yunjaeてらぴー ☆^^smile & laugh(^○^)☆
妄想お話の世界です
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俺の感情が乱されたあの時

俺がこの上ないくらいに幸せを浴びた時


それは雨の日だった





あの時の匂い、感触
それは…何年経とうと
忘れない
きっと、一生…忘れられない





その日
夕方から降りだした雨は
深夜を過ぎて更に強くなり
雨宿りしていたバス乗り場で
俺は一夜を明かそうとしていた




プシュッ…ゴクゴクゴク


「ジェジュン、もうやめろって
    飲み過ぎだぞ」


『ほっとけよ!俺のことはいいから
    帰れって』


「やだよ!お前の側から離れない、絶対」


『ユノ、お前さ
    絶対とか…軽々しく言うなよ
    世の中に絶対なんてねーから

    後悔…すんぞ、その言葉』


ユノ……口から一旦出た言葉には
責任が伴うんだ
だからこそ、俺なんかに絶対とか

言わないでくれ…



俺は苛立っていた
やり場のない自分の気持ち
高鳴る胸の鼓動、ズキズキと痛む心
相反するこの感情を酒で消そうと
躍起になっていた
ここ最近は、そんな自分自身に自信喪失状態

完全に余裕がなくっていたんだ



それを…一番知られたくないユノに
こうして今、たしなめられ
もう情けなくて、涙が今にもこぼれそうで
いくら飲んでも酔うどころか…
頭の中は鮮明で
どんどん惨めな気持ちになっていく


缶ビールを口に持っていこうとした
その時

「貸せっ」

そう言ってユノが缶ビールを奪い取り
ひと口…

「うぇっ、まっず!」


『飲めないくせに、やめろって
    だから、帰れって言っ…』


ユノの唇が
俺の口を塞いだ


『んんっ…』

突然のことに、何が何だかわからなくて
咄嗟にユノの胸を両手で押し返そうとする
けれど…両手の力は、全くと言っていいほど
動かない
まるで魔法でもかけられたかのように
びくともしない


そんな中
ユノは、更に強く…より深く熱く
俺の中に入り込む


動けない…
まるで海で溺れるかのように
呼吸が乱れ、息も出来ないくらい

『んっ…っ…ぁ』




しばらくして…
名残惜しむかのように
ゆっくりと離れたユノの唇


ユノの両手が俺の頬を挟み
顔を覗き込む


「ジェジュン…」


そう名前を呼んで
再び、口を塞ぐ


なぁ、俺…
いったい何がどうして
こうなってるんだ?


雨足が一層強くなったのと同じように
また一層、ユノが深く…奥深くに押し寄せる



キ…ス

そうだ
俺は今、ユノとキスをしているんだ

なぜ?

目を見開くと

超至近距離にユノの顔
瞼を閉じて、少し眉間にシワが寄って…

それは恐ろしいほどに…色香が漂い
俺は思わず身震いした

するとパチッとユノの瞼が開き

「なに、見てんの」

『ちょっ、ちょっと、その前に
    ユノ何してんだよ!』



「こうしたかったから…

    それに…さ
    側にいるって言っただろ」



『し、したかったって

    お前さ、わかってんの!?
    ビールひと口で酔ってんじゃ…』


「酔ってないよ」


『は?意味わかんね……』


「俺がジェジュンを好きで
    ジェジュンが俺を好きだから
    問題ないし」


待て…よ
待て待て待て

何て言った?今


『ユノ、何言って…』

「だから、俺がジェジュンを好きで
    ジェジュンが俺を好き…
    や、俺がじゃなくて俺は、か!」


そ、そういうこと聞いてんじゃねーし


『おいっ!お、俺がユノを好きって
    お前が好きっていつ言ったんだよっ!
    冗談…』

「ジェジュン……俺に好きって
    お前の目が、唇が、体が
    ずっーと…ずっとずっと前から言ってた

    俺はジェジュンだけ
    気づいたらジェジュン
    ジェジュンしか見てなかったし
    だから、わかった」


『何言ってんだよ?意味不明!
   そ、そんで、何で、今…今なんだよ!』


「絶対って…
   その言葉に誓いたかったから
 
   ジェジュンが絶対なんて世の中ない
   そう言ったから…
   だから俺の絶対を証明しようと思った」


『だから、絶対って軽々しく…』

「軽々しく言ってねーよ!」


そう言い放つユノの表情は
荒い言葉遣いとは裏腹に
目茶苦茶優しい照れた笑顔だった

そして…俺を優しく抱き包んだ




『もっと…もっと強く…』


「ん…?」


『もっと…』


「ん…」




ユノ……震…えてる…?
ユノは俺を強く抱き締めながら
僅かに震えてたんだ

優しさと強さと
取り繕えない正直さ

ユノは…そういう人だ


『ありがと……な』


「ん…」



雨は一向に止む気配がない


俺達を祝福するかのような雨音
ひんやりとした空気
土と埃の匂い


もう一度…
もう一度だけ


今度は俺から
俺からの誓いを

ユノへ託してもいいか?

甘く熱く深く………
もっともっと
ユノの奥深くへ入り込みたい











俺は雨男
この先の人生
雨が降る度、幾度も幾度も
幸せを噛み締める


絶対なんてない、この世の中に
絶対を誓ったあの日


俺達に
絶対の果ては、ない

ないんだ







                                       ~end~