深く深く

どこまでも深く堕ちる

視覚も触角も五感すべての機能を失いながら

堕ちる

静寂の世界

徐々に消えていく思考と意識

いや・・・

意識だけは残っているのか

ただ・・・

思考は失われる

聴こえるのは

己の鼓動のみ・・・

そして

呼吸をする音

闇が身体を包み

体温が消えていく

それでもなお

鼓動は続き

呼吸はしている


闇・・・

深淵の底に広がる

闇・・・


微かな光さえ届かない

深淵の闇・・・


冷え切った身体には

重さを感じない

横たわっているのか

立っているのか

浮かんでいるのか

その感覚さえない闇・・・


昔

同じ感覚に囚われた


もがいた

苦しくて苦しくて

もがいた

もがけばもがくほど

闇が身体を引き込む


光を求めようとする心

その光が失われた時

さらなる絶望の闇が

身体を包み込む


死


その文字が

意識の片隅に現れる


死


その文字が

やがて身体と意識を支配する


本能がそれを拒む


拒む


拒めば拒むほど

死が浸食してくる

やがて

死が言う


「楽になるぜ」


そう・・・

死を受け入れれば

この苦しみから解放される

楽になれる

そう・・・

全ての苦しみから解放される

そう・・・


僕は受け入れた

固く閉じられていた殻が

開いた


楽になった


あの苦しみが嘘のように

軽くなった


暖かな闇が広がった


徐々に身体に熱が戻ってくる

指先から

少しずつ熱が伝わってくる


死神が哀しい顔で僕を見つめる

闇の中でもそれを感じる


「はぁ~やっぱりな・・・

しかたねぇ、またこいよ。いつでもまってるぜ」


あぁ

またくる。必ずな。

でも

それは今じゃない

せっかくだけど

お前のところに行くのは

もう少し先だ

まだやり残したことがある

そう急かすな




死神が笑った