街には朝、昼、晩とそれぞれ異なった顔がある。

4人にも朝、昼、晩のそれぞれの顔がある。

そして週末の顔は、ため込んだグチやノロケ、個人的暴露やゴシップ
その全てをお酒と共にはき出す。
週末の顔だけは、みんな一緒なのだ。


その日、リューキ・スーザンとライキ・ガブリエルの2人は、噂話しとお酒をこよなく愛する『カイト・フーバー』に誘われ、週末に開かれるクラブを貸し切ったイベントに向かった。



カイト・フーバーはクラブに入るなり、得意な噂話しの仕入れと、好みの獲物を探し始めた。


リューキ・スーザンと、ライキ・ガブリエルはカウンターでカイト・フーバーの『行動力』と、
『噂話し好き特有の、顔の広さ』
について、毒舌混じりの笑い話をして盛り上がっていた。




盛り上がっていたそんな時、
2人にとって『予期せぬ人物』が現れた。




『ケンジ・イディー』だ。

ルックス、スタイル共に完璧だ。

彼は2人と顔見知りで、ツトム・リネットとも多少面識がある。


2人にとってなぜ『予期せぬ』なのか…
それは、ケンジ・イディーのキャラクターに原因があるのだ。


ケンジ・イディー


ある時は、誰からも愛される純粋な人

ある時は、武勇伝が鳴り止まない人

ある時は、人が狙った人を奪い取ってしまう人


ある時は、それを心から悔やみ反省する人


まさに彼は変幻自在なのだ。


まあ、半分噂話しの情報だが。


2人ともケンジ・イディーとは深い付き合いではない分、どうしても『噂話し』のイメージで見てしまう。

これじゃまるでカイト・フーバーだが。


ケンジ・イディーが2人の存在に気付き、お酒を2人に振る舞い、近況報告など話し始める。

しばらく話し、2人はケンジ・イディーの『噂話しの姿』は、本当に単なる『噂話し』だったのだと感じていた。



『仲良くなれそう』とまで感じていた。


それから数分後、
ケンジ・イディーの『真実の姿』が『噂話しの姿』の数倍上を行っていると知ること、



数時間後、
リューキ・スーザンとライキ・ガブリエルのライバル的ポジションになること、



数日後、
仲良くなれそうと思った気持ちを返して欲しいと思ってしまうこと、



数ヶ月後、
リューキ・スーザンと意外な展開をむかえること、





それら全ては音もなく、
じわじわと迫って来ていた。







誰しも『過去』はある。

振り返った時それが、微笑ましい『いいもの』であったり、

人にはとても言えないような『わるいもの』であったり。


もちろん4人のメンバーも、なかなかの過去で溢れている。



なかでも、タカシ・ブリーの『過去』に関しては、違う意味の『すごい』才能を発揮するもので溢れている。


彼は、終わりと始まりのサイクルが激しい。


恋愛においてもだ。


彼のする恋愛には、どうしてもなおせないクセが1つある。

『ダメな人に惚れる』

自分でそれが長続きしない理由だと分かっていても、惚れてしまう。

それが、タカシの恋愛だ。



やっとの思いで、付き合えそうな雰囲気までにいった人は、
『あやしげな宗教的集会に勧誘』してきたり


同棲するまでになった理想的な恋人は、
『ギャンブル中毒の借金王』で、借金を肩がわりして全てを失った


心の寄りどころとして完璧な相手は、
『妻子持ちで、後に年齢詐称も判明』心どころか近寄ることすら、しにくくなってしまった




とにかく、タカシ・ブリーは
恋愛に関しては全くいい思いをしたことがなかった。

そんな彼に、誰しもが認める理想的な相手が現れた。

今の恋人だ。

まだまだ日は浅いが、
リューキ・スーザンは、電話でのタカシの声には今までの恋愛には無かった、明るさを感じとっていた。


今度こそ、『恋愛におけるクセ』を克服し、タカシ・ブリーは素晴らしい恋愛をしていくだろう。




誰しも『過去』はある。

それを振り返った時、全てを

『なんだかんだ楽しかった』
と笑顔で話す。


それが、タカシ・ブリーである。




ライキ・ガブリエルは、とても腰の重い人間である。

彼を週末の昼間に街へ連れ出すのは、奇跡に近い行為である。
ようは、極度の面倒くさがり屋なのだ。



しかしその週末、彼はまさに自分にとって『とても面倒くさい』行為をするはめになる。自分自身の発言で。



それは、その週末から1週間前。
リューキ・スーザンはライキの家にいつもの様に、お酒を片手に集まった。
しかしツトム・リネットに予定が入ってしまいツトムは参加出来なかった。

ツトムは最近週末メンバーに入った事もあって、電話ごしに参加出来なかった事を、驚くほど悔やんでいた。

予想以上の悔やみ発言を前にして、ライキ・ガブリエルは本人ですら予想もしていなかった言葉を出してしまったのだ。


『来週の日曜にランチして映画行こ』


まさに優しさの一言が、
ライキ本人の長年のサンデースタイルを破壊してしまったのだ。


そして、その週末間近。

リューキに1本の電話が入る。
ライキだ。


リ『日曜どうする?』

ラ『何のことだっけ?』



彼は、記憶から抹消したことにしていたのだ。
さすがに見逃せなかったリューキは、予定を組んでツトムに予定報告。
強制的に実行にうつしたリューキ。

ライキの長年のサンデースタイルは、自身の発言と、記憶抹消詐称によってものの5分たらずで崩壊したのだった。


そして日曜日。重い腰を押しながら、リューキ・スーザンとライキ・ガブリエルは待ち合わせの場所へ到着しツトム・リネットと合流した。

ツトムは数日間の間で見事にイメージチェンジしていた。

3人とも最近の報告などしながら、笑顔で会話が絶えない。

久しぶりで、とても楽しいそうなツトム。

記憶抹消事件を思わずツトムに言いかけるリューキ。

それに気付き無言の殺気圧で潰そうとするライキ。

まさに『神のみぞ知る』それぞれの気持ち。


3人は毒舌トークとゴシップに話しが止まらない。
特に、ライキはピカイチのトークだ。

それからランチへ。

3人とも同じカレーを頼んだ。

そして、ライキのカレーのみ具が入っていなかった。


3人同じカレーを注文し


1人具無しカレー。



メニューにも載っていない具無しカレーを、互いの近況報告やゴシップネタに毒を吐き合い、
それを具にして美味しく完食したライキ・ガブリエルは、
まさにピンチを楽しむ
『女神』なのかもしれない。