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一票の格差、福岡高裁「違憲」判決 選挙無効請求は棄却-朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASH3S54S3H3STIPE029.html


 一票の格差問題とは、国政選挙において、選挙区の区割りや議員定数の配分の不備によって有権者の人口が選挙区ごとに違うために、1人の候補者を当選させるために必要な投票数にも選挙区ごとに格差が生じ、結果として1票の価値にも選挙区によって違いが出てしまうという問題である。


 一票の価値が住む場所によって違うというのは、門地(住所)によって国との政治的な関係に違いが生じるから、そのような状態で行われた選挙は、憲法14条1項(すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分、門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。)に定められている法の下の平等の趣旨に反し違憲である。福岡高裁もそれに沿って違憲であると判断した。


 ただし、一票の価値に違いがあるからと言って、必ず違憲となるわけではない。過去の最高裁判例は、「各選挙人の投票価値の平等は憲法の要求するところであるが、他の政策目的との関連において、調和的に実現されるべきである。投票価値の不平等が、一般に合理性を有するものとは到底考えられない程度に達しているときは、特段の正当化理由がない限り、憲法違反となる。(最大判昭51.4.14)」としており、違憲となるためには他の政策目的との調和、正当化理由のないこと、合理性を有しないと認められる程度の投票価値の不平等が要求される。

 今回は、一票の格差が最大で2.13倍(宮城5区と東京1区)となったため、合理性を有しない程度の投票価値の不平等があるとされ、また数度の違憲状態判決にも関わらず国は議員定数の配分の是正を行わなかったため正当化理由がなく、他の政策目的と照らしても違憲と判断するに足る事情があると認定されたのである。

 

 また、今回の判決は弁護士団体が昨年の衆議院議員選挙の無効を求めた訴訟に対するものであったが、選挙無効の訴えは退けた。選挙が無効となると選挙を再度やり直さなくてはならず、それほどの手間をかけるのは合理的でないためである。



 なぜ弁護士団体がこのような訴訟を頻繁に提起するのか。

 

 日本国憲法は日本国民に対して国の政治に参加する権利を保障している。この、国民が国の政治に参加する権利のことを参政権という。


 参政権は、日本国憲法のみならず近代立憲主義憲法において普遍的に保障された権利である。

 近代立憲主義憲法が目的とする民主主義は司法・立法・行政の三権分立による勢力均衡によってその実効性を担保されているが、その三権のうち特に立法について国民による参加が保障されていることが肝要である。なぜなら、司法は立法府の定立した法律の具体的な執行を行う作用であり、また行政権は立法府の定立した法律に基づいて行使される性質のものであるから、立法権は三権のうち残りの二つの権利に対して非常に大きな影響力を有するためである。歴史的にみても、立法は三権のうち最初に国民に対して門戸が開かれた権利である。この重要な作用である立法、つまり政治に対して参加をすることが参政権なのである。


 参政権は、主に議会の議員の選挙権・被選挙権の保障を通じて保障される。つまり、平たく言えば国会議員や地方議会議員を選んだり、それに立候補したりすることができることをもって参政権の具体的な行使の手段としているのである。


 参政権の保障は民主主義の実現にとって最も重要であり、その具体的な保障の手段が国民への選挙権の保障である。すなわち、選挙権が等しく国民に保障されていない状態が発生していることは民主主義の実現を阻害する要因となるのである。そのため、弁護士団体は躍起になって一票の格差解消に取り組むのである。