小生が2年間“讀書”生活を送った国立高雄科技大学社会人修士コース(高科大EMBA)のメインイベントであり、且つ最大の難関は、何といっても卒業論文。2年生になってから約1年の時間をかけて取り組む大仕事である。入学直後より、先生方からも「卒論に取りかかると、眠れない夜が続きますよ・・・」と脅され戦々恐々。。。

 

 卒論のテーマは自由だが、2年間の課程で学ぶ「企業管理」や「マーケティング」等に関係したものとなる。論文の構成は大体決まっており、第一章「緒論」、第二章「文献探討」、第三章「研究方法」、第四章「結果與分析」、第五章「結論與建議」の全5章から成る。

 使用言語は中文か英文。小生は中文で書くことにしたが、中国語で直接思考しながら書く自信がなかったので、まず日本語で書き、その後中訳する方法を取った。そのため、論文書きに費やした時間は、おそらく同級生の皆さんの3倍だろう。

 

 卒論に向けての具体的動きが始まるのは、1年生の第2学期終盤。まずは指導教授を選定する。先生にも厳しい先生や優しい先生など様々。指導教授の選定も、論文執筆の明暗?を分ける重要なポイントのひとつとなる。

 

 第一関門は、2年生の第1学期終盤の1月に行われる中間報告会。ここで、論文の第一章~第三章までを書き上げ、発表する。中間報告とはいえ、皆さん大体5060頁程度は書いてくる。実はこの前半3章を書くのが一番大変。ゼロから捻り出さなければならない。小生は散々苦しんだ挙句、「台湾日系企業における日本人駐在員の役割と機能に関する研究」というテーマで、何とか20頁余りを書き上げた。報告会ではPPT資料を使ってプレゼンし、指導教授と学外教授から評価を受け、講評と助言を頂く。苦労した中間報告であったが、論文の前半部分が固まり、後半部分の方向性が決まれば、精神的にはぐっと楽になる。

 

 2年生の第2学期になると 講義は1科目のみ。空いた時間はひたすら卒論に取り組む。小生は研究方法として インタビュー調査の手法を採用したため、約2カ月の時間をかけて 日系企業9社を訪問し、各社の総経理にお話を聞かせて頂いた。そしてそのインタビュー結果より、第四章の「結果與分析」と第五章の「結論與建議」の部分を書き、またインタビュー内容を「附録」にまとめた。お陰で、前半3章は20数頁だったが全体では100頁弱となり、内容の厚みは別として、冊子にした時の見栄えは整えることができた。

 

 6月上旬に卒業式が終わり、6月下旬に最終関門の卒論報告会(口試)が設定された。簡易冊子の形で印刷した論文を事前提出し、当日はPPT資料でプレゼン。指導教授、学内教授、学外教授より評価を受け、講評と助言を頂く。 2年間の“讀書”生活の最大の山場であるが、ここで大きな問題がなければ、合格の内示がもらえる。但し、合格の前提は、頂いた助言を基に論文を修正し、仕上げること。小生の場合は、卒論報告会の後、約1カ月半の時間をかけて論文を修正した。論文完成後、ハードカバーの冊子に製本し、8月下旬にようやく学校に提出することができた。(締切は9月上旬)

 

 卒論を提出し、受理されると、卒業証書(修士学位証書)が発行される。そして、卒業証書を受け取った時が、本当の意味での卒業。同時に学籍が抹消される。

 2年間、隔週末、クラスメートと共に学校に通い、共に様々な活動や課題に取り組み、最後は卒論を完成。駐在員生活との両立というは大きなチャレンジであったが、その分 無事に卒業証書を受け取った時の感慨はひとしおであった。

 何より温かく支えてくださった先生方や、クラスメートの皆さんに感謝感謝。。。高科大での “讀書”生活 は、高雄駐在生活における本当に貴重な経験となった。

 

 

著者: 大丸子。 男。 2017年3月より高雄駐在。 趣味: ジョギング゙、古鎮・老街めぐり、老房子鑑賞。