信義(シンイ)二次小説 -26ページ目

信義(シンイ)二次小説

りおのシンイParty☆

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こんなに続けるつもりはなかったんですが、つい楽しくなってしまいました


  お話

遅く屋敷に戻り、入り口の扉に手をかける
チェヨンはいつものように戸口に立つと「今帰った」と声をあげようとした
しかしふと悪戯心が湧き上がってきた
妻ウンスを驚かせようと思いつく
俺が留守の間、あの方はミレとどのような事をして過ごしておるのか
その姿を覗いてみたくなった
ばたばたと落ち着かぬ様子で、ミレの世話をする姿が思い浮かんできた
腹の底からくっと笑いがこぼれる
口に手をあて漏れ出る笑いを押し殺し、そっと足を忍ばせ中へと入っていった

ミレとイムジャが過ごしているであろう、屋敷の中の一つの間(ま)に辿り着く
ウンスに気づかれぬように、気配を消すとそっと中を覗き込んだ
チェヨンは目を見張った
居ると思われたウンスは居ない
だがそれだけではなかった
籠の中にミレがたった一人で、すやすやと眠っているではないか
それは思いもよらぬ光景だった
「イムジャ…」
イムジャは何処にいったのだ
それもミレを部屋に残したままで…
チェヨンは苛立つ気持ちと、もしや何かあったのではと少し不安な思いを抱えた
踵を返すとウンスが居そうな他の部屋を、一つずつ覗きこんで確認していった

んっ?
いくつかの部屋を確認した後
遠くから何かが聞こえてきた
耳を澄ませばどこからか、明るいあの方の笑い声が聞こえてきたではないか
所在を確認すべく視線を漂わせると…
廊下を隔てたところにある、屋敷の者の部屋から灯りが漏れてきているようだ
大股で急ぎそこへ向かう
少し開いたままの隙間からその中を覗きこめば、下女のスヨンとイムジャが白い布を手に持ち繕い物をしていた
イムジャの無事を確認した
じっと目を凝らして手元を見ると、ミレの下穿きを作っておるのだろう
チェヨンはふぅと息を大きく吐くと、大事ない事が分かり肩を撫で下ろした
しかし、安堵の気持ちに相反して、だんだんと苛立ちが増してくる
ミレを一人にするなと、あれ程イムジャには口を酸っぱくし言っておるのに…
一言物を申してやろうと、唇を噛み拳をギュっと握りしめる
その中へと足を進めようとした
がその時、一人で眠っていた、ミレの事が頭に浮かんできた
まずその前にミレを連れてこようと思う
そしてチェヨンは、ミレが眠る部屋へと戻っていったのだった

部屋につくとミレの側に立つ
小さな柔らかい躰を、籠から覚束ない手つきで取り出してやった
閉じられていた眸がパチっと開く
小さく円らなミレの眸
胸が擽ったく思えた
チェヨンはあたりを見回した…
確かに誰もいないのを確認すると、ミレに向け零れ落ちてしまいそうな程、満面の微笑みを作り上げた






首を支えるのも、もう怠らぬ
ふふんと鼻を高くしながら
「ミレや…」
囁きかけるようにその名を呼ぶと、
「うぁ…う…」
ミレが小さな声をあげ手を揺らした
ミレが答えてくれたような気がし、嬉しくなってもう一度声をかけてみる
「ミレや…父が戻りました…今日も、良い子でおりましたか?」
「ああ…ぁ」
「良い子でおったと、そう言っておるのか?そうか…良い子でおったのだな」
モゾモゾと小さく動くミレ
柔らかそうな頬に吸い寄せられるように、頬と頬を寄せたい衝動に駆られる
チェヨンは廊下を覗き、もう一度左右に視線を送り、ひと気が無い事を確認する
よしよしと満足げに笑うと、高い鼻先をミレの頬に押し当てた
きめ細やかな赤子の肌
鼻先から甘い香りが漂ってきた
それはイムジャの華の香とはまた違った、あま~く柔らかな香りだった
なんと良い香りを放っておるのだ
さらに顔を押し付けるよう寄せると、胸いっぱいにその香りを吸い込んだ
心が満たされていくようだ
穏やかな気持ちで埋め尽くされる
暫くミレの香りを堪能し顔をあげる
チェヨンは今度はその頬に唇を押し当て、チュッと音をならし口づけを落とした
「ぁ…ぁ…」
ミレがまた小さく声をあげた
それが喜びを露わにして居るように感じ、愛しさがこみ上げてきた
此れが父になった者が感じる、我が子から与えられる思いなのか
熱い想いが全身を駆け巡るようだ
今まで一度たりとも感じた事も無いその感覚に、チェヨンは驚いた…

