通過儀礼としての風邪 | ハリーの養生訓

ハリーの養生訓

僕が見つけた養生

風邪に対する向き合い方が、その人の生き方を如実に表しているように思います。

熱が少しでも出ると、すぐさま解熱剤を服用する人がいます。

時に、医療的な処置も必要になりますが、それ以前に「自らの身体への信頼感」が基本にあればこそと思うのです。

東洋医学では風邪に対して「取微似汗」じとじとのにじみでる汗を少しずつとるようにします。

汗が出ずに内にこもってしまうと、発熱、咳になると考え、厚着やふとん、暖房を活用して発汗を促します。ただし、たくさん汗を出しすぎると、かえって体力を消耗するので注意します。

ヨガの沖正弘先生は、風邪の発病の条件として9つあげています。

1、寒さや疲れ、気がゆるんだとき。
2、筋肉が部分的にこっていて、体がギクシャクし、陰性化して無力症や冷え症になった時。
3、体のかたよった使い方で、体がゆがみ、部分的に無理がある時。
4、過食、酸性過剰、薬物の乱用
5、運動不足、睡眠のとり過ぎ。
6、浅い呼吸で酸素不足。
7、消極的な心。
8、排泄機能の低下。
9、インフルエンザ・ビールスの感染


引きはじめの30分に次のことを行うように指導されています。

①便通を良くする。
②両手・両足・前屈・アキレス腱ののびちぢみを行う。左右に上中下のねじり、足首・肩などの全身の筋肉で縮んでいるところを伸ばし、コリをほぐす。
③意識的にセキやクシャミをする。(体温を上げて、身体をゆるませるため)
④熱い番茶を飲み、シャツをたくさん着て頭からふとんをかぶる。発汗の工夫。
⑤激しく運動したあと、塩湯にしょうがのすりおろし汁を入れたのを飲み、ふとんをかけ、うつ伏せに寝る。そして、足を上げ、こらえられるだけ耐える。(これにより腎臓を刺激し、排泄をうながす)
⑥足と首をお湯であたためる。
⑦発汗したら体をふいて体温が平常になるまで静かに寝ている。
⑧平常体温になったら、さか立ちのポーズをする。

ポイントは発汗にある。余剰エネルギーの消費と血行の促進、筋肉の柔軟性をとりもどすためである。(参考文献:「なぜヨガで病気が治るのか」)


このように、風邪を前向きに活用し、うまく経過させることができれば、その都度、心身がグレードアップすることでしょう。

爽快な体に自信が芽生え、さらに身体への信頼感は増していきます。

病気をしないことが良いことなのではなく、病気をするから幸せなのだということに気付くこと。

これは、人生を有意義なものにするためにも、必ず携えておきたい心構えです。