(河北新報 2017年9月14日(木)掲載)

 

 

パパの戦争

 

戦争が終わった日、

パパ、十三才、中学の二年

そう言えば

戦争が中国から太平洋へ広がった年

パパ、君と同じ 四年生だった。

 

戦争が終わった日。

朝から将棋をさす。

正午、陛下の放送。

午後も 将棋をさす。

駒、見えていない。

王様は、あったかどうか。

 

夜。

母、疎開の妹を迎えに旅立つ。

妹ばかり大事にしてる。

眠れない。

電燈明かるく、

非常食の炒り米

ボリボリかじる。

 

あくる日。

庭を掘る。

本を入れて埋めてあったかめ。

だが、本は水びたし。

君は今も見ることができる。

その本を パパの書斎の奥に。

 

次の日。

学校へ行ってみる。

全校生徒で掘った、

掘りかけのプール。

もっこかついで土運び、

何度、上級生に蹴られたか。

上級生にさからうのは、

天皇陛下にさからうことだぞ!

 

戦争が終わった日、

パパ、十三才、中学の二年。

 

銃とるだけが戦争じゃない。

上級生のビンタ、

水びたしの本、

妹と別れてくらすことも、

みんなパパの戦争だった。

今、君に戦争はあるか。

 

戦争が終わった日、

パパ、十三才、中学の二年、

憎むことを知り

今、パパ、四十一才、

憎みつづけている、

戦争を。

 

君よ、

君に戦争はあるか。

君よ、

今を大切にせよ。

 

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