「俺は父になったのだ」
そう深く実感するのだった

「あら、ヨンァ帰ってきてたの?」
背後から突然声をかけられる
声にはっとして振り返れば、ウンスが入口に立って中を覗き込んでいた
チェヨンは慌て目を躍らせた
「いっ、いつから、イムジャはそこに居ったのですか?」
まさか、見られてはおるまいな
「えっ?たった今だけど…」
んっ?どうしたの?と、ウンスは首を傾げて眸で問いかけてきた
「何でもありません。ただ聞いただけだ」
「あら。そう?あなたは、いつ屋敷に帰ってきていた?気づかなかったわ」
ウンスはいつもと違う挙動不審なチェヨンの姿に、素朴な疑問を向けた
追及をされたくない問いを受け、チェヨンは瞬きを何度か繰り返すと
「おっ、俺は…たっ、たった今、戻って来たところです…今…」
明らかに、何かを隠し、動揺している言っているようなものだ
しまったイムジャに不信がられたかと…チェヨンは頬を引きつらせた
「ふーん。なんか変なの」
ウンスは体を左右に揺らしながら、じっとりと疑いの視線を向けてきた
やはり疑っておるようだ
「そっ、そんな事より、イムジャ、これはどういう事です!!」
チェヨンは開き直ったかのように、急に怒りの表情に変わった
「なっ、何よりいきなり。何で急に怒り出すのよ。意味が分からないわ」
「怒るのは当たり前です!ミレを一人にして…あれほど一人にしてはならぬと、言っておったのに…」
あっ、やばいところを見られたわ
せっかく寝てくれたんだもの…
下手に移動して起こしちゃったら、溜まったオムツが作れなくなっちゃうから…
スヨンさんが作ってくれるって言ってるけど、やっぱり自分で作りたいじゃない
私のは下手だけどね…
「あはは…だって…」
笑って誤魔化そうとするが、この口煩い人が許してくれるわけがない
「だってではありません!目を離してはならぬと、あれほど言っておるのに」
もう心配症なんだから…
御屋敷の中にいるんだから、そうそう何かあるわけじゃないわよ…
「悪かったわよ。でも、オムツ作っちゃいたかったの…それに泣いたら気づくように、扉も開けておいたでしょ」
「扉を開けておった?ミレが泣いたら気づくだと?冗談じゃない」
俺が入ってきたことにも、まったく気づかなかったではないか
「ヨンァ。ノープロブレムよ。ほら、母親の感って鋭いのよ。何か異変があったら、すぐに気づくって。大丈夫、大丈夫」
はっ、何と呆れた事を言う
「異変があったら気づくだと?」
何食わぬ顔で軽口を叩くウンスに、呆れと怒りが…おさまらないチェヨン
「ほら、私、感は自信があるのよ」
終いには、イムジャは顎をくいと突き出すと、偉そうにそう言い放った
「冗談じゃありません!どこが感には自信があるだ。俺がだいぶ前に帰ってきてからも、一向に気づかなかったではないか」
この部屋にずっとおったのだ
ミレから目を離し、万が一にも不届きものに攫われでもしたらどうする
ウンスを厳しい口調で責め立てた
「えっ…だいぶ前に帰ってきたの…?」
ウンスは先ほどのチェヨンの話と違う、その言葉が気にかかった
チェヨンは目を大きく見開く
まずい…失言であった…
まさに墓穴を掘った
「あっ…いや…」
「だってあなた帰って来たばかりだって…確かにそう言って…」
「いや、あっ、そっそれは…」
強い口調と鬼の形相が一転し、しどろもどろになり目を躍らせた
「それは?」
窮地から、一気に形成逆転だ
ウンスは腰に手をあて詰め寄る
「あっ、だから…その…」
「ヨンァ、あなた…一体どういう事?帰ってきてから何をしてたわけ?」
その態度はおかしいわ
何か疾しい事でもあるのね
「……覚えておらぬ」
そっぽを向き小さくぼやく
「はい?」
「……」
だが、苦し紛れの言い訳も尻つぼみとなり、チェヨンは次の言葉を失った

まさか妻の目を盗むように、一人で愛らしい娘を愛でていたとは…
恥ずかしくて言えるわけがない

「とっ、とにかく。ミレを一人にしてはなりません!分かりましたね!」
これ以上の言及は立場がまずい…
一刻も早く、この話を終いにせねば

「な~んか変なの~」
ウンスの視線を避けるように、チェヨンは目を反らした




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