸Na、ソルビン酸、リン酸塩の全てが含まれる商品は、「丸大食品」と「プリマハム」のものが比較的多かった。

 ちなみにダイエット食材として人気のサラダチキンにもリン酸塩が含まれている商品が多いので気になる方は原材料表示を確認していただきたい。

 ハムやソーセージの原材料表示を見ると、大豆たんぱくや卵たんぱく、乳たんぱくといった、加工肉の製造に不必要と思えるようなものが記載されている場合があるが、これは、

「ハムなどを作る際、肉を増量させるために、加熱すると固まるゼリー液を注射することがあるのですが、その原料となるのが、大豆たんぱくや卵たんぱく、乳たんぱくなのです」

 と、安部氏は言う。

「この方法で100キロの豚肉を130キロ〜150キロに増量することが出来ます。100キロの豚肉の塊に、50本くらいの針が出ている自動注入機でいっせいにゼリー液を注入する光景は、一度見たら忘れられないほど衝撃的ですよ。こうしたハムは絞れば水が出るのではないかということで、業界内では“雑巾ハム”とも呼ばれていました」

 亜硝酸Naやソルビン酸が含まれるハムやソーセージは避けたいという方は、

「『無塩せき』と表示されているものを探して原材料表示を確認して下さい。発色剤の亜硝酸Naは含まれていないはずです」(同)