奴は、カウンターに座り俺に話しかけた。

新しい形態のレストランを始めたいと。

奴は、俺に熱く語りかけた。

1時間ほどしゃべって奴は、名詞を俺に渡した。

代表取締役社長と書かれた名刺は、重かった。

その夜俺は奴に電話した。

「今日の話しやけど、俺も混ぜてくれや。」

「別にええけど他の従業員の前で俺に敬語でしゃべれるか?」

「全然喋れるで。従業員おらんところでも敬語で喋れるで。」

奴は、笑いながら

「わかった。そっちの店けりついたら、また電話くれ。」

そして俺は2ヶ月後店を辞め奴の会社に移った。

そうあれから2年も経ったのか。

そんな事を思いながらバイクを走らせているうちに本社に着いた。

俺はバイクを停め本社へ入っていった。

俺は当時、レストランのマネージャー兼ヘッドシェフをかけもって忙しい日々を送ってた。

2月のまだ肌寒い朝、俺は社長に呼び出しを食らった。

春の新メニューの相談もあったのでちょうどいいと思って俺は、本社に向かった。

俺はバイクを運転しながら考えていた。

社長は、俺の同級生だった。

俺が、遊びまわってる頃も奴は、ずっとバイトしていた。

高校卒業した後俺が飲食業界に見習いで入った時奴はすでに店長だった。

俺が23歳で初めて店長になったとき、奴は、統括マネージャーだった。

お互い別会社だが同業だったので若い頃は、顔合わせるとよく口論になった。

10数年後お互いが尊敬する人物の葬式で久しぶりに奴と会った。

その時は、お互い涙でよく話せなかった。

数日後奴が来た。

俺が働いてる店に。