デンヨビの田原です。
こんにちは。

今日は、電験の話から離れて、僕自身についての話をさせてください。

僕は高校時代、物理が苦手でした。

決して嫌いじゃなかったし、勉強もしました。
でも、うまくいきませんでした。

教科書に出てくる「公式」を、どのように付き合ったらよいのか分からなかったのです。

定期テストで点数を取るだけなら、公式を暗記したり、教科書傍用の問題集の解答を暗記してしまえば、何とか乗り切れることは分かって
いました。


でも、どうしてもそれはやりたくなかったんです。

それをやると、物理を嫌いになってしまいそうだったからです。

物理で点数を取れないだけなら、その後、なんとか修復可能ですが、嫌いになってしまったら、取り返しがつかないと思ったんです。

それで、教科書を見ながら、なんとか理解しようと悪戦苦闘するのですが、教科書を何回読んでも納得できないんです。

そうこうしているうちに時間切れになり、理解できないまま、定期テストに突入・・・・赤点ギリギリの点数を取ることがほとんどでした。


教科書が理解できないので、参考書を買いました。

教科書よりは分かりやすかったですが、問題の解き方だけが書いてあって、なぜ?どうして?が書いていないため、もどかしい思いを感じました。

その中で出会ったのが、『物理入門』という本でした。

この本は、他の参考書とはまったく違い、微積分を使って、徹底的に原理を説明してありました。

僕が進むべき道はこっちだと思い、『物理入門』を必死に読みました。

ただ、この本の説明は、当時の僕には難しすぎて、理解できたところもあり、理解できなかったところもありで、得点に結びつけることはできませんでした。


浪人して、『物理入門』の著者である山本先生の講義を受けたいと思い、駿台予備校に行きました。

山本先生や故・坂間先生の講義を受けて、ようやく高校時代に感じていたモヤモヤが晴れて、すっきりと理解することができました。

物理の成績も、急上昇しました。


それから8年後、僕は、いろいろあって、予備校講師になりました。

8年ぶりに書店で参考書の状況を調べてみたら、微積分を使って説明している本は、相変わらず『物理入門』だけで、8年前とほとんど変わっていませんでした。

そして、「微積分を使って教えるのは、ハイレベルの生徒向け」というイメージが定着してしまっているようでした。


僕が教えていた予備校では、成績のよい生徒ばかりではなく、偏差値が40以下の成績が悪い生徒もいました。

僕は、そこで、微積分を使って物理を教え始めました。

いろいろと反発も食らいましたが、信念を持って続けていった結果、成績の悪い生徒でも、微積分を使って物理を教えて、成績を伸ばすことができるようになりました。

微積分を使って「やさしく」教える方法が分かってきたのです。


高校時代の僕のような生徒は、実は、たくさんいて、その生徒たちに、「田原の物理」を教えると、砂が水を吸うように吸収して、どんどん成績を伸ばしていくのです。

そして、

「最初から、こうやって教えて欲しかった」

という声を、何度も聞きました。


自分の教え方の体系が固まり、「田原の物理」の効果に自信が生まれたころ、参考書の原稿を書き、出版社に持ち込みました。

高校物理の流れを、自分の力で変えたいと思ったのです。

原稿は、最終会議で却下という結果になりました。

全国的に知名度が低いということと、微積分を使った教え方を、標準レベルで展開しても売れないだろうということが原因だったようです。


参考書を出さないと、知名度は上がらない・・・
でも、知名度がないと参考書が出せない・・・・

この状況を打ち破るのは難しいように感じました。


そこで、インターネットの可能性に賭けることにしたのです。

ちょうどよいタイミングで、資本金1円で会社が作れるという法改正があったので、有限会社を作り、物理ネット予備校を立ち上げました。

河合塾などの予備校で物理を教える傍らで、物理ネット予備校の講義を作っていきました。

最初の数年間は、睡眠時間が平均4時間くらいで、モーレツに仕事をしました。

その甲斐があって、「田原の物理」は、徐々にですが認知されるようになってきました。


ただ、高校生のほとんどは、参考書や問題集で勉強します。

高校物理の流れを変えるためには、「田原の物理」の参考書か問題集を出す必要があります。

そのチャンスをひたすら待ちました。

1冊目に書いた『微積分で楽しく高校物理がわかる本』は、「田原の物理」を書いた本ですが、社会人再入門シリーズで受験生向けの本ではありませんでした。

2冊目に書いた『はじめから分かる理科総合A』は、受験参考書でしたが、科目が理科総合Aでした。

3冊目の『これから物理を学びたい人のための科学史・数学』は、科学史に
焦点を当てた一般書。

4冊目、5冊目が電験3種の参考書。

6冊目、7冊目が大学生向けの参考書。

という具合に、執筆依頼は来るようになったのですが、僕がなんとしてでも書きたかった「高校物理の参考書」を書くチャンスは、なかなか訪れませんでした。

物理ネット予備校を立ち上げてから9年目になって、中経出版さんから、「高校物理の問題集」の執筆依頼が来ました。

本当に待ちに待った執筆依頼でした。

今なら7冊の執筆経験がありますので、さまざまな技術を使って、分かりやすい本を書くことができます。

微積分を使った「やさしい」参考書・問題集は、僕が高校生だった20年前から今までずっと存在していないのです。

この本を書けば、高校物理の流れを変えられるかもしれない。

説明に納得できずに、いやいや公式を暗記している高校生に、もう一つの道を示すことができるかもしれない。

そう思って、興奮しました。


執筆期間は3ヶ月。

予備校講師としての14年間の経験をすべてつぎ込んで書きました。

この本が、5月22日に発売になりました。


「田原の物理」が受け入れられるのだろうか?

緊張して、売れ行きを見守っていました。


結果は、

アマゾンの高校物理教科書・参考書ベストセラーランキングで1位獲得


$予備校講師の電験三種(理論対策)~脱公式丸暗記宣言!


理想的なスタートを切ることができました。


1ヶ月も前から予約してくださった方や、発売日に書店に行って購入して下さった方もいて、たくさんのお祝いのメールをいただきました。

でも、本当に大切なのはこれからです。

一時的な現象ではなく、「田原の物理」が高校物理の定番になり、公式暗記に頼るのではなく、ちゃんと理解して問題を解けるようになるという王道を、高校生が明るい気持ちで進めるようにしたいです。

もし、書店にお立ち寄りのときは、僕の14年間を注ぎ込んだ本を、手にとって見てみてください。


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